コーカソイド
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コーカソイドとは人種のひとつ。
特徴としては、顔の凹凸が多く、鼻が高い(永く乾燥地域で居住するうちに、呼吸時に吸気を湿らす必要性から、体質的に鼻腔が拡がったため)。体毛が多く髭の濃い者が多い(女性でも比較的ひげの目立つ者がいる)。頭髪は細く、ゆるく波打つか巻き毛で、直毛は少ない。原初の分布地域はヨーロッパ、コーカサス、北アフリカ、西アジア(トルコやアルメニア系の人種)、アラブ諸国(イラクやアラビアなどのアラブ人)、中央アジア(北インドを中心としたアーリア人)など。大航海時代以降は特にヨーロッパ系コーカソイドが大きく居住分布を拡大した。白人、白色人種ともいうが、ヨーロッパ系のコーカソイドのみを白人と言うこともある。
北海道・樺太・千島列島に住むアイヌは、かつては白色人種に分類されることもあったが、その後否定され、黄色人種のなかでも、氷河時代の寒冷適応をあまり経ていない旧モンゴロイドとする説が有力である。
コーカソイドというとヨーロッパ系を想像する事が多い為、白人と呼ばれる傾向にあるが、一般に白色なのはヨーロッパに居住する人に多い(ケルト系やゲルマン系、ラテン系等)。実際の皮膚の色は白色~茶褐色と地域差があり、体質的にもかなり異なる。
つまり、コーカソイドを初期の自然人類学を発達させたヨーロッパ人が白色人種と定義するのは自らをコーカソイドの典型と考えるヨーロッパ人、特に北方のイギリス人などの自己認識の投影に過ぎず、決してコーカソイドに分類される人類集団を典型的に示す形質ではない。こうしたヨーロッパ人の自己認識に由来する「白人」、「白色人種」概念は、しばしば人類学的コーカソイドの一部でしかないヨーロッパ系コーカソイドに含まれる集団を示す語としても使われることが多く、この場合の白人概念は同じコーカソイドであるにもかかわらず非ヨーロッパ系コーカソイドを有色人種、カラードの枠組みで排除する。しかし、こうした概念は、コーカソイドの中の地中海人種と呼ばれる形質集団を、イタリアなど南欧圏に居住するキリスト教徒は白人、パレスチナ地方など中近東に居住するイスラム教徒は有色人種と規定するなど、人類学的にも非合理的かつ恣意的な分類概念である。
さらに、生物学的に現生人種は一種一亜種であり、全ての人類は生物の種としては全くの同種なのであり、人種とは現生人類の遺伝的多様性の地域的、個体群的偏りに過ぎず、人種相互に明瞭な境界を有するものではないという事を留意すべきである。
コーカソイドはロシアの一部や中央アジアにおいてモンゴロイドと混血した。また、マジャル人やフィン人、ブルガリア人などは、民族形成の中核となった人々はもともとアジアから移住してきたモンゴロイドであったが、ヨーロッパに侵入して周囲のコーカソイドを文化的、政治的に集団内に取り込み、混血や先住コーカソイドと文化的・政治的同化を相互に重ねたため、現在では白人と変わらない形質を持っている。小アジア西部に住むトルコ人も同様に、東ヨーロッパ人種や地中海人種のような形質を示す。
(注) ハンガリー、フィンランドなどが黄色人種起源というのはこんにちでは俗説という考えが有力である。かつて、そういう認識があったのは彼らが昔、彼らがウラル・アルタイ語族とされていたのが原因である。現在ではこの二つの語族、ウラル語族、アルタイ語族は全く別のものと考えられている。また、ハンガリー、フィンランド、エストニアなどのウラル語族はウラル山脈あたりにいたコーカソイド(白色人種)がフン族などのモンゴロイド(黄色人種)の移動により玉突き式に欧州に移動してきたという説が有力であり黄色人種説はほぼ否定されている。ただし彼らに蒙古斑が時々できるように少々、黄色人種の血が混ざっているのは事実である。 参考サイト 参考サイトその2
参考データ 北方モンゴロイド特有の酒が飲めない下戸遺伝子 日本人 44% ハンガリー人 2% フィン人 0% 『科学朝日』 モンゴロイドの道 朝日選書 (523)
大航海時代以降、ヨーロッパに住んでいたコーカソイドは南北アメリカ大陸・オーストラリア大陸・アフリカ大陸・アジアなど世界各地に進出し、定住するようになった。その過程で特に南・中央アメリカでは、スペインやポルトガルからの移民と、先住民のモンゴロイド(アメリカ・インディアン)や、アフリカから連れて来られたネグロイドとの混血が進んだ。
分類として、以下のものがある。