安芸乃島勝巳
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安芸乃島 勝巳(あきのしま かつみ、1967年3月16日 - )は、広島県豊田郡安芸津町(現東広島市)出身の元大相撲力士。二子山部屋(現・貴乃花部屋、入門当時は藤島部屋)所属。本名は山中勝巳。身長176cm、体重155kg。最高位は東関脇。現在は年寄:千田川虎央。
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[編集] 来歴
- 中学進学までは柔道をしていたが、力士になろうと志し、相撲を始め全国大会にも出場した。偶然にも広島に巡業に訪れていた大関・貴ノ花(11代二子山親方)に勧誘されたことがきっかけで卒業後に藤島部屋に入門した。
- 1987年9月場所に十両に昇進。藤島部屋最初の関取となる。
- 1988年3月場所には弱冠20歳にして新入幕を果たした。
- 上位キラーとして知られる様になり金星獲得は16個を数え、また対戦した横綱全てから金星を上げている。初金星は1988年9月場所の大乃国からだった。固太りで重心が重く、左四つになると力を発揮した。反面、攻めが遅い部分があったため、速攻相撲が得意の下位力士相手に取りこぼすことが多く、結局大関昇進はならなかった。特に琴錦が大の苦手で、琴錦との幕内対戦成績は、安芸乃島の9勝39敗となっている。
- 特に、1994年秋場所から1995年春場所の4場所間は、10勝5敗を一度はさんで11勝3度の計43勝という成績を残し、あと1勝あげていれば大関は確実だったことが悔やまれる。
- 三役陥落後も常に幕内中上位で相撲を取り続けていたが、2003年5月場所14日目の取組に敗れ十両陥落が決定的になり現役を引退した(彼の引退により、昭和時代に幕内を経験した関取力士は1人もいなくなってしまった)。
- 年寄・藤島を襲名し二子山部屋・貴乃花部屋の部屋付親方として後進の指導に当たった。後に年寄・千田川を取得したが、この頃から指導方針の違いから現役時代は弟弟子だった貴乃花親方との確執が表面化し、2004年10月27日付で高田川部屋に移籍した。このとき書類への押印を貴乃花親方が拒否したため、病床に臥していた11代二子山親方に判を押してもらい事無きを得たが、事実上の破門といわれている。
- 高田川部屋に移籍してからは、積極的に若手力士に稽古を付けているという。
- 若い頃から「負けた力士に失礼だ」という理由で、勝利インタビューにはほとんどしゃべってこなかった。現役時代は寡黙な印象を与えてきた彼だが、引退してからは時に解説者としてよくしゃべっている。私生活での彼はこれが素の姿に近いと言われる。
- 現役最後の16個目の金星は武蔵丸からであるが、その金星は武蔵丸が新横綱の1999年7月場所だった。なお、朝青龍が横綱昇進した2003年3月場所以降の安芸乃島は既に幕内下位に下がっており、結局横綱朝青龍との対戦は無いまま引退となっている。
- 大関にあがることを目標と公言してきたが、やはり苦手な対戦相手(琴錦など)が多いことがネックで関脇定着もままならなかった。ただ、関脇止まりの力士の多くが十両に落ちても取り続ける中にあって幕内陥落で引退したのは、大関を目標と公言してきた自負からともいう。
- 追い込まれると強引な首投げに出るという悪い癖がある。特に琴錦戦でこの形で幕切れをするシーンが多く見受けられた。これで逆転するケースは少なく、彼の場合は投了の形と見られても仕方ないものがある。
[編集] 主な成績
- 生涯成績:822勝756敗78休
- 幕内成績:647勝640敗78休(91場所)
- 三役在位:27場所(小結:15場所、関脇:12場所)
- 金星:16個(大乃国2個、千代の富士4個、北勝海4個、旭富士4個、曙1個、武蔵丸1個)(史上1位)
[編集] 三賞
- 三賞通算受賞回数:19回(史上1位)
- 殊勲賞 7回(1988年9月場所、1990年3月場所、1990年5月場所、1990年11月場所、1992年3月場所、1993年7月場所、1999年3月場所)
- 技能賞 4回(1990年5月場所、1998年5月場所、1999年1月場所、1999年9月場所)
- 敢闘賞 8回(1988年7月場所、1989年3月場所、1990年7月場所、1991年5月場所、1992年3月場所、1995年1月場所、1995年3月場所、1999年9月場所)
[編集] 各段優勝
- 十両優勝 1回(1988年1月場所)
- 幕下優勝 1回(1987年5月場所)
- 序二段優勝 1回(1982年7月場所)
[編集] 改名歴
- 山中 勝巳(やまなか かつみ)1982年3月場所~1986年11月場所
- 安芸ノ島 勝巳(あきのしま かつみ)1987年1月場所~1994年7月場所
- 安芸乃島 勝巴(あきのしま かつみ)1994年9月場所
- 安芸乃島 勝巳(あきのしま かつみ)1994年11月月場所~2003年5月場所
[編集] 年寄変遷
- 藤島 勝巳(ふじしま かつみ)2003年5月~2004年5月
- 千田川 虎央(せんだがわ とらお)2004年5月~