君の名は
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1952年にラジオドラマで放送され、「番組が始まる時間になると、銭湯の女湯から人が消える」言われるほどラジオの前に人が集まる人気となった。後に松竹で映画化され、主人公のショールの巻き方が「真知子巻き」と呼ばれ、女性の間で流行した。
なお、人気は本物であったが、この銭湯話は海の向こうのアメリカでラジオの人気番組の放送時間にあわせ女性ファンが炊事や入浴を止めた為に水道の使用量が減ったという事実を基にして松竹の宣伝部が作った虚構であるという説も根強い。しかし、当時はテレビがまだ放送を開始しておらず、また、他の娯楽も少なくラジオが一般的で、内風呂もあまり普及していなかったため、その銭湯話は虚構と断言はできず、好景気の日本とアメリカの豊かさとユトリを表す挿話と見ることもできる。
ただ、この作品のヒットの結果、世間を甘く見た松竹の宣伝部が長い期間スランプになったという嘘か真か解らぬ「オチ」もついている。
目次 |
[編集] あらすじ
第二次大戦、東京大空襲の夜。焼夷弾が降り注ぐ中、たまたま一緒になった見知らぬ男女、真知子と春樹は助け合って逃げ回るうちに、銀座・数寄屋橋までたどり着く。二人はここでようやく互いの無事を確認する。名を名乗らないまま、互いに生きていたら半年後、それがだめならまた半年後にこの橋で会おうと約束し、そのまま別れる。やがて、2人は運命の渦に巻き込まれ、互いに数寄屋橋で相手を待つも再会がかなわず、やっと会えた頃には真知子はすでに人の妻となっていた。しかし、夫との生活に悩む真知子、そんな彼女を気にかける春樹、2人をめぐる人々の間で、運命はさらなる展開を迎えていく。
[編集] 主なメディア
『君の名は』はラジオで人気を集め、その後映画、舞台、テレビ化され後世に残されてゆく。出演者などは以下の通り。
[編集] NHKラジオ連続放送劇
番組の冒頭で「忘却とは忘れ去ることなり。忘れ得ずして忘却を誓う心の悲しさよ」という来宮良子のナレーションが流れ、今でも多くの人の心に残っている。音楽は古関裕而で、伴奏のハモンドオルガンも自ら演奏した。
[編集] 主題歌
- 「君の名は」
- 作詞:菊田一夫
- 作曲:古関裕而
- 歌:高柳二葉(放送版)
尚、販売用のレコードは織井茂子によって吹き込まれている。
[編集] 映画
全3部作とそれらを再編集して1本にまとめた総集編がある。
[編集] 舞台
宝塚歌劇団版は設定をポーランドに移し『ワルシャワの恋の物語』というサブタイトルをつけて上演。ラジオ、映画版とは違う工夫がなされた。脚本・演出は菊田一夫自身が行った。1954年11月、花組。12月、星組によって上演された。
[編集] テレビ
テレビでは4度ドラマ化されている。
[編集] 1962年版
1962年10月2日から1963年4月9日まで、フジテレビ系列で放映。
[編集] 1966年版
1966年5月23日から1967年1月28日まで、日本テレビ系列の毎週月曜~土曜の13:00-13:45の時間枠で放映。全216回。
- 脚本:岩井基成、柳川創造
- 出演:伊藤孝雄、萩玲子、有沢正子、池田忠夫、折原啓子、南佐斗子、田浦正巳、二瓶秀雄など
- 撮影地:北海道、浅虫温泉(青森県)、佐渡島(新潟県)、水上温泉(群馬県)、熱川温泉(静岡県)、白浜温泉(和歌山県)
[編集] 1976年版
1976年10月1日から12月24日まで、NETテレビ(現・テレビ朝日)系列の毎週金曜21時枠で放映。全13回。
NET系 金曜21時台(当時はNETの制作枠) | ||
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前番組 | 君の名は | 次番組 |
ベルサイユのトラック姐ちゃん | 愛と死の夜間飛行 |
[編集] 1991年版(NHK朝の連続テレビ小説)
1991年4月1日から1992年4月4日まで、NHKの連続テレビ小説で1年間放送されたが、かつての人気を取り戻すまでには至らなかった。放送開始後ほどなくして視聴率は低迷、脚本家が休養をとったのち複数人体制にしたり、オープニングの曲も放送開始3ヶ月後と年明け後に、明るめに変え、第〜部「〜編」とするなどの工夫を施したものの、特に原作にない後日談を加えたことに対し、旧版の制作関係者をはじめ、往年のファンからの批判も少なくなく、結局、最高視聴率、期間平均視聴率とも、本ドラマ終了時点での連続ドラマ小説歴代最低を記録した。2006年4月3日からNHK-BS2でアンコール放送された。
第一部:(第1部は、~編というのはなかった。)
第二部:「結婚編」
第三部:「旅立ち・北海道編」
第四部:「愛ふたたび・志摩編」
第五部:「愛のゆくえ・対決編」
第六部:「それからの二人・夫婦編」
- 演奏:東京コンサーツ 題字:篠田桃紅 考証:松平誠 考証協力:天野隆子
- アイヌ民俗関連監修:萱野茂 所作指導:鈴木宗卓 医事指導:雨宮昭
- 方言指導:佐渡稔、山國成男、谷津勲、山中篤、岡部雅郎
- 撮影協力:三重県志摩郡・阿児町、千葉県野田市、新潟県佐渡、静岡県西伊豆、北海道美幌町、北海道弟子屈町
- 制作:石井愼、松本守正
- 美術:藤井俊樹、岡本忠士、矢野隆士
- 技術:沖中正悦、渡部浩和、原滋
- 音響効果:田中正男、太田岳二、矢島清
- 撮影:中村和夫、川崎一彦、安田熙男
- 音声:谷島一樹、大地祥嗣
- 照明:高橋伴幸、篠根正継
- 記録·編集:田中美砂、高室晃三郎、岡部敦子、上田裕里子
- 演出:宮沢俊樹、三井智一、長沖渉、原嶋邦明、伊豫田静弘、一井久司 ほか
[編集] キャスト
- 東京(浜口家)
- その他 東京の住人
- 小野瀬綾(真知子・春樹の友人 佐渡出身):いしだあゆみ
- 美村蘭子(夜の女):佐藤友美
- 美村礼治(蘭子の夫、戦争によって記憶喪失に):小坂一也
- 美村千枝子(美村夫妻の娘、戦争によって行方不明に):小川京子→川田美香
- あさ(夜の女):伊藤嘉奈子
- 石上梢(夜の女):河合美智子
- 加瀬田修造(元陸軍少将):橋爪功
- 加瀬田岸枝(修造の妻・曙荘の管理人):中原ひとみ
- 加瀬田和子(加瀬田夫妻の娘)羽田美智子
- 田上うらら子(天天教の教祖 ):益田愛子
- 住職(真知子・春樹の結婚式を行う寺の住職):鈴木清順
- 多比良良作(定彦の仕事仲間)、税務署職員::蟹江敬三
- 木村五郎(大学受験生。下宿し勉強中。):八百坂圭祐→大沢樹生
- 清宮家(東京)
- 清宮(→浜口)美子(勝則の2番目の婚約者):とよた真帆
- 清宮田鶴子(美子の母):稲垣美穂子
- 北海道 美幌・弟子屈
- 新潟・佐渡
- 米夫(角勘の従業員):井上康
- 捨松(角勘の従業員);中野英雄
- スミ代(捨松の妻):山家千花
- 忠公(角勘の従業員):三井善忠
- 三重県・志摩
- 西崎(→後宮)(→水沢)悠起枝(春樹の姉):田中好子
- 水沢謙吾(悠起枝の友人):平田満
- 戸村(→水沢)奈美(海女·謙吾の妻 後に行方不明に):杉本彩
- 水沢フサ(謙吾の母):小林トシ江
- 長島(密輸組織のボス):鶴田忍
- 海渡琴乃(志摩で店を営む):伊藤友乃
- 愛知・名古屋
- その他(脇役出演)
- 協力
- 劇団ひまわり
- 劇団いろは
- 劇団東俳
- 劇団若草
- ジャパンアクションクラブ
- 若駒
- 東京児童劇団
- 早川プロ
- 鳳プロ
- 悪徳商会
- 丹波道場 など
[編集] ラジオ復刻版
2005年3月19から22日の放送開始80周年記念特別番組「もっと身近に もっと世界へ NHK80」の一環として、19~21日の連日21:05ごろ~21:55(JST)に田中美里、萩原聖人らの出演でNHKのライブラリーに保管されている音源や台本を参考に復刻ラジオドラマとして放送された。ナレーションは映画版で主人公の氏家真知子役を演じた岸惠子が担当した。また、NHK総合テレビでも3月20日夜22:20~21:05(JST)に「君の名は&冬のソナタ 今夜純愛をあなたに…」の特集を放送、小野文惠アナウンサーの司会で、ラジオドラマの収録風景を放送した。
[編集] その他
- 松竹映画版の撮影の合間、主演の岸恵子はあまりの寒さにショールを肩からぐるりと一周させ、耳や頭をくるんでいた。この姿はカメラが回っている時にも使われることになり、「真知子巻き」が誕生した。
- 東京オリンピックを控えての開発ラッシュの際、皇居外堀を埋めて高速道路が作られることになり、数寄屋橋も撤去された。今は数寄屋橋交差点わきの公園に、原作者の菊田一夫の筆による「数寄屋橋 此処に ありき」の小さな石碑が残されている。
- 半年ごとの数寄屋橋での待ち合わせなど、真知子と春樹が再会しそうになると何か不都合があって結局会えない。何度もこんなことを繰り返した。今のドラマでもよく見られるパターンである。『君の名は』はこの「すれ違いドラマ」の古典にして典型。
[編集] 関連項目
NHK 連続テレビ小説 | ||
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京、ふたり | おんなは度胸 |
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