弦楽四重奏曲第15番 (ベートーヴェン)
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《弦楽四重奏曲 第15番 イ短調》作品132は、ベートーヴェンが1825年に作曲した室内楽曲。同年11月6日にシュパンツィヒ四重奏団によって初演された。《第12番》、《第13番》および《第14番》と同じく、ニコライ・ガリツィン伯爵に献呈されている。以下の5楽章からなる。
- Assai sostenuto - Allegro
- Allegro ma non troppo
- 「病より癒えたる者の神への聖なる感謝の歌。リディア旋法による Heiliger Dankgesang eines Genesenen an die Gottheit, in der lydischen Tonart」Molto Adagio - Andante
- Alla Marcia, assai vivace (attacca)
- Allegro appasionata - Presto
《第14番》と同じく、第1楽章の緩やかな序奏が、作品全体と《大フーガ》にも登場する動機の基礎となる。第1楽章の異例な楽曲構成について、ロジャー・セッションズは、標準的なソナタ形式とは違って呈示部が三重構造になっていると論じた。
第2楽章は、《交響曲第3番》以来ベートーヴェンが繰り返してきたスケルツォというよりも、むしろトリオつきのメヌエットというべきである。トリオは、主音(ここではラ)の保続音の上に旋律が奏でられるため、ミュゼットを思い起こさせる。
第3楽章が作品中では最も長く、全体のクライマックスに位置している。形式的に言えば、ゆっくりとしたヘ調の教会旋法による部分と、より速めの「新しい力を得た"Neue Kraft fühlend" 」ニ長調の部分の交替で構成される。この楽章は、ベートーヴェンが恐れていた重病から快復した後に作曲されたため、上記のような題名が付された。
短いイ長調による行進曲は、レチタティーヴォ風の楽句によって、ロンド形式のフィナーレにつながれている。ベートーヴェンのスケッチ帳には、イ短調のロンド主題に似た主題があり、これは当初は、《交響曲第9番》の、放棄された器楽による終楽章のつもりだったらしい。二段構えのコーダにおいてイ長調に転じて終わる。