幕之内一歩
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幕之内一歩(まくのうち いっぽ)は漫画「はじめの一歩」に登場する架空の人物。誕生日は11月23日。アニメ版での声優は喜安浩平。
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[編集] 人物
現日本フェザー級チャンピオン。鴨川ボクシングジム所属。物語開始時点では17歳の高校2年生。普段は温厚で控えめな性格で争い事も好まないが、その為に小学校から高校時代までいじめられっ子であった。
ある時、梅沢たちにいじめられていたところをロードワーク中の鷹村に助けられたことをきっかけに「強さとは何か」を知るためボクシングを始める。家業の釣り船屋で鍛えた頑丈な体・足腰と地道な練習を怠らない実直な性格、そしていかなる敵にも屈しない勇気をなによりの武器とする。KO率9割以上を誇る国内屈指のハードパンチャーであり生粋のインファイター。リング中央でどっしり構えたピーカブースタイル(グローブの皮を噛むように顔の正面、鼻から下を両拳でガードする)はミサイル発射台を相手にイメージさせる程に重厚な威圧感を与える。ボクシングスタイルのモデルは全盛期のマイク・タイソンと浜田剛史だと言われている。
ジム入門で出逢った同い年の先輩ボクサー・宮田一郎と2度スパーリングを行い、1回目の対戦では実力の差を見せ付けられて一歩が敗れるも、2度目の対戦で一歩が放ったアッパーが宮田の下顎をピンポイントで捉え予想外のKO勝ち。その結果、宮田が一歩との決着を意識して鴨川ジムを離れることになったが、それと同時にお互いを終生のライバルと認識するようになる。しかし、一歩にとってはライバルであると同時に鷹村と同様の「強さ」を象徴する憧れでもあるようだ。その事もあって宮田の話題になると誰よりも熱く語りだす。周囲に「宮田オタク」と言われるほど宮田の情報に必要以上に詳しく、その様子からジム内では「ホモ疑惑」まで浮上することも。
武恵一との日本タイトル防衛戦後、念願だった宮田の持つ東洋太平洋タイトルマッチ挑戦が流れたことで一時期目標を見失うが(実は宮田戦を最後に引退を決意していた)、懇意の記者・飯村真理の助言により前日本チャンピオン伊達から託された言葉を思い出して再起。新たな目標を世界タイトル挑戦に絞り動き出した。戦績21戦20勝20KO1敗(単行本78巻現在)。現在のところ鷹村と同じく作中でKO率100%を誇っている。倒し合いの末の逆転KOなど毎回スリリングな試合が多い為、会場人気は非常に高く、国内レベルではトップクラスの人気ボクサーとなっている。
鴨川会長とは厳しい練習と戦績を重ねるごとに強い師弟関係で結ばれ、その教えがしばしば試合中の劣勢を挽回する起爆剤になっている。教えられたことを忠実に実行してそれを確実に身に付けていく生真面目さやどんなに厳しいことを言ってもへこたれない根性に鴨川会長もかつての己の姿を重ね合わせ、己の拳を伝承しうるボクサーとして自身が叶わなかった世界制覇の夢を託している。鷹村曰く「じじい(鴨川会長)にとっては息子のように思っている」らしい。
恋愛事に限っていえば超が付く奥手で、よく言えば純情。悪く言えばヘタレ。間柴久美に出会ったときから惚れていて、実はお互い両想いなのだが、久美の兄・間柴了の無言の圧力と専門誌記者の飯村真理や板垣の妹・菜々子のアタック、鷹村始めジム仲間のちょっかい(面白がっている反面、なかなかくっ付かない事を心配して彼らなりに一歩に気を使っている)もあってなかなか進展しない。一度だけ意を決して告白した事もあるが、久美が酒に酔って寝てしまったため伝わっていない。
また、普段は滅多に怒らないが鷹村からのあまりに理不尽な要求には反抗したり(大抵は返り討ちにされる)、間柴や沢村ら実力はあるのにわざとダーティーな試合運びをするボクサーに対しては、怒りを爆発させる。また夢中になると周りが見えなくなることが数多くあり、お店の看板をパンチで壊してしまったり、テトラポット上でシャドーをして海に落ちたり、話に熱中するあまりお好み焼きの鉄板に直接手を置いてしまい火傷しそうになったり、と案外ドジな一面もある。
普段は父の死後に残された家業の「釣り船幕之内」を切り盛りしながら女手1つで自分を育ててくれた母・寛子を手伝って働いている(劇中、釣り船の操舵もしていることから、船舶の運転免許も持っていると思われる)。母親に対しては、釣り船屋を継ぐ事を先送りにしてボクシングを続けることに内心引け目を感じつつも、いつも黙って送り出してくれることに感謝している。
一時母親が過労で倒れ入院した時はボクシングを辞めて釣り船屋を継ぐことまで考えたが、自分をいじめていた梅沢が改心し釣り船屋を手伝うことになり、ボクシングを続けることが出来た(この一件で梅沢とは無二の親友となる)。また一歩の試合用トランクスは母の手作りである(一着目は名前がローマ字で「IPPO」となるところを「IPO」と縫いこまれてあり、青木等にからかわれた)。
ジム仲間からは「ビッグマラー」とアダナされる巨根の持ち主で、その大きさは鷹村でさえ敵わず思わず敬服するほど。これはあらゆる場面で事あるごとにネタにされていて、何故か殆ど関係の無い人まで広まっている。
- 一歩が試合の怪我で一時入院した時、鷹村に「鷹村参上!!」とマジックで落書きされたことがある。
- 試合前計量で勢い余ってパンツまで脱いでしまった時に、見たマスコミ陣が一様に驚愕の表情を浮かべ、馴染み記者の藤井や飯村真理も青ざめさせる。対戦相手の島袋からも「島でもこんなりっぱなハブは見たことない」と言われる。
- このときの島袋の落ち着いたリアクションとユーモアある回答を伝え聞いた鷹村・青木・木村が「島袋岩男恐るべし」と島袋の肝の太さを真剣に語り合う。
- 板垣の父は、今井が「試合に勝ったら菜々子を紹介して欲しい」という条件を出した話題に際し「どこの馬の骨ともわからん奴にくれてやるぐらいなら、一歩さんの馬の股間にくれてやる」と発言。
またボクシングと家業で鍛えた腕っ節の強さは相当で、腕相撲においてもウェイトの差を差し置いて鷹村と互角。その反面、球技は全くといってよいほどド下手で、ボーリングをやらせればガーター、草野球をやっても守備ではトンネル、攻撃では手も足も出ず三振ばかりで完全におまめの存在。
[編集] 得意技
- デンプシー・ロール(ノーマル・改良型)
- ガゼルパンチ
- リバーブロー
- ジョフレアッパー
[編集] 対戦成績
[編集] 公式戦
国内レコード 21戦20勝(20KO)1敗
- VS 小田裕介 3R 2:35 TKO勝ち(4回戦・プロデビュー戦)
- VS 藤原義男 1R 2:50 KO勝ち(4回戦)
- VS ジェイソン尾妻 2R 2:52 KO勝ち(フェザー級4回戦・東日本新人王1回戦)
- VS 小橋健太 4R 2:58 KO勝ち(フェザー級4回戦・東日本新人王2回戦)
- VS 速水龍一 1R 2:59 KO勝ち(フェザー級4回戦・東日本新人王準決勝)
- VS 間柴了 3R 2:13 KO勝ち(フェザー級6回戦・東日本新人王決勝)
- VS 千堂武士 3R 3:00 KO勝ち(フェザー級6回戦・全日本新人王決定戦)
- VS 沖田佳吾 1R 2:58 KO勝ち(フェザー級10回戦)
- VS 冴木卓麻 4R 2:12 TKO勝ち(フェザー級10回戦・A級ボクサー賞金トーナメント1回戦)
- VS アレクサンドル・ヴォルグ・ザンギエフ 5R 1:21 KO勝ち(フェザー級10回戦・A級ボクサー賞金トーナメント決勝)
- VS 伊達英二 5R 2:32 TKO負け(10回戦・日本フェザー級タイトル初挑戦)
- VS ポンチャイ・チュワタナ 2R 2:00 KO勝ち(フェザー級10回戦)
- VS 千堂武士 7R 1:32 KO勝ち(10回戦・日本フェザー級タイトル獲得)
- VS 真田一機 5R 2:33 KO勝ち(10回戦・日本フェザー級タイトル防衛1)
- VS ハンマー・ナオ 2R 2:42 KO勝ち(10回戦・日本フェザー級タイトル防衛2)
- VS イ・ヨンスー 1R 0:32 KO勝ち(10回戦・日本フェザー級タイトル防衛3)
- VS 島袋岩男 7R 2:15 KO勝ち(10回戦・日本フェザー級タイトル防衛4)
- VS 沢村竜平 7R 1:15 KO勝ち(10回戦・日本フェザー級タイトル防衛5)
- VS 唐沢拓三 2R 2:15 KO勝ち(10回戦・日本フェザー級タイトル防衛6)
- VS 武恵一 6R 1:00 KO勝ち(10回戦・日本フェザー級タイトル防衛7)
- VS ジミー・シスファー 4R 2:03 KO勝ち(フェザー級10回戦・タイ国フェザー級チャンピオンとのノンタイトル戦)
[編集] その他
鴨川ジムメンバーを除いて何らかの形で手合わせが実現している者を列記する。 尚、明確な結果のわかるものは同時に記載しておく。
- VS 宮田一郎 3R KO負け(試合形式のスパーリング)
- VS 宮田一郎 4R KO勝ち(試合形式のスパーリング)
- VS 小川直也 1R KO勝ち(プロテスト)
- VS 小森 1R(スパーリング)
- VS 伊達英二 3R(スパーリング・WBA世界フェザー級1位)
- VS 茂田晃 3R(スパーリング)
- VS リカルド・マルチネス 1R(スパーリング・WBA世界フェザー級チャンピオン)
- VS 今井京介 3R(スパーリング)
- VS アレクサンドル・ヴォルグ・ザンギエフ 3R KO負け(スパーリング)