大賀ハス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
オオガハス(大賀ハス、おおがはす)は、1951年(昭和26年)、千葉県千葉市検見川(現・千葉市花見川区)にある東京大学検見川厚生農場(現・東京大学検見川総合運動場)で発掘された、約2000年前のハスの実から発芽・開花したハス(古代ハス)のこと。
目次 |
[編集] 概要
1948年(昭和23年)から1949年(昭和24年)にかけて、東京大学検見川厚生農場の落合遺跡で、慶應義塾大学の調査団によって丸木舟を3隻と、オール6本が発掘された。その後、慶應義塾大学の他に東洋大学、日本考古学研究所が加わり共同調査が行われる。調査により「縄文時代の船だまり」と推測される。
1951年3月、植物学者である大賀一郎博士(東京大学農学部教授)と地元の千葉市立花園中学校の生徒達と共に遺跡発掘調査を行ったが、特にめぼしい成果も挙げられず翌日で調査が打ち切られた。
しかし、同年3月30日、花園中学校の女子生徒によって千葉市検見川(現・花見川区朝日が丘町)の地下約6mの泥炭層からハスの実1個が発掘される。さらに4月6日には、2個のハスの実を発掘。計3粒のハスの実を発掘する。ハスの権威者でもある大賀博士は、それらの年代を明確にするため、ハスの実とハスの実の上方層で発掘された丸木舟の一部などをシカゴ大学原子核研究所へ送り、年代分析と鑑定を依頼。シカゴ大学のリピー博士らによって、ラジオ・カーボン・テストが行われ、それらが弥生時代後期(約2000年前)のものであることが推定された。
同年、大賀博士は発掘された3粒のハスの実の発芽を試みたが、2粒は失敗に終わり、5月、残りの1粒が発芽に成功する。翌年の1952年(昭和27年)7月18日、ピンク色の大輪を咲かせ、開花させる事に成功する。このニュースは国内外に報道され、同年11月17日付米国ライフ誌に「世界最古の花・生命の復活」として掲載される。ハスは博士の姓を採って「大賀ハス」と命名。
1954年(昭和29年)6月8日、「検見川の大賀蓮」として千葉県指定天然記念物に指定される。
1993年(平成5年)4月29日、千葉市の花として大賀ハスが制定される。現在、日本各地は元より、世界各国へ根分けされ、友好親善と平和のシンボルととしてその一端を担っている。
[編集] その他
- 大賀博士は大賀ハスの実発掘以前の1932年(昭和7年)、千葉県滑川町(現・成田市)の長沼川の工事中に出土した須恵器の中に入っていた、推定1200年前のハスの実一粒を考古学者大野一郎から譲り受け、1950年(昭和25年)6月1日、ハスの実を発芽させることに成功。しかし、栽培管理の失敗により50日目にして枯らしてしまった経緯がある。
[編集] 関連項目
- ハス
- 大賀一郎
- 東京大学検見川総合運動場
- 千葉県指定文化財一覧
[編集] リンク
- 千葉市花の情報館ホームページ(市の花、市の木、四季の花、市の花木) - 千葉市の花「大賀ハス」について。