熊本都市圏
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熊本都市圏(くまもととしけん)とは、熊本県熊本市を中心とした都市圏のこと。経済学的な都市圏人口は約102万人。ただし、政治的に都市圏の範囲は変遷している。現在は、ほぼ経済学的な都市圏全域を対象に、広域合併によって政令指定都市となることを志向している。
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[編集] 特色
[編集] 熊本県におけるプライメイトシティ
熊本市の都市圏は、学術的(都市雇用圏)には102万人(2000年)の人口を擁する。この地域は、北九州と南九州を結ぶ結節点として、古くから政治・軍事・交通の中心となり、現在も、九州地方全域を管轄する国の出先機関のいくつかが置かれている。
しかし、戦後以降、九州各県に鉄道や空港が整備されていくにつれ、次第に南九州は熊本市を素通りして九州の政治の中心とされた福岡市と繋がるようになり、熊本市の結節点としての地位は低下した。また、九州全域に高速道路が整備されると、結節点の地位は鳥栖市などが担うようになり、熊本市の交通の要衝としての地位はなくなった。現在でも九州財務局や九州農政局、熊本国税局、陸上自衛隊西部方面隊など九州内の行政・軍事の中枢機能も一応残ってはいるものの、実態としてその大半は福岡市に移っており、熊本都市圏は県庁所在地を中心とした都市圏として、熊本県の政治・経済の中枢を担い、熊本県におけるプライメイトシティとなっている。
[編集] 都市圏全域での広域合併と政令指定都市化を目指す
熊本都市圏は、2010年度末に九州新幹線が熊本駅に開通すると、博多駅~熊本駅が120km程度(直通運転で約35分。因みに熊本駅~鹿児島中央駅間は約45分)であるため、ストロー現象が発生して福岡都市圏に業務機能や物販機能が少なからず移転等により失われてしまい、福岡都市圏の経済圏に含まれてしまう可能性が高いと考えられている。対策として熊本市は政令指定都市昇格を目指している。これは、都市圏全域を対象とした広域合併であり、新潟市と同種の政令市である(その他の政令市の型として、南関東や京阪神における大都市圏内の衛星都市の政令市、大阪市・名古屋市・福岡市などのような七大都市圏の中核としての政令市、広島市・北九州市のような工業都市型政令市などがあり、これらの中間型やいくつかの性質を持ったものも存在する)。
しかし、広域都市圏に含まれる周辺自治体は、夜間人口(住民税を払う人口)より昼間人口(住民税を使う人口)が少ないため、都市基盤需要(昼間人口に依存)の整備にかかる費用が少なく、更に、工場の進出などによる税収増もあって健全財政となっており、少ない夜間人口の税収で多い昼間人口のための都市基盤整備をしなくてはならず、財政難に陥ってしまっている熊本市との間の合併は難航している。すなわち、都市圏全域での広域合併は、都市圏内の税負担の均質化を目指しているため、熊本市が設定する都市圏の「熊本市及び周辺市町村」(3市9町)の内、健全財政の周辺市町は「熊本都市圏及び政令指定都市についての研究会」に参加せず、平成の大合併で問題になった、いわゆる「弱者連合」にならないか危惧されている。
[編集] 州都の誘致
安倍内閣が発足、政府の道州制導入への積極的な姿勢も影響し、2006年9月に熊本市と近隣の14市町村などでつくる「熊本都市圏及び政令指定都市についての研究会」は、政令指定都市移行や都市高速など交通基盤の整備など九州中央の拠点づくりなどの基本戦略を盛り込んだ熊本都市圏ビジョンの基本構想案を発表し、10月には初めて熊本市を政令指定都市に昇格させ、道州制移行に伴う九州の州都を目指ことを表明したことが地元新聞で報道された。
熊本市の他に、福岡県久留米市や佐賀県鳥栖市などがつくる「筑後川流域クロスロード協議会」が州都に名乗りを上げている。
[編集] 経済学的定義
熊本市への通勤通学人口(地図)
[編集] 都市雇用圏(10%通勤圏)
2000年国勢調査に基づく熊本市の都市雇用圏人口は102.0万人。都市雇用圏(10%都市圏)は、日常的な都市圏(定期的な人の移動)を反映しているため、この10%都市圏の102.0万人を以って熊本都市圏の人口とみなすのが妥当と考えられる。
[編集] 都市圏の変遷
都市雇用圏(10%通勤圏)の変遷
自治体 ('80) |
1980年 | 1990年 | 1995年 | 2000年 | 自治体 (現在) |
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玉東町 | 熊本都市圏 | 玉名都市圏 | 玉名都市圏 | 玉名都市圏 | 玉東町 ★ |
菊池市 | - | - | - | - | 菊池市 |
旭志村 | - | - | - | - | |
七城町 | - | - | - | - | |
泗水町 | 熊本都市圏 83万6892人 |
熊本都市圏 93万7056人 |
熊本都市圏 98万2326人 |
熊本都市圏 102万0488人 |
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植木町 | 植木町★ | ||||
西合志町 | 合志市★ | ||||
合志町 | |||||
菊陽町 | 菊陽町★ | ||||
大津町 | 大津町★ | ||||
益城町 | 益城町★ | ||||
西原村 | 西原村★ | ||||
熊本市 | 熊本市★ | ||||
北部町 | |||||
河内町 | |||||
飽田町 | |||||
天明町 | |||||
嘉島町 | 嘉島町★ | ||||
城南町 | 城南町 | ||||
富合町 | 富合町★ | ||||
御船町 | 御船町★ | ||||
甲佐町 | 甲佐町★ | ||||
宇土市 | 宇土市★ | ||||
中央町 | - | 美里町 | |||
砥用町 | - | ||||
不知火町 | 熊本都市圏 | 宇城市★ | |||
松橋町 | |||||
豊野村 | - | ||||
小川町 | - | - | - | ||
三角町 | - | - | - | - |
- ※10%通勤圏に入っていない自治体は、各統計年の欄で灰色かつ「-」で示す。
- ※★:「熊本都市圏及び政令指定都市についての研究会」に参加している自治体。表中の4市9町1村に加え、山都町が構成自治体となり、政令指定都市化に向けた動きを見せている。
- 1991年2月1日、熊本市が、北部町・河内町・飽田町・天明町の4町を編入した。
- 2004年11月1日、中央町と砥用町が新設合併して美里町となった。
- 2005年1月15日、三角町、不知火町、松橋町、小川町、豊野町の5町が新設合併して宇城市となった。
- 2005年3月22日、(旧)菊池市、七城町、泗水町、旭志村が新設合併して(新)菊池市となった。
- 2006年2月27日、合志町と西合志町が合併して合志市となった。
[編集] 「1.5%都市圏」(通勤通学圏)
総務省の基準による都市圏で、人口は146.2万人(2000年)。七大都市圏に次ぐ都市圏規模を持ち、「五都市圏」とも呼ばれる。この基準では、七大都市圏、岡山都市圏に次ぎ、全国9番目の規模である[1]。
この1.5%都市圏は、日常的な都市圏の範囲とみなすには大き過ぎるため、非定期的な人の移動、すなわち、娯楽や購買行動における商圏または経済圏の目安となる。ただし、中心都市の実際の集客力や、隣接都市圏との関係等も影響するため、1.5%都市圏をそのまま商圏とは見なせない。
[編集] 政治的定義
[編集] 「平成の大合併」中の定義
熊本市の統計課では、「平成の大合併」が始まると、短期間の内に何度も熊本都市圏の定義を変更している。これは、「平成の大合併」において、熊本市がどのような合併を志向していたかの政治の変遷でもあり、周囲の市町村の合併進捗状況なども影響している。結果的に熊本市は、この時期に周辺市町村との合併がうまくいかなかった。
[編集] 熊本都市圏(1市6町)
2002年7月まで、熊本市は以下の1市6町を「熊本都市圏」と定義していた。また、熊本都市圏とその周囲の市町村を含めたものを「熊本広域都市圏」(2市14町1村)と定義していた。以下に列挙する呼称・統計値(推計人口)は、2002年7月1日現在のもの。
「熊本都市圏」に含まれる自治体(1市6町): 794,834人
「熊本広域都市圏」に含まれる自治体(2市14町1村): 997,174人
[編集] 熊本都市圏(2市15町1村)
2002年8月より、「国勢調査の結果に基づき、就業者・通学者数のうち10%以上が熊本市に通っている市町村」を「熊本都市圏」と定義することにし、それまでの「熊本広域都市圏」に玉名郡玉東町を含めた範囲が「熊本都市圏」(2市15町1村)と定義されることになった。以下に列挙する呼称・統計値(推計人口)は、2002年8月1日現在のもの。
「熊本都市圏」(2市15町1村 : 10%通勤通学圏):1,004,172人
- 熊本市
- 宇土市
- 上益城郡(嘉島町・益城町・御船町・甲佐町)
- 下益城郡(富合町・城南町・松橋町)
- 菊池郡(合志町・西合志町・菊陽町・大津町・泗水町)
- 鹿本郡(植木町)
- 阿蘇郡(西原村)
- 玉名郡(玉東町 )
[編集] 熊本市及び周辺市町村(2市11町)
それまで「熊本都市圏」を構成していた2市15町1村のいくつかが、平成の大合併によって、統計上、熊本市の10%通勤通学圏から外れたため、2004年7月1日現在の統計(1,009,506人)を以って「熊本都市圏」の名称を廃し、「熊本市及び周辺市町村」として以下の市町を熊本市の都市圏の代用と見なすことになった。新たに加えられた町は斜体 で示す。外れた町は別記する。以下に列挙する呼称・統計値(推計人口)は、2004年8月1日現在のもの。
「熊本市及び周辺市町村」(2市11町):908,721人
熊本市の地域圏から外れた町村
- 上益城郡(御船町・甲佐町)
- 下益城郡(松橋町)
- 菊池郡(大津町・泗水町)
- 阿蘇郡(西原村)
[編集] 熊本市及び周辺市町村(3市9町)
新・玉名市の誕生に合わせて、2005年10月1日現在の統計(912,401人)を最後に、従前の圏域から以下の圏域に変更。
「熊本市及び周辺市町村」(3市9町):971,849人
- 熊本市
- 宇土市
- 新・玉名市(圏内の旧・横島町、旧・天水町と、圏外の旧・玉名市、岱明町で成立)
- 上益城郡(嘉島町・益城町)
- 下益城郡(富合町・城南町)
- 菊池郡(合志町・西合志町・菊陽町)
- 鹿本郡(植木町)
- 玉名郡(玉東町)
[編集] 「平成の大合併」後の定義
「平成の大合併」が収束すると、熊本市は再度、政令指定都市化を目指した動きを始めた。そのため、熊本都市圏の範囲も新たに設定し直された。現在は、県の後ろ盾を得て、ほぼ都市雇用圏の範囲での政治的枠組みがつくられ、都市圏全域での広域合併、および、政令指定都市化の準備段階に入っている。
[編集] 101万人熊本都市圏(3市12町1村)
平成の大合併を受けて熊本市は、熊本市および熊本市への通勤通学率が概ね15%以上(2000年度国勢調査時点)である近隣市町村を「101万人熊本都市圏」(3市12町1村 - 設定時)と新たに定義し直している。構成市町村は以下の通り。現在は、合志町と西合志町が合併して合志市となったため、4市10町1村となっている。
101万人熊本都市圏(合併により現在は4市10町1村)
- 熊本市
- 宇土市
- 宇城市
- 合志市(菊池郡合志町と西合志町との合併により成立)
- 上益城郡(嘉島町・益城町・御船町・甲佐町)
- 下益城郡(富合町・城南町)
- 菊池郡(菊陽町・大津町)
- 鹿本郡(植木町)
- 玉名郡(玉東町)
- 阿蘇郡(西原村)
[編集] 熊本都市圏及び政令指定都市についての研究会
前述の「101万人熊本都市圏」(3市12町1村 - 設定時)を下地に、3市11町1村(発足時)の首長及び熊本県、学識経験者で構成する「熊本都市圏及び政令指定都市についての研究会」がつくられている。第2回の研究会において、合志町と西合志町の合併により誕生した合志市、また、オブザーバー参加であった玉東町が正式に加入し、現在の構成市町村は4市10町1村となっている。
「101万人熊本都市圏」(現在4市10町1村)の内、下益城郡城南町が研究会に参加していないが、都市圏外とされた上益城郡山都町が参加している。
[編集] 関連項目
日本の都市圏 |
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[編集] 外部リンク
- 熊本都市圏及び政令指定都市についての研究会
- 熊本都市圏・政令指定都市・合併
- 熊本都市圏の連携強化と政令指定都市実現へ向けて(熊本市広報)
- 統計速報(熊本市の都市圏の人口)
- 熊本駅前再開発事業