弦楽四重奏曲第12番 (ドヴォルザーク)
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ドヴォルザークの弦楽四重奏曲第12番ヘ長調 作品96, B.179 『アメリカ』は、1893年に作曲された弦楽四重奏曲。ドヴォルザークがアメリカ滞在中に作曲した作品で、彼の室内楽作品中最も親しまれている作品である。
目次 |
[編集] 作曲の経緯
1892年9月、ドヴォルザークは、ニューヨーク・ナショナル音楽院の院長としてアメリカに渡った。彼は黒人霊歌やアメリカ先住民達の歌に興味を持ち、黒人霊歌の編曲者で歌手であったハリー・サッカー・バーレイを自宅に招いて歌を歌ってもらったり、大衆的な歌謡ショーであるミンストレル・ショーのためにフォスターが作曲した歌曲にも興味を持っていた。こうした音楽が彼のアメリ時代の作品には大きな影響を与えている。その代表作が前作の交響曲第9番であり、本作であり、後に書かれるチェロ協奏曲である。
彼は、1893年5月に交響曲第9番「新世界より」を書き上げ、アメリカでの最初の夏期休暇を、チェコからの移民が多く住んでいたアイオワ州スピルヴィルで過ごすことにした。音楽院でヴァイオリンを学んでいた学生ヨゼフ・ヤン・コヴァリックの父親の家に招かれたのであった。この地でくつろいだドヴォルザークは、コヴァリック一家が演奏するためにこの作品を驚くべき速度で作曲した。1893年6月8日に着手するとわずか3日間でスケッチを終え、6月23日には完成させていた。
[編集] 初演
1894年1月1日、クナイゼル弦楽四重奏団によりボストンで初演された。
[編集] 楽章構成
- Allegro ma non troppo
- Lento
- Molto vivace
- Vivace ma non troppo
演奏時間は、全曲で約25〜30分。これは彼の弦楽四重奏曲中、三楽章形式の第4番に次いで短い。
[編集] 楽曲の内容
- 第1楽章はヘ長調のソナタ形式。渡米前には、ソナタ形式でありながら変則的な構成を好んだドヴォルザークであったが、この作品では型通りのソナタ形式となっている。第1主題は五音音階によるどこか懐かしい雰囲気の旋律で、ヴィオラにより歌われる。第2主題はイ長調で第1ヴァイオリンが提示する。
- 第2楽章はニ短調、三部形式の感動的な緩徐楽章である。ヴァイオリンが黒人霊歌風の歌を切々と歌い、チェロがこれを受け継ぐ。中間部はボヘミアの民謡風の音楽となり、郷愁を誘う音楽である。
- 第3楽章は、ヘ長調のスケルツォ楽章。中間部はヘ短調で、主部から派生した主題を用いて構成されている。この主題は、スピルヴィルで耳にした鳥のさえずりをメモしたものといわれる。
- 第4楽章は、ヘ長調のロンド。ロンド主題は快活な性格の主題だが、第2副主題はこれとは対照的にコラール風なもので、美しい対比を奏でる。
[編集] 参考図書
作曲家別名曲解説ライブラリー6「ドヴォルザーク」(1994年 音楽之友社)ISBN 4276010462
カテゴリ: 弦楽四重奏曲 | ドヴォルザークの楽曲