ログオン
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ログオンとは、コンピュータの利用開始時にユーザーの身元や妥当性を識別してさまざまなリソースへのアクセスに必要な資格情報を取得するための操作のこと。一般的に、コンピュータのセキュリティに関する手法や手段の一部に組み込まれている。ログイン、サインオンなどとも呼ばれる。
作業員が工場に出勤してタイムカードに時間を打刻することを英語で clock in と言うが、この用語が一般的に知られるようになるにつれ、コンピュータのシステムに対して個人を識別させることを、ログインと呼ぶようになった。コンピュータへログインすると同時に、システムの使用履歴が監査証跡(単純に監査とも呼ばれる)の記録としても残される。
一般的なシステムへのログインの方法は次の文字列を入力する。
- ユーザー名 - 人物を一意に識別するために使用される短い文字列。この文字列を手がかりに、さらに本名などの情報が参照される。
- パスワード - ユーザー名と一緒に提供される文字列。システムへログインするための「鍵」であり、第三者に悪用される可能性があるので他のユーザーには知られないようにする必要がある。パスワードは認証のための一手段であり、他の認証方法によって代替することができる。
しばしばこのユーザー名とパスワードが、コンピュータ・システム、コンピュータ・ネットワーク、またはドメインへアクセスするためにも利用される。
英語では、現在利用中のユーザーのグループを指して 『logins』 と呼び、システムの利用を開始する動作を 『log in』 または 『log on』 と呼んで使い分けている。
ログイン処理に伴って、ユーザー固有のセッションがコンピュータ上に作成される。システム・ソフトウェアは、ユーザーがログインしている間、このセッションによって、ユーザーが可能な動作を制限する。
インターネットのWebサイトへアクセスする場合、サイトはしばしばクッキーをユーザーのコンピュータに配置する。このクッキーは、一度のセッション中のみ利用されセッションの終了と同時に破棄されるか、将来同じサイトへアクセスしたときに使用するために永続的にコンピュータに残される。
ユーザーがセッションを終了する場合は、ログオフ(log off)またはログアウト(log out)する。
サインオンという用語は、元々はIBMで使われていたものである。現在では『シングルサインオン』という用語の中に残っているのが見かけられる。
[編集] 『ログオン』と『ログイン』の使い分け
Microsoft社は『ログイン』という言葉を極力使わず、『ログオン』を使う傾向にある。したがってWindowsのセッションに入ることは『ログオン』と言い、セッションを解除することを『ログオフ』と呼ぶ。それに対して、UNIXやLinuxのシステムにおいては『ログイン』『ログアウト』のセットがよく使われる。ただし、厳密な使い分けを強いられるものではないので、システム運用上において、特段気にする必要はない。