機甲界ガリアン
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機甲界ガリアン | |
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ジャンル | ロボットアニメ |
テレビアニメ | |
監督 | 高橋良輔 |
アニメーション制作 | 日本サンライズ |
製作 | 日本サンライズ |
放送局 | 日本テレビ |
放送期間 | 1984年10月5日 - 1985年3月29日 |
話数 | 全25話 |
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『機甲界ガリアン』(きこうかいガリアン)は、1984年(昭和59年)10月5日から1985年(昭和60年)3月29日まで日本テレビ系で毎週金曜日17:30 - 18:00に全25話が放送された、サンライズ製作のロボットアニメ。
目次 |
[編集] 概要
一見すると中世騎士物語風のファンタジーだが実はハードSFといういささか凝ったつくりをしている。当初、1年の予定で製作が始められたが、プラモデルの売り上げ不振により放映期間の短縮となった。そのために前半のストーリー展開がのんびりしているのに対し、最後の5話は怒涛の急展開を見せる。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] ストーリー
嫡子誕生に沸くボーダー城に迫る巨大な影は、征服王マーダルの人馬兵の軍勢だった。城はたちまち陥落、ボーダー王も戦死する。忠臣アズベスと共に辛くも城を脱出した王妃フェリアは、追っ手に捕らえられ、残された王子ジョルディはアズベスの孫「ジョジョ」として育てられる。彼は惑星アーストの伝説に残る鉄巨人を捜し求め放浪の旅を続け、十二年の後に辿りついたのは、反マーダル勢力が立てこもる白い谷だった。マーダル軍の攻撃の中、チュルルに導かれたジョジョは古の鉄巨人「ガリアン」を発見し、征服王との闘いをはじめるのだった。
[編集] 登場人物
- ジョジョ(ジョルディ・ボーダー):菊池英博
- ボーダー城陥落の日に生まれた12歳の少年。アズベスの孫として育ち、白い谷でチュルルの導きによりガリアンと邂逅。後に自分が亡国の王子である事を知る。
- チュルル:渕崎ゆり子
- 白い谷の指導者ダルタスの娘。元気一杯。ジョジョとは幼い頃過ごした経験があるらしい。ジョジョに思いを寄せる。自分が見つけた秘密の場所へ案内する。愛称は「チュチュ」。
- アズベス:小林修
- ボーダー王の忠臣。64歳。マーダルらの追跡から逃れるため、王とフェリアから託された子ジョルディを自分の孫として育てる。剣豪として知られ大剣を背負い、単身マーダル誅殺を決行するが果たせずに散る。尚本作のナレーションはアズベスの立場で語られたが(大抵「わが王子は~」という言葉から始まる)、それはアズベスの死後も継続された。
- レッド・ウインドゥ:千葉繁
- 17歳の盗賊。無重力の谷でジョジョに出会う。身のこなしが軽い鞭の使い手。ヒルムカにベタ惚れする。後にガリアン自走改の操縦を行うようになる。
- 推定年齢18歳。謎の女。白い谷の人々にとっては素性が知れない流れ者だが、突然チュルルを連れ、ガリアンを駆るジョジョを無重力の谷へと誘う。後にはガリアンを重装改に改造、更にはメンテナンスをも行う。そんな彼女の正体は…
- ダルタス:筈見純
- 白い谷の指導者。チュルルの父親。
- ドン・スラーゼン:兼本新吾
- 反マーダルを掲げる地方豪族の一人。アズベスの知己。スカーツを操る。かつてはマーダルに仕えていた。豪放磊落な人物だが勘は良く、マーダルの正体について薄々感づき、後にその勘の証拠を見つけた事から離反、白い谷の危機に配下の赤い機甲兵団を引き連れ、彼らに加勢。自らが掴んだ情報を白い谷の面々に伝え、そのままジョジョに仕える事に。
- ジルムセン・ランベル:屋良有作
- マーダル軍随一の剣客。ザウエルを使用。己の信念に基づいて行動する男。ジョジョとの一騎打ちに敗れ捕虜になるが、その誠実さからか後に白い谷側に付く。
- マーダル:加藤精三
- アーストに突如として現れた征服王。口髭、顎鬚、スキンヘッドの偉丈夫。征服王の名に恥じない膂力を見せ付ける。自らに従わない白い谷に終結した面々に何度となく軍を差し向けるが、そんな彼の真の目的は…。
- ハイ・シャルタット:速水奨
- マーダルの親衛隊隊長。れっきとしたアースト人。白銀のウィンガル・ジー、青いアゾルバ・ジーに搭乗。マーダルへの忠義一途の男で、彼の命ならいかなる命令であろうと実行する。
- ウーズベン:井上和彦
- ヒルムカの同僚。任務と彼女への愛情の狭間で身動きがとれなくなってしまう。
- フェリア・ボーダー:泉晶子
- ボーダー落城の日に征服王に捕らえられ、生きたままレリーフの様な形でコールドスリープさせられる形で封印。23歳の姿形のまま壁に飾られている。
- 評議会議員:銀河万丈
[編集] 登場メカニック
機甲兵を参照。
[編集] 用語
- 瞬光弾【マグネシウムアロー】
- この物語世界の大威力兵器で、命中すると一瞬遅れて閃光を発し、あたりに破壊をもたらす。モノコットだけでなく、スカーツの鉄鷲機(バックインバネス)も一発だけ搭載。白い谷側には、車輪の付いたいわゆる大砲タイプの瞬光弾発射装置が多機種、それなりの数配備されている。設定では、大気を取り込んで高温高圧のプラズマにしたものを重力コーティングして弾体とし、それを電磁誘導で発射するらしい。反動が少なく、通常時は弾体重量や弾体ホルダーが必要で無いという利点があり、命中すると、重力コーティング崩壊時の周囲への破壊力と、解放されたプラズマの爆発力で多大な被害を与えるらしい。
- 全天周囲モニター
- 全天周囲モニターの採用は、おそらくこの作品が最初であるが、この機能が搭載されているのはガリアンのみである。モニター映像には黒いハニカム模様の枠がかかって見える演出がされており、非常に凝っていた(『重戦機エルガイム』と同時期に放送されていた作品だが、『エルガイム』ではスタート時には不完全な全天周囲モニターであり(覆い状のモニターの中に頭を突っ込む形だった)、エルガイムMk-IIで初めて全天周囲モニターが実現されている)。
- 超空間転移機
- 超光速航法ないし、ワープ航法を実現する装置。アースト人は、通称「鉄の塔」と呼ぶ。もともとは、惑星アーストの第一次文明人が全ての兵器とともに争いのもととならぬように地下に埋めたもの。かってアーストの第一次文明人は、これを使用することにより「ハイジャンプ」時代を迎え宇宙に進出することができ争いのない理想郷、イラスタント銀河文明を築いた。作中では、マーダルが「発掘場」から発掘し、惑星ランプレート征服のために使用し、はるかに離れているアーストとランプレートを地続きにした。
- イレーザー
- イラスタント銀河高度文明連合の持つ自己破壊装置。形状は、円錐、立方体、正20面体など幾何学的な立体を呈する多数の物体の集合体である。アースト人の移住により築かれたイラスタント銀河文明に太古より伝わる大いなる力とされる。惑星ランプレートにおいて反逆者マーダルが機甲界の住人との戦闘行為、及び自身の兵による破壊行為を行なうことで、ランプレート人を憎悪の感情に覚醒させようとする意図に気づいた惑星オムガの中央評議会は、このイレーザーを発動させたが、実は評議会すらその正体を知らなかった。ひとたび発動が決断されたら、その活動を中断したり停止したりすることはできない。全てのエネルギーを発散しきるまで機能し、目標の周囲1.6パーセク(5.216光年)までを重力波動によって原子に還元してしまう。これは兵器ではなく、憎悪や恐怖、暴力といった負の感情で心を汚されないように「外科手術」的にそのような部分を取り除くことを意図した高度文明連合の存在意義を維持するための自己破壊装置であった。超空間を通過した後、10パーセク(32.6光年)を8時間という光速を超える驚異的なスピードでランプレートに迫り、ランプレート周辺1.6パーセクの物体を消滅させた。
[編集] スタッフ
[編集] 主題歌
- 流石にオープニングなので、英語詩はサビ部の過半数程度に抑えられている。
- エンディング・テーマ
- 「星の1秒」
- 作詞:三浦徳子、KING REGUYTH
- 作曲、編曲:井上大輔
- 歌:EUROX
- 「星の1秒」
- オリジナルの歌詞ですら、日本語詩なのは一番の半ば過ぎまで(アニメ本編で流されるのは一番のみ)。二番以降は完全英語詩。
※英語歌詞バージョンはサウンドトラックに収録されている。
[編集] 放映リスト
- 「伝説の始まり」 (1984年10月5日放映)
- 脚本:鳥海尽三、絵コンテ:谷田部勝義、演出:谷田部勝義、作画監督:中村旭良、塩山紀生
- 「ガリアンの目覚め」 (1984年10月12日放映)
- 脚本:五武冬史、絵コンテ:知吹愛弓、演出:知吹愛弓、作画監督:二宮常雄、塩山紀生
- 「白い谷の闘い」 (1984年10月19日放映)
- 脚本:吉川惣司、絵コンテ:康村正一、演出:康村正一、作画監督:谷口守泰、塩山紀生
- 「チュルルを追って」 (1984年10月26日放映)
- 脚本:鳥海尽三、絵コンテ:津田義三、演出:津田義三、作画監督:中村旭良、塩山紀生
- 「無重力の谷」 (1984年11月2日放映)
- 脚本:五武冬史、絵コンテ:加瀬充子、演出:加瀬充子、作画監督:八幡正、塩山紀生
- 「地底に眠る秘密」 (1984年11月9日放映)
- 脚本:吉川惣司、絵コンテ:谷田部勝義、演出:谷田部勝義、作画監督:谷口守泰、塩山紀生
- 「ローダン軍接近」 (1984年11月16日放映)
- 脚本:鳥海尽三、絵コンテ:康村正一、演出:池田成、作画監督:貴志夫美子、吉田徹、塩山紀生
- 「マーダルの告発」 (1984年11月23日放映)
- 脚本:五武冬史、絵コンテ:知吹愛弓、演出:知吹愛弓、作画監督:二宮常雄、塩山紀生
- 「裁かれるヒルムカ」 (1984年11月30日放映)
- 脚本:吉川惣司、絵コンテ:津田義三、演出:津田義三、作画監督:中村旭良、塩山紀生
- 「火を吹く重装改」 (1984年12月7日放映)
- 脚本:鳥海尽三、絵コンテ:加瀬充子、演出:加瀬充子、作画監督:八幡正、塩山紀生
- 「騎士と勇者」 (1984年12月15日放映)
- 脚本:五武冬史、絵コンテ:谷田部勝義、演出:谷田部勝義、作画監督:貴志夫美子、吉田徹、塩山紀生
- 「マーダルの正体」 (1984年12月22日放映)
- 脚本:吉川惣司、絵コンテ:池田成、演出:池田成、作画監督:中村旭良、塩山紀生
- 「ジョジョの悩み」 (1984年12月29日放映)
- 脚本:吉川惣司、絵コンテ:知吹愛弓、演出:知吹愛弓、作画監督:谷口守泰、塩山紀生
- 「ああ、ものいわぬ母」 (1985年1月11日放映)
- 脚本:鳥海尽三、絵コンテ:津田義三、演出:津田義三、作画監督:八幡正、塩山紀生
- 「鉄の城脱出」 (1985年1月18日放映)
- 脚本:鳥海尽三、絵コンテ:加瀬充子、演出:加瀬充子、作画監督:貴志夫美子、吉田徹、塩山紀生
- 「マーダル出陣」 (1985年1月25日放映)
- 脚本:五武冬史、絵コンテ:谷田部勝義、演出:谷田部勝義、作画監督:中村旭良、塩山紀生
- 「運命の対決」 (1985年2月1日放映)
- 脚本:五武冬史、絵コンテ:池田成、演出:池田成、作画監督:二宮常雄、塩山紀生
- 「アズベスの最期」 (1985年2月8日放映)
- 脚本:五武冬史、絵コンテ:知吹愛弓、演出:知吹愛弓、作画監督:八幡正、塩山紀生
- 「白い谷崩壊」 (1985年2月15日放映)
- 脚本:吉川惣司、絵コンテ:加瀬充子、演出:加瀬充子、作画監督:谷口守泰、塩山紀生
- 「そびえたつ野望」 (1985年2月22日放映)
- 脚本:吉川惣司、絵コンテ:谷田部勝義、演出:谷田部勝義、作画監督:中村旭良、塩山紀生
- 「動乱の都」 (1985年3月1日放映)
- 脚本:鳥海尽三、絵コンテ:池田成、演出:池田成、作画監督:八幡正、塩山紀生
- 「フェリア再生」 (1985年3月8日放映)
- 脚本:鳥海尽三、絵コンテ:知吹愛弓、演出:知吹愛弓、作画監督:谷口守泰、塩山紀生
- 「惑星ランプレート」 (1985年3月15日放映)
- 脚本:五武冬史、絵コンテ:加瀬充子、演出:加瀬充子、作画監督:中村旭良、塩山紀生
- 「幻想の崩壊」 (1985年3月22日放映)
- 脚本:吉川惣司、絵コンテ:谷田部勝義、演出:谷田部勝義、作画監督:八幡正、塩山紀生
- 「伝説の光芒」 (1985年3月29日放映)
- 脚本:五武冬史、絵コンテ:池田成、演出:池田成、作画監督:谷口守泰、吉田徹、塩山紀生
[編集] 余談
- スタッフのお遊びで、出演声優の過去の作品をなぞった場面がある。一つはマーダルが夜空に向かって指を伸ばし、傍らのハイ・シャルタットに「あの星をめざすのだ」と言う場面。これはマーダル役・加藤精三の代表的キャラクターである『巨人の星』の星一徹を念頭に置いている。もう一つはアズベスが「皆の者、出発!」という場面で、こちらはアズベス役・小林修が吹き替えをしていた『ローハイド』が元ネタである。この場面を演じる際、小林はしきりに照れていたという。
- 本作の監督である高橋良輔が、「演出協力」として参加したアニメ『赤ずきんチャチャ』のアニメオリジナルの設定が本作に類似しているといわれることがある。(12歳になった遺児による王国再興、城で像にされた親など)
- OPの出だしが、かなり低い為、放送事故か、TVの故障かと錯覚された。
[編集] 関連商品
[編集] CD
- 「機甲界ガリアン 音楽集Vol.1」
- 「機甲界ガリアン 音楽集Vol.2」
[編集] DVD
- 「機甲界ガリアン 大地の章」 (1986年1月21日リリース)
- 総集編 第一話から第十三話まで
- 「機甲界ガリアン 天空の章」 (1986年3月21日リリース)
- 総集編 第十四話から第二十五話まで
- 「機甲界ガリアン 鉄の紋章」 (1986年8月5日リリース)
- 題名と登場人物の名前以外は全て異なるアナザーストーリー。また、ジョジョはジョルディ王子と言う役柄であり、担当する声優は菊池英博ではなく、菊池正美である。
- 「機甲界ガリアン DVDメモリアルボックス」BCBA-1568 2003年3月28日発売
- TV全25話、及び上記のOVA全3話を収録。
[編集] 関連事項
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星雲仮面マシンマン | サスペンス傑作劇場(再放送) ※16:00-17:55 |