池内了
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池内 了(いけうち さとる、1944年12月14日 - )は、兵庫県姫路市出身の男性天文学者、宇宙物理学者。2006年現在、早稲田大学国際教養学部教授。独文学者の池内紀は兄。アラブ研究者の池内恵は甥。兵庫県立姫路西高等学校卒業後、京都大学理学部に進み、当時物理学科天体核物理学研究室の教授だった林忠四郎の下で宇宙物理学を学んだ。
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[編集] 略歴
- 1967年:京大理学部物理学科を卒業し、大学院理学研究科に進学。
- 1972年:京大大学院理学研究科博士課程を修了し、助手となる。
- 1975年:理学博士号を取得。
- 1977年:北海道大学理学部助教授。
- 1984年:東京大学東京天文台助教授。
- 1988年:国立天文台教授。
- 1993年:大阪大学理学部教授。
- 1997年:名古屋大学理学部教授。
- 2005年:早稲田大学国際教養学部教授。
- 2006年:総合研究大学院大学学長補佐。
[編集] 業績
池内は専門の宇宙物理学においても「泡宇宙論」を提唱する等の業績をあげているが、近年は文系と理系という分断を超える「新しい博物学」を提唱していることで注目されている。文系と理系の枠を超え、普遍的に物を見られる人材を育成することを目的としている。文系でありながら科学好きだった夏目漱石や、漱石の弟子で理系でありながら文学に造詣が深かった寺田寅彦を再評価しているのもそのひとつであるといえる。「天体現象を通じてシェイクスピアを研究するなんて研究はあらへんわけです」という池内の発言は、今まで文系と理系の知識が分断されてきた日本のアカデミズムの実態を物語っているといえる。
[編集] 著書
[編集] 単著
- 『銀河と宇宙・銀河系の進化と元素組成』(恒星社厚生閣 現代天文学講座9 1981年)
- 『宇宙の大構造と銀河』(丸善 1988年)
- 『くもった日の天文学』(丸善 1988年)
- 『宇宙のかたちをさぐる』(岩波書店 岩波ジュニア新書 1988年)
- 『泡宇宙論』(海鳴社 1988年)(早川書房 ハヤカワ文庫 1995年)
- 『宇宙進化の構図』(大月書店 科学全書 1989年)
- 『激変天体論・ダークマターを否定する』(学習研究社 最新科学論シリーズ16 1991年)
- 『現代の宇宙像・銀河・銀河星団はいかに造られたか』(培風館 1991年)
- 『宇宙からみた自然』(新日本出版社 新日本新書 1991年)
- 『現代宇宙論を読む』(北海道大学図書刊行会 1992年)
- 『宇宙をあやつるダークマター』(岩波書店 科学ライブラリー 1993年)
- 『転回の時代に』(岩波書店 科学ライブラリー 1996年)
- 『科学の考え方・学び方』(岩波書店 岩波ジュニア新書 1996年)
- 『宇宙学者が「読む」』(田畑書店 1996年)
- 『観測的宇宙論』(東京大学出版会 1997年)
- 『宇宙論のすべて』(新書館 1998年)
- 『天文学者の虫眼鏡』(文藝春秋社 文春新書 1999年)
- 『私のエネルギー論』(文藝春秋社 文春新書 2000年)
- 『物理学と神』(集英社 集英社新書 2002年)
- 『科学を読む愉しみ』(洋泉社 新書y 2003年)
[編集] 共著
[編集] 訳書
- 『星』(R.J.ティラー著 共立出版社 1974年)
- 『元素の起源』(R.J.ティラー著 共立出版社 1974年)
- 『ビックバン・ビックバウンス』(J.L.ローゼンタール著 1991年)