森茉莉
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森 茉莉（もり まり、1903年1月7日 - 1987年6月6日）は、日本の小説家、エッセイスト。
東京市本郷区駒込千駄木町出身。文豪森鴎外と、その二人目の妻志げの長女である。幻想的で妖艶な美の世界を表現することに優れており、主な著作には『父の帽子』『恋人たちの森』『甘い蜜の部屋』などがある。
目次 |
[編集] 来歴・人物
森家の長女として生まれた彼女は、鴎外を始め非常に多くの人に囲まれ、かわいがられて育った。特に鴎外の溺愛ぶりは有名で、彼女は16才まで鴎外の膝の上に座っていたという。
1919年鴎外の紹介で山田珠樹と結婚。1922年に1年間渡仏してパリに住む。この旅の途中で、日本で最愛の父が死去。このことが、後年鴎外像を美化する一因ともなる。
1920年、1925年には、長男、次男を出産するも、1927年離婚。戦争中は森家に寄宿する生活だったものの、いわゆる「出戻り」であったため、肩身の狭い生活だったようである。1947年より、世田谷区にて一人暮らしを始める。長らく無職だったが、この頃に鴎外作品の著作権が切れて印税収入が入らなくなったために文章で稼ぐ事を余儀なくされ、一時は花森安治が編集する「暮しの手帳」の編集部に身を寄せていた。この前後に多くの文人と交わる他、離婚により離れることとなった子供たちと再会するなどしている。特に、性格の似ていた長男の爵（正しくは爵の四から上を木に置き換えた字。読みはジャク（Jacques））とは恋人のような生活だったという。ただし、生活能力のなさから、家はかなり散らかった様子で、室生犀星などは、そのことを気にして夜も眠れなかったという。
1957年、54才にて鴎外に関するエッセイを集大成した『父の帽子』を発表、第5回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞する。その後、『甘い蜜の部屋』(泉鏡花文学賞受賞)『恋人たちの森』(田村俊子賞受賞)などの長短編小説群を発表。三島由紀夫などから激賞され、一躍作家の仲間入りをする。
その後も、父鴎外の話を中心に多くのエッセイを執筆し、全集も出版されている。『贅沢貧乏』などでは、独自の美学を表現する。
「子どもがそのまま大きくなったような人」と評された茉莉の生活能力の無さは自他共に認める所であるが、唯一料理だけはかなりの腕前と自負していた(ほとんどの人に疑われたようだが、実際に茉莉の料理を口にした人は多くがその味を褒めている)。作るだけでなく食べる事も大好きで、小説で好んで食事のシーンを書いたほかエッセイで得意料理の拵え方やお気に入りの食べ物への言及が多々見られる。後年、森茉莉を愛する人々の手によってエッセイから食べ物に関する文章を抜き出した選集が編まれたり、茉莉の作った料理を再現した本が出されたりもした。
1987年、心不全により永眠。享年85。戒名は「常楽院茉莉清香大姉」。
[編集] 血縁者
- 森鴎外 - 父
- 森登志子 - 鴎外の先妻
- 森志げ - 母（名前の表記はしげ、志げ、茂子など複数存在する）
- 森静男 - 祖父
- 森峰子 - 祖母
- 赤松則良 - 登志子の父、海軍中将男爵
- 荒木博臣 - 母方の祖父、大審院判事
- 森篤次郎 - 叔父、劇作家三木竹二
- 森潤三郎 - 叔父
- 小金井喜美子 - 叔母、随筆家、歌人
- 小金井良精 - 喜美子の夫。東大教授、人類学者
- 森於菟 - 異母兄、東邦医大教授
- 森ふき - 於菟の妻
- 森不律 - 最初の弟、生後すぐ逝去
- 小堀杏奴 - 妹、随筆家
- 小堀四郎 - 杏奴の夫、画家
- 森類 - 弟、著述家
- 山田珠樹 - 一番目の夫、仏文学者
- 山田爵 - 山田珠樹との間にできた長男、仏文学者、成城大学文芸学部教授
- 山田亨 - 山田珠樹との間にできた二男、平凡社勤務
- 佐藤彰 - 二番目の夫、東北帝国大学医学部教授
[編集] 森於菟の子
[編集] 小堀杏奴の子
- 小堀鴎一郎
- 横光桃子 - 横光佑典（作家横光利一二男）の妻
[編集] 小金井喜美子の子
[編集] その他
- 彼女が最も慕っていた文学者は、草野心平。
- 他、室生犀星も慕っており、エッセイには彼のことを書いた文章が多く出てくる。
- 著書『記憶の絵』(ちくま文庫)で、父・鴎外は饅頭茶漬けが好物だったと告白し、鴎外曰く「渋く粋な甘味」だそう。
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