嶋正利
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嶋 正利(しま まさとし、1943年8月22日 - )は、世界初のマイクロプロセッサ・Intel 4004の設計開発者の一人。現在にいたるマイクロプロセッサの系譜の祖を設計した。
4004のほかにも、8080、Z80、Z8000などの画期的なプロセッサの開発に携わっており、世界のコンピュータ産業に多大な影響を与えた。
[編集] 略歴
静岡市生まれ。県立静岡高、東北大学理学部化学第二学科卒業。日本計算機販売(後のビジコン)に入社し電卓の開発に携わる。
Intel 4004は元々ビジコンが計画していた「ストアードプログラム式の高級電卓」のために必要なチップとしてインテルと共同開発したものであり、嶋はビジコンの社員として開発に関わった。インテル社史には4004の設計開発者はフェデリコ・ファジン、マーシャン・エドワード・ホフ Jr.、スタンレー・メイザーであるとされ(顧客会社の出張社員であった)嶋の名はなかったが、1984年に設計を行った一人であると追認された。4004のロジックはほとんど一人で書いた、という。
嶋は4004の開発後ビジコンを退職しリコーに転職。インテル社は次期製品としてIntel 8008を開発。その性能向上にあたり特許戦略および他社による競合製品開発阻止のために、当時インテルのCEOであったロバート・ノイスが嶋をスカウトし1972年インテルに転職。8080では当初より主任設計者を務めて4004の時と同様にほとんど一人でロジックを組み上げた、という。その後ファジンらCPU開発チームの主力メンバーと共にスピンアウトしザイログ設立に加わった。
1997年11月25日に京都賞(先端技術部門)を受賞。AOIテクノロジーの代表取締役社長をしていた。
日本初のコンピュータ専門大学である福島県立会津大学で指導していた。
[編集] 主な論文・著書
- 1972年 "The MCS-4 An LSI Microcomputer System" with others, IEEE
- 1974年 "An N-Channel 8-Bit Single Chip Microprocessor" with others, IEEE, ISSCC
- 1976年 "Z-80 Chip Set Heralds Third Microprocessor Generation" with others, Electronics
- 1979年 "Demysitfying Microprocessor Design" IEEE
- 1996年 "The History of the 4004" with Hoff, M. E., Faggin, F. and Mazor, S., IEEE Micro
- 1987年 「マイクロコンピュータの誕生:わが青春の4004」岩波書店
- 1995年 「次世代マイクロプロセッサ」日本経済新聞社