土下座
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[編集] 概要
土下座(どげざ)とは、土の上に直に坐り、平伏して座礼を行うこと。日本の礼式のひとつで、極度に尊崇高貴な対象に恭儉の意を示したり、深い謝罪、お願いの意を表す場合に行われる。
『魏志倭人伝』には邪馬台国の風習として、平民が貴人と道端で出会すと、道端で平伏して柏手を打つとの記載があり、古くからの日本の習慣であったと思われる。古墳時代の埴輪中には平伏し、土下座をしているようなものも見受けられる。また、近代まで庶民が貴人に面会する時も土下座するのが通常であった。近世、一般的には大名行列が通過する時、行き会わせた庶民は土下座をしなければならないと思われているが、それは正しくない。
日本人の生活意識では、土の上に坐って額をつける動作が日常の行動から大きく逸脱しているために、それだけ並外れた恭儉・恐縮の意を含む礼式であると解釈され、江戸期には相手に土下座をして謝ることで、大抵のことは相手に許してもらえる風潮があった。
現代でも、なりふり構わぬ保身や謝罪の手段として、土下座を恥と感じる考え方が根強く残っている。しかし大抵進んで土下座をする側はされる側より元々下の立場のため本来だと殆ど意味がない。
[編集] 土下座の社会問題化
近年蔓延しているいじめの中にも、加害者が被害者に対し、大勢の人間の前でこの行為を強制させるケースもある。
選挙時に有権者に土下座をして自分への投票を呼びかける光景がよく見られるが、必ずしも有権者を尊敬している訳でもないし、謝罪している訳でもないので注意が必要である。
ちなみにこれは被害者団体が報復を受けるきっかけになりやすく水俣病・薬害エイズ事件では被害者団体が加害企業の首脳に土下座を強要し実施させたがために企業よりの団体(及び一部のメディア)から嫌がらせを受けたため救済が進まないという実害が出たほどである。
また、マスコミの中にはこれを捏造して政治的キャンペーンに利用したというケースもあり産経新聞の「国旗・国歌推進キャンペーン」で国立市立第二小学校で国旗国歌でもめていた際「児童が校長に土下座強要」というウソの記事をでっち上げたことがある。これは東京地方裁判所からの勧告で捏造と判断されたが、国立市には右翼の街宣車などが押し掛け、地域住民に多大な被害を及ぼした。
また、芸能界でも芸能人がテレビ・ラジオ局出入り禁止を食らう原因になりやすくやしきたかじんがとあるテレビバラエティ番組でスタッフに腹を立てて「味の素がない」と因縁をつけてスタッフを土下座させた挙句に暴行して軽い怪我を負わせ、この事が当時のテレビ朝日の編成担当首脳の逆鱗に触れて、テレビ朝日出入り禁止の事態に発展したほどである。