報復
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
報復(ほうふく)とは、ひどい仕打ちをした相手に対し、やり返すことを指す。
目次 |
[編集] 概要
原始社会においては、報復は権益を侵害する者に対して、一般的に行われた。報復された側が報復をやり返し、結果止めどなく報復の連鎖を招くこともあった。
「目には目を、歯には歯を」で有名な、古代メソポタミアの、『ハンムラビ法典』は、報復を奨励したものではなく、原始社会で一般的であった報復行為に対し、2倍返しはするなと戒めたものだと言われる。中世ヨーロッパでは動物に対しても復讐が行われ、「動物裁判」の名前で知られている。
近代においては、報復は全く禁止されていない。
[編集] 報復合法化の議論
殺人などの凶悪犯罪の加害者が、国家により保護されるのに、被害者側には報復が認められないのはおかしいと考え、近代以前のように報復を法で認め、合法化すべきという意見がある。
近代法制度では、「私刑」は認められておらず、相手を誤認して無関係の第三者を殺傷したり、報復の連鎖を招く危険から反対意見が多く、現在では広い論議には至っていない。
しかし、私刑としてなされる報復の連鎖を防ぐためにこそ、法で認められた一定限度の報復が認められるべきという意見もある。
[編集] 報復事件
日本でもしばしば報復殺人が起こる。例えば、人前で自慰を強制させられその報復殺人事件として起こった、1984年の大阪産業大学付属高校同級生殺害事件などがある。1968年の尊属殺法定刑違憲事件も、一種の報復殺人であった。
2006年の山形一家殺人事件では、少年時代に服を脱がされた男が加害男性の一家を襲撃するという報復殺人を行うに至った。暴力団の名が絡んだ、2006年の東大阪大学集団暴行殺人事件では報復に報復が行われ最終的に集団リンチに至った。