気象レーダー
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気象レーダー(きしょうレーダー)は、気象状況を観測するためのレーダーである。電磁波を放射し、大気中の雨粒や雪によって反射して返ってくる電磁波を分析すること、雨や雪の位置と密度を観測している。
原理的には、波長3〜10cmのパルス状の電波を発射し、降水粒子で散乱される電波を受信し、戻るまでの時間などを計測している。降水粒子の半径は1mm程度であり、レーリー散乱によるもので、探知可能距離は数十〜数百km程度。気象庁の標準的な値としては探知範囲は300km程度であり、波長5.7cm、パルス幅2μsのものが利用されている。
障害物があるとその影となる部分の観測がしづらいため、高い山の山頂などに設置されることが多い。1999年まで富士山頂で稼動していた富士山レーダーは最大で800km先まで観測が可能で、台風の観測などに大きな役割を果たした。
[編集] 気象庁の運用する気象レーダー
- 札幌(北海道小樽市毛無山)
- 釧路(北海道釧路郡釧路町昆布森)
- 函館(北海道亀田郡七飯町横津岳)
- 秋田(秋田県秋田市秋田第二合同庁舎屋上)
- 仙台(宮城県仙台市宮城野区仙台第三合同庁舎屋上)
- 新潟(新潟県新潟市多宝山)
- 長野(長野県茅野市車山)
- 東京(千葉県柏市気象大学校構内)
- 静岡(静岡県菊川市牧之原)
- 名古屋(愛知県名古屋市千種区名古屋地方気象台庁舎屋上)
- 福井(福井県坂井市三国町陣ヶ岡)
- 大阪(大阪府八尾市高安山)
- 松江(島根県松江市三坂山)
- 広島(広島県呉市灰ヶ峰)
- 室戸岬(高知県室戸市室戸岬測候所構内)
- 福岡(福岡県福岡市早良区背振山)
- 種子島(鹿児島県熊毛郡中種子町種子島合同庁舎屋上)
- 名瀬(鹿児島県奄美市名瀬本茶峠)
- 沖縄(沖縄県南城市玉城糸数)
- 石垣(沖縄県石垣市於茂登岳)
また、上記以外にも各地の航空地方気象台・航空測候所等に気象レーダーが設けられている。
[編集] 気象レーダーのドップラー化
竜巻をはじめとした突風をもたらす現象を監視するため、気象庁ではドップラーレーダーへの更新が行われている。
- 2005年度 東京
- 2006年度 新潟、仙台、名古屋
- 2007年度以降予定 釧路、函館、松江、福岡、種子島、沖縄、室戸岬
なお、ドップラーレーダーの風データをメソ数値予報モデルに取り込まれることから、集中豪雨等の予測精度向上が期待されている。
[編集] 関連項目
- ドップラー・レーダー
- 新田次郎 - 気象庁在籍時代、富士山頂気象レーダー設置に尽力した。