公益法人
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公益法人(こうえきほうじん)とは、公益を目的とし民法第34条に則って設立された財団法人または社団法人のことである。また、民法以外の特別法で設立される公益目的の社団法人もある。
なお、公益法人制度改革の一環で2006年5月に成立した公益法人制度改革3法が施行され、一般社団・財団法人法により設立された社団法人または財団法人であって、公益法人認定法により公益性の認定を受けた法人(公益社団法人・公益財団法人)」ということになる(詳しくは、 公益法人制度改革および一般社団・財団法人法を参照)。
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[編集] 条文
民法第34条(公益法人の設立)
- 学術、技芸、慈善、祭祀、宗教その他の公益に関する社団又は財団であって、営利を目的としないものは、主務官庁の許可を得て、法人とすることができる。
[編集] 概要
第34条によると公益法人となるには、以下の2つの要件を満たした上で主務官庁の許可を得るという許可制をとっている。
- その社団または財団が「学術、技芸、慈善、祭祀、宗教その他の公益に関する社団又は財団」であること。
- 「営利を目的としないもの」であること。
以上の定義から言えば、厳密には「公益法人」ではなく「非営利公益法人」というべきであるが、たんに公益法人と呼ばれるのが通例である。
ここでの「非営利」とは利潤獲得行為を行わないという意味ではなく、収益を社員(法人それ自体の構成員)や会員、寄附者などの関係者に分配しないという意味である(もちろん、法人活動を維持するための給与支払いなどは可能である)。また「公益」とは団体外の利益に対して奉仕することであり、団体それ自体の利益を追求する「私益」と対比される。
公益法人と好対照をなすのが会社をその典型とする営利法人(営利私益法人)である。設立の方式も許可制ではなく、一定の要件を満たせば当然に設立できる準則主義がとられている。
[編集] 公益法人
[編集] 税法等での保護
また、公共法人や公益法人等のうち、教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に特に著しく寄与すると認められた法人を特定公益増進法人と言い、その法人の主たる目的で関する業務に対する寄附金については、寄附金控除等の税制上の優遇措置の対象となる。
具体的には、「所得金額の25%または寄付金の額のいずれか少ないほう」から「1万円」を差し引いた額が「寄付金所得額」として所得から控除される。また、相続や遺贈によって譲り受けた財産を相続税の申告期限までに寄付した場合は、その寄付した金額について非課税財産となる。