法の下の平等
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法の下の平等(ほうのもとのびょうどう)とは、国民1人1人が国家との法的権利・義務の関係において等しく扱われなければならないという憲法上の原則のことである。日本においては憲法第14条に規定がある。平等則(びょうどうそく)または平等原則(びょうどうげんそく)と呼ばれることもある。
どのような要素において平等を重んじるかについては、例示として、人種、信条、性別などがあげられることが多く、日本国憲法もそれを例示している(なお、限定列挙ではなく例示的列挙である)。近代憲法では「平等」は基本的な原則であり、多くの国でこのような規定が見られる。
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[編集] 平等の分類
一口に平等といっても、その実態は様々である。
- 形式的平等(機会の均等)
- 実質的平等(結果の平等)
- 相対的平等
- 絶対的平等
憲法上保障されるのは原則として形式的平等であり、実質的平等は含まれないとされてきたが、現実に存在する不平等を解消するためには形式的平等を謳うのみでは不十分で、実質的平等に基づく施策もとられることが多く、しばしば政治的な争いにもなる(具体的な紛争については差別の項目を参照、ここでは割愛する)。
[編集] 日本国憲法内での具体化
現在の日本では皇族を除き(日本国憲法第1章規程)全国民は平等とされている。
[編集] 平等原則と平等権
[編集] 平等原則
平等原則とは国民一人一人への平等な取り扱いを国家に対して要求したもので、自由裁量処分の統制原理として用いられる他、権力的な行政活動の適否を判断する際にもに用いる。
[編集] 平等権
法の下の平等には平等原則だけでなく平等を権利として主張すること(平等権)も保障する趣旨なのか問題になるが、平等権を認めるのが通説であり、判例もそれを認めている。
[編集] 違憲審査基準
平等原則又は平等権に違反するような行為の違憲性の判断基準につき、判例は具体的に制約される権利にもよるが一般には合理的な理由があればよいとしているが、学説はより厳格な基準を用いるべきと主張している。また、憲法第14条に列挙されている事由とそうでない事由とで違憲性の判断基準に強弱をつけるべき(列挙事由に抵触する行為は違憲性を推定すべき、など)と主張する見解もある。
[編集] 日本における主な判例
[編集] 尊属殺重罰規定違憲判決
刑法200条の尊属殺人の法定刑が重きに過ぎるとした事件。尊属殺法定刑違憲事件の項を参照。
[編集] 投票価値の平等
国政選挙の選挙区の決め方で実質的な投票価値に地域ごとに差がつくことから問題になる(一票の格差の項目を参照)。
[編集] 非嫡出子の相続不平等
非嫡出子の相続分を嫡出子より低く定めた民法900条4号の規定の合憲性が問題になったが、合憲と判断された。最高裁判所平成7年7月5日大法廷決定を参照。