地味
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地味(じみ)とは華やかさやけばけばしさがなく、態度や行動が控え目こと。地味の対語は派手である。本項では様々な事項において「地味」といわれる代表的な事例を挙げる。
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[編集] 顔料における地味
地味な色合いをもつ顔料としては弁柄(赤色顔料)、アンバー、シェンナ(以上褐色顔料)、クロムチタンイエロー、ニッケルチタンイエロー(以上黄色顔料)、オキサイド・オブ・クロミウム(緑色顔料)等があげられる。これらの地味な顔料を用いて塗料をつくった場合、塗装された建築物が周囲の景観を破壊しない。また、絵具に用いた場合、混色せずそのままの色で絵画を描くことが可能である。
それに対し黄鉛、カドミウムイエロー、ジンククロメート、ストロンチウムクロメート、プラセオジムイエロー(以上黄色顔料)、クロムグリーン、ヴィリジアン(以上緑色顔料)、紺青、ウルトラマリン(以上青色顔料)等は派手な色合いを持つ顔料である。これらの派手な顔料を用いた塗料で建築物を塗装すると、周囲の景観を破壊する可能性があるので使用可能な箇所が限られてくる。また、絵具に用いた場合、そのまま使ったら自然界にある色からかけ離れてしまうので混色して自然な色にして絵画を描かなければならない。
なおカーボンブラック、ピーチブラック、ランプブラック等の黒色顔料は無彩色なので派手、地味の区別に分類するのは困難であるが、強いて分ければ彩りを持たないということで地味な顔料に分類されることが多い。
[編集] チェスの棋風における地味
チェスの元世界チャンピオンであるチグラン・ワルタノビッチ・ペトロシアンは地味な棋風で知られた。それはペトロシアンが自分からはあまり攻めず、相手の仕掛けてくるところを待ち構えて反撃するような棋風だったからである。そのため、攻撃的な棋風で知られたロバート・ジェームス・フィッシャーやボリス・スパスキー、ミハイル・タリのような人気は得られなかった。そのかわりペトロシアンは無理な手を指して負けることは少なく、不利なゲームを引き分けに持ち込むことが得意だったといえる。
[編集] 冠婚葬祭における地味
いわゆる地味婚(ジミ婚)が冠婚葬祭における地味の代表といえる。派手婚(ハデ婚)が盛大に結婚式や結婚披露宴を行うのに対し、地味婚では入籍だけというケースが多い。
なお葬祭においては葬儀・告別式等を一切行わず死後直ちに遺体を火葬場で荼毘に付すのが地味の代表といえるが、日本においては稀である(数少ない例として白洲正子があげられる)。
[編集] 政治における地味
地味な政治家の代表としては矢野庄太郎があげられる。パフォーマンスや自己宣伝を一切行わないことから地味な存在と見られたが、パフォーマンス重視の派手な政治が主流となった21世紀の日本において、矢野に対する再評価の声が高まっている。