鷹村守
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鷹村 守(たかむら まもる)は、森川ジョージの漫画作品及びそれを原作とするアニメ『はじめの一歩』に登場する架空の人物。アニメ版での声優は小山力也。生年月日は1969年7月7日。
[編集] 人物
現WBC世界ミドル級チャンピオン。同Jr.ミドル級も制し(3度防衛後、ミドル級王座挑戦の為返上)2冠制覇を達成した日本ボクシング界、ならびに作中最強の男。鴨川ジム所属。主人公・幕之内一歩をボクシングに引き込んだ張本人であり、作中色々な騒動を起こすことから狂言回しの役割を与えられている副主人公的キャラクターでもある(主人公の一歩が元いじめられっ子で根が大人しく積極的でない性格という設定を補うためのもの)。
性格は豪快かつ粗野にして品行下劣。常に自分が一番に注目されていないと気がすまない性分であり、自分を「オレ様」と呼び、他人に負けることなど一片たりとも考えてない超自信家。鴨川源二会長が街で初めて出会ったとき、既に日本チャンピオンクラスの実力の持ち主だったと言われる。スピード・パワー・テクニックと全てにおいて高いレベルの実力を持ち、インもアウトもこなせる万能型ボクサー。特別なフィニッシュブローはないが、繰り出される全てのパンチが必殺の破壊力を持つ。そのパンチ力は野生の熊さえKOした程。一歩の試合中などのコメントで分かるようにボクシングに関する含蓄も深い(時には鴨川会長でさえ気付けていない点まで指摘する)。本来持っている格闘センスに合わせ、鴨川会長に叩き込まれた技術と膨大な練習量に裏打ちされた基本に忠実なボクシングがその強さを支えている。一度口に出したことは力ずくだろうが偶然だろうが必ず実現させる、有言実行を地で行く男。
ボクシングそのものには真面目に取り組んでいるが、入場コスチュームやパフォーマンスなどはひたすら派手。熊をKOした直後の試合では熊の毛皮を被って入場し熊殺しパンチを世に知らしめたが、唐突過ぎて観客には作り話に思われてしまった。世界戦で使用した鷹の頭と羽根を模したフードつきガウンは好評であったが、カブト虫の着ぐるみなどは、派手を通り越して馬鹿そのものと言っても過言ではない(カブト虫のコスチュームはリングインの際にツノがロープに引っ掛かって取れてしまい、「ゴキブリじゃねーか」という野次まで飛んだ)。また本気なのかおふざけなのか、大事な試合中にもかかわらず「自分が引っ掛りそうになったから」と青木の”よそ見”を何の予備動作をせずに使ったり、必殺パンチと称して「ビートルズ・アッパー」という殆どなんの役にも立たない大振りアッパーを考案したり、端から見れば単なるお遊びとも思えるハチャメチャな試合運びに終始して終わることも多いが、それでも当たり前のように勝ってしまうあたり、対戦相手との力量があまりに違うとやりたい放題であり、勝ったにもかかわらず観客からブーイングがあがることも。そういう部分ではセコンドとして一緒に恥をかいてしまう鴨川会長も「実力はともかく人格的に王者には程遠い」と嘆いている。
しかし、一歩・青木・木村がボクシングを始めたキッカケが鷹村との出会いであったように、その存在感は鴨川ジム内で計り知れない。また毎回の如く青木たちに理不尽な要求を突きつけても好かれ続けるのは、実績もさることながら、後輩たちが思わず憧れざるを得ない無類の強さと時折垣間見せる男らしい気遣いや優しさゆえ。一歩とのスパーリング後に鴨川ジムを離れた宮田一郎のことを今でも気にかけている。また一歩と宮田の決着を誰よりも心待ちにしていた一人でもあり、高いレベルでの勝負を見たいという己の願望から、本来敵方である宮田のカウンターを「質が軽い」とあえて指摘して的確なアドバイスを施す。また宮田も鷹村の眼の異常を疑い、一歩を動かしてまで心配するあたり、兄弟弟子として心の奥では深く繋がっているようだ。
また無類のイタズラ好きで、青木を筆頭に鴨川ジムやその関係者が受けた被害の数々は枚挙に暇が無い。またそれを殆ど反省することも無く、例え反抗されても力ずくで押さえ込んでしまう。ボクシングが絡んでくるところ以外はとにかく落ち着きが無く、じっとしていられない。悪知恵に関しては頭の回転が異常に早い。ガキ大将がそのまま大きくなった人物と言ってよい。
但しオカルトが絡んでくると話が別で、海辺での合宿で猫田のイタズラを幽霊の仕業と思い込んだり、トミ子のタロット占いで試合前の自慰の回数を正確に言い当てられたりすると、表情が楳図かずおの絵の如く豹変する。
実はリゾート開発で有名な鷹村開発の次男坊というボンボンなのだが、学生時代から粗暴であったために実家からは拒絶されている。兄の卓、姉の京香、弟の渡の3人の兄弟がいる。勤勉でスポーツも出来る優等生な兄・卓とはまるっきり馬が合わなかったが、世界チャンピオンになってその関係も少しずつ変化してきているようだ。また姉の京香と弟の渡は、家から離れて暮らす鷹村のことを心配しつつ熱心に応援している。
モデルは”石の拳”ロベルト・デュラン。また後輩たちに対する有無を言わさない「オレ様」振りや次々と仕掛けをして世間に話題を提供する姿は、プロレスラー・アントニオ猪木の現役時代を想起させる。実際に青木・木村との出会いやジム内のドタバタの際、プロレス技を繰り出す事が多い(もちろん大抵の被害者は青木。ごく初期の頃、作者はよく対戦相手の名前にプロレスラーの名前をもじってつけていた)。
作者はボクシングでは何が起きるか分からない(主に不幸な事故を想定)という作中の世界観を表現するため、鷹村という作中最強の男を網膜剥離の疑いにさせた。
ボクシングに関係する話になると真剣な表情になり、名台詞をいくつか残している。
[編集] 得意技
- 熊殺しパンチ(具体的なフィニッシュブローではなく、繰り出すパンチがどれも「熊をも殺す程の威力」だと言う通称)
- ダイナマイトパンチ(上に同じ)
- ビートルズアッパー(角で相手をひっくり返すカブト虫を模した、超大振りの左アッパー。鴨川会長からテレフォンパンチと一喝された。実際の試合でも相手に当たる前に試合が終わってしまった)