北方人種
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北方人種(ほっぽうじんしゅ)はコーカソイドに属する人種の下位区分。大航海時代を迎えてコーカソイドが世界各地に拡散するまでの主な分布はヨーロッパ北部(英国やスカンディナヴィア諸国)で、ドイツ北部を含むヨーロッパ大陸北岸にも広がっており、その後北米やオーストラリアにも拡散した。
一般に北方人種に属する人々は、色素脱落すなわちブロンドの形質を持ち、メラニン色素が極めて少ないので、皮膚・毛髪・虹彩の色が薄い。皮膚のメラニン色素を殆ど欠くため皮膚色が極めて薄く、血液が透けて見えるので薄桃色を呈する。毛髪はいわゆる金髪であるが、南に行くほど濃色になり、明るい褐色を呈する傾向がある。虹彩の色は青・緑・灰色である。顔は細長く、頭を上から見ると幅が狭く前後に長い。また身長が高い。古代ローマが栄えた時代のゲルマン人は主に北方人種であったが、彼らは170cmあったとされている。さらに、栄養状況がかなり改善された現在では北方人種が多く住む国の国民の男性平均身長が180cm前後に達することも珍しくない。フランスの人類学者アンリ・ヴァロワによれば、北方人種の男性の平均身長は173cmで、人類中でも高身長の範疇に属する。また、同じくヴァロワによれば、スカンディナヴィア南部からヨーロッパ北岸を通ってイギリスに分布する北方人種の一群にはクロマニョン人への類似が認められるという。
その他の特徴としては、身体的にも細身でやや筋肉質であることなどが上げられる。