楕円曲線
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のことである。
[編集] 説明
上の式は、三次曲線の変曲点が (0,1,0) にあり、その接線が z であるとした時に得られる形で、ワイエルシュトラスの標準形と呼ぶ。この斉次式を非斉次形に直すと、
となる。
体kの標数が2でない時はもっと簡単に、
と表せ、さらに標数が3でもない時は、
と表される。
曲線 E において x, y を複素領域に拡張し、無限遠点を付与すると、トーラスになる。 また、この曲線 E 上の点に対して以下の方法で加法 "+" を定義することができる:
E 上の二点 P = (x1, y1), Q = (x2, y2) に対し、P + Q で表される第三の点 (x3, y3) を、直線 PQ と E との交点とx 軸に関して対称な位置にある点と定義する。ただし、P = Q であるときには、「直線 PQ」 は自然な極限をとって 「P における接線」 と読み替えるものとする。実際に座標を計算すると、
E におけるこの二項演算 "+" は閉じていて、結合法則が成り立ち、単位元が存在し、逆元が存在し、交換法則が成り立つ。つまり、この代数系は可換群になる。 ここで考えている点は複素数点でも実数点でも有理数点でも良いが、特に、有理数点のなす群は有限生成(モーデルの定理、1923年)である。
これにより有理点群の階数(ランク)が考えられる。任意の階数の有理点群を持つ楕円曲線が存在するかどうかは未だ解かれていない問題である。ちなみに、2000年時点での最高の階数はマルティン・マクミランによる24である。 楕円曲線の階数と楕円曲線から作られるL関数の s=1 での零点の位数が等しい、という予想(バーチ・スウィンナートン=ダイアー予想)がある。
[編集] 他分野との関係
楕円曲線は、楕円関数と密接な関係がある。楕円関数は、19世紀には数学の中心的な話題となっていた。その意味で、楕円曲線は決して特殊な概念ではない。数学において非常に重要な位置を占める。
楕円曲線の概念は、谷山・志村定理を通じて、フェルマーの最終定理の解決に貢献した。近年では、IT分野で楕円曲線暗号という形で話題になっている。
Microsoft Digital Rights Management で用いられている楕円曲線暗号は
という曲線上の代数系を用いている。