交響曲第3番 (サン=サーンス)
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交響曲第3番ハ短調 作品78「オルガン付き」(Symphonie n° 3 ut mineur op.78, avec orgue)は、1886年、おそらくはカミーユ・サン=サーンスの生涯における芸術的な頂点の年に完成された交響曲。サン=サーンスの番号つきの交響曲としては3番目、番号なしを含めれば5番目の交響曲である。英国フィルハーモニー協会の委嘱で作曲され、初演も作曲者自身の指揮によりイギリスのロンドンで行われた。
目次 |
[編集] 概略
この作品の作曲についてサン=サーンスは「この曲には私が注ぎ込める全てを注ぎ込んだ」と述べている。作曲家自身、管弦楽作品としては最後の試みになることを自覚していたかと思われ、作曲者の「自叙伝」に近いものになっている。すなわち、そこには彼自身の名人芸的なピアノの楽句や、華麗な管弦楽書法、教会のパイプオルガンの響きが盛り込まれている。サン=サーンス自身、ピアノとオルガンの神童と称えられた事を考えると、この見解は間違ってはいない。
この交響曲の最も顕著で独創的な特徴は、各所に織り込まれた、ピアノ(2手もしくは4手)およびオルガン、すなわち鍵盤楽器の巧妙な用法である。そのほか、この交響曲は通常の4楽章構造にしたがっているように見えるが、通常の意味での第1と第2、第3と第4の楽章はそれぞれ結合されており、これら2つの部分が実質的にひとつの楽章として機能するため、2つの楽章に圧縮されていると言うことができる。サン=サーンスはここで、2楽章からなる新たな形の交響曲を意図していたのである。
この交響曲はまた、循環主題技法の創造的な用法を示している。サン=サーンスは、フランツ・リストと友人であり、この交響曲を献呈しているが、素材が楽曲全体を通じて進化してゆくというフランツ・リストによる主題展開の理論がこの交響曲には適用されている。
[編集] 楽器編成
[編集] 楽曲構成
- 第1楽章 Adagio - Allegro moderato - Poco adagio
- 第1楽章は緩やかな導入部の後、Allegro moderatoとなりメンデルスゾーン風の第1主題がまず現れ、穏やかな性格の第2主題が続く。第1楽章の後半ではオルガンによって悲しげな表情のアダージョの主題が導入されるが、この主題には循環動機が回帰している。
- 第2楽章 Allegro moderato—Presto - Maestoso—Allegro
- 第2楽章は弦楽器によるエネルギッシュな旋律で幕を開ける。この楽章では金管楽器とピアノが活躍した後、オルガンの響きによって第2楽章の後半であるマエストーソが開始され、オーケストラによるフーガが導入される。冒頭部には弦を伴った4手ピアノが聞こえてくる。このよく知られた最終楽章は、コラール、ポリフォニックな書法や手短なパストラル風の間奏などきわめて変化に富んでいるが、それら全ては力感に富んだ終結部によって頂点を迎える。
- マエストーソにおいてオルガンが奏でる最低音域のペダル音はほとんど聴き取れないほどの低音であり、パイプオルガンを具えたコンサートホールでの生演奏は、きわめて劇的かつ印象深い音響上の体験となる。
[編集] 外部リンク
カテゴリ: 交響曲 | サン=サーンスの楽曲