リケッチア
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リケッチア (Rickettsia) は、Rickettsia属の菌の総称。約10種を含む。ダニ等の節足動物を媒介とし、ヒトに発疹チフスあるいは各種リケッチア症を引き起こす。細胞外で増殖できない偏性細胞内寄生菌である。Rickettsiaという名称は、発疹チフスの研究に従事し、結果的にそれが原因で亡くなったHoward Taylor Rickettsの名に因んでいる。ここで、発疹チフス (typhus) と腸チフス (typhoid fever) の区別、またリケッチア (Rickettsia) とくる病 (Rickets) の区別についてはまぎらわしいので注意する必要がある。
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[編集] 概要
リケッチアは非運動性でグラム陰性の細胞壁を持ち、1-4μmの球菌または桿菌、あるいは連鎖状、繊維状の形状を示す。DNA解析によりミトコンドリアとの近縁性が指摘されている。ウイルス、クラミジア、ファイトプラズマ等と同じく単独で増殖が出来ない(偏性細胞内寄生性)が、これらとは異なり自前のエネルギー生産系を持つ。
増殖は宿主の血管内皮系の細胞内で行われ、宿主細胞の代謝低下時に最もよい増殖を示す。宿主細胞から取り出し単独におくと急速に死滅する。感染した血管には血栓が生じ、血管破裂、壊死を引き起こす。これが体のどこで起こるかは種により異なり、これが症状の差違を引き起こす。
自然界ではネズミなど小型ほ乳類、ダニ等が保因しており、シラミ、ダニ、ツツガムシ(恙虫)等特定の節足動物を媒介しヒトに感染する。発疹チフスを引き起こすR. prowazekiiはヒトが唯一の保因者である。
[編集] 分類
種類 | 疾病 | 分布 | |
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斑点熱 | R. rickettsii | ロッキー山紅斑熱 | 西半球 |
R. akari | リケッチア痘 | アメリカ、旧ソ連 | |
R. conorii | ボタン熱 | 地中海沿岸、アフリカ、南西アジア、インド | |
R. sibirica | シベリアチックチフス | シベリアから中国北部 | |
R. australis | オーストラリアチックチフス | オーストラリア | |
R. japonica | 日本紅斑熱 | 日本 | |
発疹チフス | R. prowazekii | 発疹チフス | 世界 |
R. typhi | 発疹熱 | 世界 | |
恙虫病 | R. tsutsugamushi (Orientia tsutsugamushi) |
恙虫病 | 南西アジア、オーストラリア北部、太平洋の島 |
[編集] 疾病
[編集] 治療
テトラサイクリン、ドキシサイクリン、クロラムフェニコール等の代謝・DNA合成を阻害する機序の抗生物質を投与する。ペニシリンなど、臨床的に頻用されるβ-ラクタム系の細胞壁のペプチドグリカンを合成阻害する抗生物質が全く効かないことに注意が必要である。
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