保健所
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保健所(ほけんじょ、ほけんしょとも言う)とは地域住民の健康や衛生を支える公的機関の一つであり、地域保健法に基づき都道府県、政令指定都市、中核市その他指定された市又は特別区が設置する。
近年では市町村保健センター、福祉事務所などと統合され「福祉保健所」「健康福祉センター」といった名称となっているところもあるが、保健所については地域保健法上必置義務があることから、その地方公共団体の組織規定上は○○保健所という名称を併せて付けている場合が多い(いわゆる「二枚看板」)。
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[編集] 沿革
- 昭和12年4月5日:保健所法制定
- 昭和22年9月5日:保健所法改定
- 平成6年6月30日:地域保健対策強化のための関係法律の整備に関する法律(保健所法の地域保健法への改正および関連法の改正を目的)制定
- 平成9年4月1日:地域保健法施行
[編集] 職員
地域保健法施行令では「保健所には、医師、歯科医師、薬剤師、獣医師、保健師、助産師、看護師、診療放射線技師、臨床検査技師、衛生検査技師、管理栄養士、栄養士、歯科衛生士、統計技術者その他保健所の業務を行うために必要な者のうち、当該保健所を設置する法第5条第1項に規定する地方公共団体の長が必要と認める職員を置くものとする」とされている。
[編集] 保健所の所長
地域保健法施行令第4条第1項では、保健所の所長とは保健所の医師であって、次の各号のいずれかに該当する技術吏員でなければならないとされている
- 3年以上公衆衛生の実務に従事した経験がある者
- 厚生労働省組織令(平成12年政令第252号)第135条に規定する国立保健医療科学院の行う養成訓練の課程(現行1年、平成19年度までの例外規定で3ヶ月コースあり)を経た者
- 厚生労働大臣が、第2号に掲げる者と同等以上の技術又は経験を有すると認めた者(健康局長通知では海外の大学でMPHを取得した者などとある)
- ただし、地域保健法施行令第4条第2項では「地方公共団体の長が医師をもつて保健所の所長に充てることが著しく困難であると認めるときは、2年以内の期間を限り、次の各号のいずれにも該当する医師でない技術吏員をもつて保健所の所長に充てることができる。」とも定められている。
- 厚生労働大臣が、公衆衛生行政に必要な医学に関する専門的知識に関し医師と同等以上の知識を有すると認めた者
- 5年以上公衆衛生の実務に従事した経験がある者
- 養成訓練課程を経た者
しかし、地域保健法施行令第4条第2項の規定により医師でない技術吏員をもつて保健所の所長に充てる場合においては「当該保健所に医師を置かなければならない」とされており、保健所には医師が必要不可欠であるといえる。また、現在のところ、医師ではない者が保健所長に就いている例は皆無であり、事実上保健所長は医師と限定されている状態である。
[編集] 業務
保健所の業務を例示すると次のような多様な業務の全部又は一部を行っている。
[編集] 対人保健
住民に対するもの:一般に保健指導または保健サービスと呼ばれる分野。母子保健や老人保健など一般的なものは市町村保健センターに任せ、保健所はより専門的・広域的な業務に特化している場合が多い。ただし、中核市や政令市、特別区などは保健所設置主体と一致するため、保健所がかなり詳細な部分まで行っている例もある。
- ガンなどの生活習慣病の集団検診、予防接種
- 妊婦、乳児に対する健診や指導
- エイズの検査、相談、啓発
- SARSや結核など市町村単独ではなく広域での対応が望ましい、または専門的な対応が求められている感染症など。
- 保健師による健康への相談、アドバイス、一般的な健康診断
- 精神保健福祉に関わること
- 市町村保健師への教育や研修、指導、相談など。
- 社会福祉施設や特定給食施設に対する栄養指導
[編集] 対物保健
地域に関するもの:一般に生活衛生と呼ばれ、食品衛生、獣医衛生、環境衛生及び薬事衛生の四分野からなる(薬事衛生業務は、自治体によっては生活衛生には含まない場合もある)。これらは営業許可や立ち入り検査、違反施設に対する営業停止など、いわゆる「権力行政」としての権限を多く持っている。対応する法律により資格が規定されており、食品衛生監視員、狂犬病予防員及び動物監視員(動物愛護担当職員→獣医師)、環境衛生監視員、薬事監視員がそれぞれの業務を受け持つ。
保健所の統廃合に伴い、動物愛護や狂犬病予防に関する獣医衛生業務の多くは、都道府県や政令指定都市の機関である動物保護センター(自治体により名称は異なる)へ移行しつつある。
- 食中毒の原因調査、及び食中毒予防のための普及啓発活動
- 食品に関する苦情相談の受付と調査
- 食品の製造、流通、調理及び販売施設・卸売市場・集団給食施設に対する監視指導と食品や容器包装等の収去(抜き取り)検査
- 野犬の捕獲・駆除、不要ペットの引き取り・処分
- 動物の飼い方の指導や相談、動物に関する苦情の受付
- 動物取扱業(ペットショップ、犬の訓練所など)及び、危険な動物(個人が飼っている猛獣、猛禽、毒蛇など)の調査・監視
- 美容所、理容所、クリーニング所、旅館(ホテルなど宿泊施設全般)、興行場(映画館、劇場)、公衆浴場の監視指導(ラブホテルやソープランド・ストリップ劇場も監視対象の一部である)
- ネズミ、ハエ、カなどの衛生害虫の防除作業及び相談
- 河川や井戸、プールなどの水質検査
- 公害対策(大気汚染、水質汚濁、土壌汚染など)なお市では清掃業務を所管する部局で行っている場合もある。
[編集] 保健関係の行政機能
- 人口動態などの統計調査
- 調理師及び製菓衛生師免許交付手続き
- 美容所、理容所、クリーニング所、旅館(ホテルなど宿泊施設全般)、興行場(映画館、劇場)、公衆浴場の営業手続
- 上水道等水道の諸届出の受理、立入検査、指導
- 食品営業の許可申請
- イベントなどで食品を取り扱う場合の相談
- 給食施設諸届出の受理
- 医療関係免許(医師、看護師、薬剤師、栄養士など)申請の受付窓口
- 診療所(苦情処理)、医薬品販売業、毒劇物販売業の許可・登録等
- 病院、薬局などの開設許可等
- 化製場等(家畜を食肉としてと畜する際に生じる食用に適さない内臓や骨などを用いて油脂類、ゼラチン、肥料などを製造する施設)に関する法律に基づく事務
[編集] 関連項目
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