一人旅
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一人旅(ひとりたび)とは、旅行の形態のひとつで、文字通り1人単独で旅行することである。
特に法的あるいは営業的な定義のある言葉ではない。言葉だけ見ると個人旅行と似ているように見えるが、個人旅行は2人以上からなるグループでの手配旅行を含むのに対し、「一人旅」は、純粋に単独での旅行のみを指す言葉であり、両者の意味は全く異なっている。
1人でフリープランに参加することも「一人旅」ということがあるが、通常は1人で行う個人旅行のことを指す場合が多い。
[編集] 特徴
同伴者に気を遣う必要がなく、時間が許す限り自由度の高い旅程を組むことができるという点から、この形態での旅行を好む者も少なくない。また、全て自己責任の下に旅行を進めることになることから、ある種の冒険的な要素を好んでこの形態をとる者もいる。
複数人での旅行との最も大きな相違点は、常に会話を行える相手が存在しないということである。旅行はあまり土地勘のない場所へ行くことが多いため、会話は旅行を行う上で大きく左右されることとなる。しかしこれが存在しないため、ガイドブックや地図などの資料を参照したり、適当な人物に尋ねたりなどして情報を収集し、全てを自らの判断に任せて旅行を進めることとなる。
[編集] リスク
リスク要素としては、旅行資金の紛失・盗難、急病や怪我など健康上のトラブル、航空券・乗車券・宿泊先の紛失や手配に伴うトラブルなどが挙げられる。また、特に一部の女性の場合、好奇からくる猥褻行為や強姦といった性犯罪にも注意が必要である。これらの要素はグループ旅行や旅行会社による主催旅行においても多かれ少なかれ存在するが、一人旅の場合はその全てを1人で背負わなければならない、単独で見知らぬ土地にいること自体が金銭犯罪や性犯罪のターゲットとなりやすいなど、特に大きいものになる。
安全に一人旅を進めていくには、次のようなことに留意すると良い。
- 常に適切な判断を下せるよう、複数の情報源から確実な情報をできるだけ収集するよう努める。ガイドブックは情報が古くなっていることがあり、書いてあることが全て正しいとは限らない。
- 多額の現金を持ち歩かず、クレジットカード(2社以上が望ましい)での支払いを主にする。クレジットカードであればサインが必要な上、盗難に遭っても止めることができるが、現金はすぐ使うことができるため、金銭犯罪者は現金を狙うことが圧倒的に多い。
- 一通りの常備薬を用意しておくのも良い。現地での調達ができたとしても、必ずしも自分に合う薬であるとは限らない。
- 海外で一人旅を行う場合、医療費が高額であることが多いため、海外旅行傷害保険には必ず入っておく。
- なるべく質素で、地元の人と同じように見える服装が良い。特に訪問先の地名や名所名が入った服を着ることは、自分が土地に不慣れな旅行者であることを明示しているようなものであるため、避けることが望ましい。
- シャッター通り、ガレキ・ガラスの破片・ゴミが散乱している通り、スラム化や廃墟化が著しいところは往々にして治安が悪いので、昼間であってもできるだけ避けることが望ましい。
- 夜間人通りが少ないところは避ける。金銭犯罪や性犯罪はひとけのないところでこそ起こりやすいものである。