深夜特急
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深夜特急(しんやとっきゅう)は、沢木耕太郎が著した紀行文である。産経新聞に途中まで連載された後、1986年5月に1巻・2巻(第1便・第2便と称す)が、1992年10月に最終巻(第3便)が新潮社から刊行された。のち、新潮文庫から6冊シリーズで刊行された。1996年には名古屋テレビによってドラマ化され、のちビデオ化・DVD化されている。
デリーから乗り合いバスだけでロンドンへ向かうことを目的とした筆者の旅行体験を著したものである。現在ほど交通・宿泊等の環境の整っていない1970年代前半の旅で、当時の交通事情、宿泊事情などを知る手がかりとして、刊行後、バックパッカーの間でいわばバイブル的に扱われるようになった。
目次 |
[編集] あらすじ
デリーからロンドンまでバスだけで旅行する主人公『私』の物語。出発当初は、デリーから始めるつもりであったが、航空券を発券する際、より価格の安い香港からのルートを勧められ、急遽スタート地点を香港に変更する。
香港、マカオ、東南アジアなどを経て、西を目指すが、インドでのバックパッカーの死などに遭遇し、自らも次第に好奇心が磨耗してゆくことに気づく。
[編集] 主な滞在国・地域
[編集] 出版
- 単行本
いずれも新潮社刊。(1,2は産経新聞連載。3は新聞連載期間終了により未完となっていた部分を書き下ろしたもの。)
- 深夜特急第1便 黄金宮殿(1986年5月)
- 深夜特急第2便 ペルシャの風(1986年5月)
- 深夜特急第3便 飛光よ、飛光よ(1992年10月)
- 文庫
いずれも新潮文庫に収められている。
[編集] テレビドラマ
ドキュメンタリーとドラマを複合させると言う試みを実験的に行った番組である。名古屋テレビによって3年連続の3部作の形態で製作され、テレビ朝日系列各局によって放映された。主演は大沢たかお。主題歌は井上陽水の「積み荷のない船」。現在、DVDも発売されており特典映像として沢木耕太郎のインタービューが収録されている。
[編集] 劇的紀行深夜特急'96(1996年)
- 沢木耕太郎はカルカッタにいた。インドのデリーからイギリスのロンドンまで、乗合バスだけでいけるか友人と賭けをした沢木は、旅行代理店で香港に格安航空券が集まることを知り、まず香港へと飛び立つ。初めての海外に胸を躍らせ、香港の熱気に魅せられるが、長居しすぎたことに気づき、急いで香港からタイ王国・バンコクへ。列車でマレー半島を南下してマレーシア、シンガポール、そして未知なるインドへ。
[編集] 劇的紀行深夜特急'97(1997年)
- ネパール・カトマンズを発った沢木は、神秘のインドへ戻り、ガンジス川に身をゆだねる。さらに西走し、最初の目的地デリーに着いた沢木。そこで日本人の中年男性と知り合い、共に旅を続けた。アフガニスタンの厳しさを目にし、乗合バスでパキスタンから砂漠を越えてイランへ。アルゲバム遺跡を目にした中年男性は突然帰国すると言い出す。彼から一冊の本を手渡された沢木は、挟んであった200$に気づく。様々な出会いを胸に刻み、アジアの果て、トルコを目指す。
[編集] 劇的紀行深夜特急'98(1998年)
- 副題:飛光よ!ヨーロッパ編
- 制作:名古屋テレビ
- 出演
- 大沢たかお、松嶋菜々子
- トルコに入った沢木は、ボスポラス海峡をわたってアジアからヨーロッパに移る。ギリシャからアドリア海を渡り、イタリア、フランス、スペインを地中海沿いに走る。ジブラルタルでアフリカ大陸を眺めると、旅の最終地ポルトガルのサン・ビセンテ岬を目指す。
[編集] 原作とテレビドラマの主な違い
- 日本から香港へ向かう航空機のエピソードがドラマでは省かれている。
- 原作はパキスタンからアフガニスタンを経てイランに入るが、内戦の影響でドラマはアフガニスタンを避け、パキスタンからイランへ砂漠越えをした。
- 松嶋が演じる女性は原作に登場しない。
- ドラマではイタリアでパスポートの盗難被害に遭い、現地在住の日本人女性に助けられている。