口紅
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口紅(くちべに、lipstick)とは、人が顔に着彩する目的で唇に塗るために使われる化粧品の一種である。
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[編集] 概要
一般的に、ベニバナを原料とし、ワックスや顔料を溶かして型に入れ固めて作られるが、製品としての口紅にはこれらのほかにも色素、界面活性剤、酸化防止剤、香料など多数の成分が含まれる。
なお、口紅の訳語としてしばしば使われる「ルージュ(rouge)」とは、フランス語で赤という意味である。しかし、昨今では赤色でない口紅も存在するようになり、オレンジ系・ピンク系・ベージュ系など様々な色味に大別される。 唇に質感だけを加える半透明なグロスと呼ばれる物もある。
形状はスティック状の物が一般的で、フタをとり直接あるいは一旦口紅用の筆(リップブラシともいう)に取って唇に塗布する。スティック状でないものは直接唇には塗りにくいので、筆に取って塗布する。
なお、英語では「リップスティック(lipstick)」といい、略して「リップ」と呼ぶことがある。しかし、日本ではそのように略すと口紅より、主に唇の乾燥を防ぐために用いられる薬用リップクリームを連想させる。業界では、両方扱っているメーカーが多いために、この2つは使い分ける傾向にある。
[編集] 歴史
約、7万年前に、悪魔などが口や耳などの穴から進入してこないよう、赤色の物を塗る習慣があったのが、始まりと言われている。これは、出土した当時の人骨の口などに赤色が付着している痕跡があったため判明した。別の説では、約、紀元前3000年の頃のエジプト人が使用されたと思われる口紅が発見され、約紀元前1200年頃のエジプトで、人々が目や唇に化粧している絵画も発見されている。
[編集] 効果
- 現代において、化粧のうちでも重要な要素とされ、色、質感などが重要である。光沢も重要であり、光彩を放つパールやラメが混入されていることがある。
- 保湿機能などが付加され、冬期の乾燥した環境に使用できる製品も開発されている。
- 夏期には紫外線防止効果のあるものも選ばれる。
[編集] 口紅にまつわるエピソード
- 男性が女性に口紅を贈る場合に、「少しづつ取り戻したい」などという気障な言葉が添えられることがある。ちなみに、江戸時代京都で作られる上質の紅は「京紅」と呼ばれており、同じ重さの金に匹敵する価値を持つ高級品であったため、男性が意中の人の好意を得る決定打として贈り物に重宝された。
- 本来の意図と反して、ワイシャツなどに付着した口紅は、浮気の証左としての痕跡とされるが、満員電車などで意図せずにつく場合もある。
- 食器などに付着すると、成分の関係で落ちにくい汚れとなる。最近では付着しにくいものも多い。
- 口紅を塗る動作そのものを「紅を引く(べにをひく)」と表現することがある。古くは薬指のことを「紅差し指」とも呼んだ。(→艶紅)
- かつて春先の化粧品のキャンペーンやプロモーションの中心商品といえば、口紅であった。