定義
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定義
定義(ていぎ)とは、ある言葉の正確な意味や、集団において構成員が共通認識を抱くために定める概念のことである。一般的には、世間に広く定着することにより効力を発揮することができるとされる。
自然科学における定義は通常、自然言語を用いて表わされる。対して、社会科学における定義は、最近類と種差の総体という形式をとることが多い。
目次 |
[編集] 定義の形式
[編集] 予備知識
[編集] 類と種
いくつかの事物を、ある視点でひとくくりにしたとき、それら事物は階層化 (Hierarchy) されたことになる。
このとき上位の階層を類 (Genus)、下位の階層を種 (Species) という。類は種の集まりであり、種は類の構成要素である。
複数の類を構成要素とする上位の類を考えることもできる。このとき下位の類は、上位の類にとっての種である。
[編集] 生物分類および学名
たとえばトラは、動物界・脊索動物門・哺乳綱・食肉目・ネコ科・Panthera (ヒョウ属)・tigris (トラ種)という系列の中にあり、学名を Panthera tigris という。ここでは Panthera が類(属)で、tigris が種である。
ネコ科を類と見れば、Felis (ネコ属)や Puma (ピューマ属)とともに、Panthera はその一種ということになる。
[編集] 形式
[編集] 最近類と種差による定義
もっとも厳密な定義のためには、「対象を種として含む類」および「対象を他の種から区別する特徴」を述べればよい。 前者を最近類、後者を種差という。
- 例)トラとは、黄色地に黒縞のある(種差)Panthera(最近類)である。
ただし生物分類学における類種関係は絶対的なものでなく、文脈によっては生物分類学とは異なる関係を前提とした定義もあり得る。 つぎの人類学や社会学に見られるような定義に対して、最近類としてホモ属を示さないのは誤りだ──という主張は見当違いである。
- 例)人間とは、理性的な(種差)動物(最近類)である。
[編集] 種差を明示しない定義
定義において種差が明示されない場合がある。
- 例)人間とは、動物(最近類)の一種である。
種差を明示しないことには、それが不要である(積極的な理由)場合、および不可能である(消極的な理由)場合がある。 後者については、定義する対象の本質である場合と定義を行う者の知識・能力の問題である場合がある。
[編集] 類が極度に広い場合
類が極度に広いと、存在・もの・何かなどの語を使わざるを得ないことになる。
- 例) 神とは、万能な(種差)存在(類)である。
しかし最近類を探し当てることができない結果、この表現に至ることも多い。
- 例) 椅子とは、人が座る(種差)もの(類)である(×)。
- 人が座る(種差)家具(類)である。
[編集] 定義の表現
[編集] 予備知識
[編集] 「〜は〜である」という文について
- 椅子は家具である。(椅子は家具の部分集合、椅子⊂家具)
- うちのミーちゃんは三毛猫である(ミーちゃんは三毛猫の要素、ミーちゃん∈三毛猫)
- 愛は信じることである(愛すなわち信じること、愛=信じること)
- 椅子(と)は座るための家具である。(定義)
- ミーちゃんは、我が家で飼ってる三毛猫である。(定義)
[編集] 外延と内包
ある概念を類と見たとき、その類に含まれる種のすべてを外延(Extension)、その種に共通な性質を内包(Intension)という。種をすべて示すことを外延的説明、共通な性質を示すことを内包的説明という。
- 例) 集合 A は {1, 3, 5, 7, 9} からなる。(外延的説明)
- 例) 集合 A は 10 以下の奇数である。(内包的説明)
これらを定義にも使える。
- 例) A とは、{1, 3, 5, 7, 9} を要素とする集合である。(外延的定義)
- 例) A は、10 以下の奇数からなる集合である。(内包的定義)
[編集] 表現
[編集] 定義の表現の多様性
上記の形式に還元できることを条件に、多様な表現が可能である。
- 「人間とは、ある種の(一種の)動物である」
つぎのように定義する。 つぎは定義である。
- 「校則とは、学校での行動などについて規定したものである」「行動についての規定である」
[編集] 物理量の数式による定義
[編集] 定義風であっても定義ではない場合
[編集] 外延による補助
[編集] 定義の定義
[編集] 定義される対象
[編集] 具体物を定義
[編集] 抽象概念を定義
[編集] 定義の定義
[編集] 名前を定義すること
[編集] 関連項目