杉山和一
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杉山和一(すぎやま わいち、1610年(慶長15年) - 1694年6月10日(元禄7年5月18日))は、伊勢国安濃津(現在の三重県津市出身の検校。鍼の施術法の一つである管鍼(かんしん)法を創始するとともに、鍼・按摩技術の取得教育を主眼とした世界初の視覚障害者教育施設とされる「杉山流鍼治導引稽古所」を開設した。
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[編集] 視覚障害者教育施設開設年の比較
(世界初の聾学校:「ド=レペの聾学校」(パリ・1760年)
[編集] 杉山流鍼治導引稽古所
糀町(こうじまち)から道三河岸、鷹匠町ののち、 1693年(元禄6年)から 本所一つ目弁財天社内に開設された。
この場所は、杉山和一が徳川綱吉から拝領した約1900坪の土地の約半分で現在は江島杉山神社(東京都墨田区)となっている。
ここでの教育は系統的になされており、学ぶ教科書や内用によって次の4段階にわかれていた。
- 初期教育(~18歳位):
- 按摩・鍼各3年(計6年)の基礎教育。杉山三部書(療治之大概集・選鍼三要集・医学節用集)が教科書。
- 中期教育(~28歳位):
- 現在の管鍼法の技術レベルまでの教育。杉山真伝流の表の巻が中心となる教科書。
- 後期教育(~32歳位):
- 杉山流鍼学を他人に伝授できるレベルまでの教育。杉山真伝流目録の巻物一巻(真伝流の表の巻・中の巻・奥龍虎の巻)を教科書とし、終了時には門人神文帳一冊が伝授された。
- 最終教育(~50歳位):
- 杉山真伝流秘伝一巻が伝授された。
[編集] 本所一つ目
杉山和一の献身的な施術に感心した徳川綱吉から「和一の欲しい物は何か」と問われた時、「一つでよいから目が欲しい」と答え、その代わりに同地(本所一つ目)を拝領した。