救急医療
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救急医療(きゅうきゅういりょう)とは、疾患や疾患、外傷、中毒等に対して緊急の処置ならびに対応の必要があるものに行われる医療体制。
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[編集] 概要
救急医療には覚知、搬送、診療の3つが重要となる。心肺停止などの重症例では蘇生処置も加え、「素早い通報」「素早い蘇生処置」「素早い搬送」「素早い診療」の4つを「救命の連鎖」と呼ぶこともある。
- 急性期、超急性期への対応
- プレホスピタルの重要性
- 症状軽減・救命の優先
[編集] 救急医療体制
日本における救急医療体制は医療計画においては二次医療圏までで対応させるとしている。また、その「重症度」に応じて以下の3段階で対応することとされている。救急指定病院もこれらの段階のうちどの段階まで対応するか想定した上で患者受け入れ体制をとっている。しかし、こうした重傷度に応じた体制には限界があり、初期(一次)~三次救急と独歩来院を包括して診療する北米型のERシステムを採用する病院も出てきている。
[編集] 初期救急医療
入院治療の必要がなく外来で対処しうる帰宅可能な患者への対応機関。整備は市町村の責務とされている。主に内科、外科を診療科目とするが、住民の要望の高まりと必要性から小児科を加える自治体もある。
- 在宅当番医制(休日のお医者さん)
- 休日夜間急患センター
[編集] 二次救急医療
入院治療を必要とする重症患者に対応する機関。都道府県が定めた医療圏域(二次医療圏)ごとに整備するため、市町村の垣根を越えた整備が必要なことが多い。近年は小児救急医療へ対応するため、通常の二次救急(内科、外科、脳外科等)とは別に小児二次救急医療の体制を独自に組む医療圏もある。肺炎、脳梗塞など。
- 病院群輪番制
救急指定病院が、救急患者のたらい回しをしないため、当番病院を定めて休日、夜間の救急医療に当たる方式。
- センター方式
中核となる救急指定病院に当番で他の病院や開業している医師が集まり、休日や夜間の救急医療に当たる方式。
[編集] 三次救急医療
二次救急医療では対応できない複数診療科にわたる処置が必要、または重篤な患者への対応機関。心筋梗塞、多発外傷、重症熱傷など。
- 救命救急センター
- 高度救命救急センター
[編集] 患者のモラルの低下
高度医療を求める傾向から、軽症の患者が二次医療を提供する救急指定病院に休日や夜間に集中し、病院が本来の機能を果たせないという現象が生じている。また軽症での救急隊要請が増加しているため救急車が常に出動中となってしまうなどの問題も生じている。
また深夜の救急医療の場に「昼は仕事をしているので、今すぐ専門医に診てもらいたい」「3ヶ月前からおなかが痛い」「普段通院でもらっている薬が欲しい」「眠れない」「さみしい」など、救命救急の場にはそぐわない患者が来院するケースが目立ってきている。 このため当直医の負担は著しく、当直の翌日が休みになる勤務態勢をしいている病院は少なく連続36時間以上働き続けることとなり、燃え尽き退職する医師や過労死をする医師も増えている。また自治体による小児医療の無料化に伴い、無料である気軽さから医療のコンビニ化が顕著となり小児科医の疲弊もすさまじくなっており、元々慢性的な過重労働であった小児科医の減少も著しくなっている。
小児の救急疾患は重篤である場合が少なくないが、近年小児科を設置している病院の減少等もあり小児の救急医療体制が急務とされている。
出産取り扱いの予約をしているわけでもない病院に押しかけ、強引に出産するケースが増えつつある。このようなケースでは分娩費用等を支払わないケースが多く、病院を経営面から圧迫している。
[編集] 救急救命士
日本ではCPAOA(到着時心肺停止)の社会復帰率の低さから救急医療の強化が求められ、それに応じて救急救命士が法制化された。これは、医師の指示のもとに輸液ルート確保、食道閉鎖式チューブ等による気道確保、電気的除細動が認められる資格である。また2004年7月から、病院にて30症例の気管挿管の実習を修了した救急救命士には気管挿管が認められた。さらに2006年4月から講習および実習の後、強心剤(アドレナリン)の薬剤投与を行うことが認められた。
[編集] 関連項目
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