徽宗 (宋)
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徽宗（きそう、1082年11月2日（元豊5年10月10日） - 1135年6月4日（紹興5年4月21日） 在位1100年 - 1125年）は北宋の第八代皇帝。贈名は体神合道駿烈遜功聖文仁徳憲慈顕孝皇帝（退位したので「遜」（ゆずる）という文字が入っている）。諱は佶。第六代皇帝神宗の子。芸術面では北宋最高の一人と言われる。
神宗の第十一子として生まれ、1100年、兄哲宗が25歳で死んだ時に哲宗には跡継ぎがいなかったので弟の徽宗が皇帝となった。重臣は他の皇子の継承を望んでいたが、皇太后向氏の意向により徽宗に決まった。初めは穏健な新法派で皇太后の信任が厚かった曾布が新法・旧法両派から人材を登用して新法旧法の争いを収めて漸進的な改革を進めた。だが、これに飽き足らない新法派の蔡京らの策動によって曾布は失脚して蔡京が政権を握った。
文人、画人としての徽宗はまさしく天才であり、宋代最高の一人である。痩金体（「痩金」は徽宗の号）と呼ばれる独特の書体を作り出し、絵画では写実的な院体画を完成し、「風流天子」と呼ばれた。現在、徽宗の真筆は極めて貴重であり、日本にある桃鳩図は国宝に指定されている。
皇帝としての徽宗は自らの芸術の糧とするために、庭を飾る大岩や木をはるばる南方より運河を使って運ばせた（花石綱）。また芸術活動の資金作りのために『水滸伝』の悪役として名高い蔡京や宦官の童貫らを登用して民衆に重税をかけた。神宗、哲宗期の新法はあくまで国家財政の健全化のためであったが、徽宗はそれを自らの贅沢のためだけに使った。土地を測るときにそれまでよりも短い尺を使い、それで出た余剰の田畑を強制的に取り上げた。また売買契約書がしっかりしていない物をこれも強制的に取り上げた。
このような悪政により民衆の恨みは高まり、方臘の乱を初めとし、反乱が頻発した。この反乱指導者の中に山東で活動した宋江と言う者がおり、明代の小説『水滸伝』はこれをモデルにした講談から発展していった物語である。
当時、宋の北方の脅威であった遼は皇帝や側近が堕落し、国勢が衰えてきていた。そして遼の背後の満州で女真族が完顔阿骨打の元で急激に力を付けてきており、女真と共に遼を挟撃し、宋建国以来の悲願である燕雲十六州奪還の好機が巡ってきたと宋の首脳部は考え、女真に対して使者を出し、約束を取り付けた。これを海上の盟と呼ぶ。
1121年（宣和三年）、金は約束どおり遼を攻めたが、宋は方臘の乱の鎮定のため兵を裂かなければならず、また徽宗の優柔不断により出兵が遅れた。翌年、宋も兵を出し、遼の皇帝が逃げ込んでいた燕京を攻めた。金との約束では長城を金軍は越えないという約束であった。その約束にしたがい燕京を攻めていた宋軍を金軍は見守っていたが、宋軍は弱く何度攻めかかっても跳ね返された。宋軍の指揮官童貫は戦場の不手際により誅殺されることを恐れ、金軍に援軍を求めた。金軍は簡単に燕京を陥落させ、その住民を連れ去った。完顔阿骨打は宋との盟約を守り、燕雲十六州のうち燕京以下南の六州を宋に割譲した。燕京を落とした代金として銀20万両、絹30万匹、銭100万貫、軍糧20万石を受け取り引き上げた。
1125年（宣和七年）、燕雲十六州の一部は奪還したが、宋の首脳部は残りの州をも奪還したいと願い、密かに遼の敗残軍と連絡を取り、金を攻めようとしていた。しかしこの陰謀は金に露見し、完顔阿骨打の後を継いだ太宗は伐宋の軍を出した。慌てた徽宗は「己を罪する詔」を出し、退位して、長男の趙桓を立て欽宗とした。その後、譲位して上皇となった徽宗は金軍から逃げ出し、開封を脱出したが欽宗に連れ戻された。
1126年（靖康元年）、金は開封を陥落させ、徽宗は金に連行され（靖康の変）、1135年（紹興五年）、その地で54歳の時最期を迎えた。
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