独立市
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
独立市(どくりつし)とは、通常の市が属し一定の監督を受ける上級行政単位から独立し、その上級行政単位と同一の行政権限を与えられた市を指す。独立市は県の監督下から離れて市の業務を行い、かつ、県の役割とされている業務を自ら行う権限と責任を与えられる。国によっては、同様の市を「特別市」と名づける場合もある。日本においては上級行政単位の都道府県から独立した政令指定都市が制度として該当する。
[編集] アメリカ合衆国
アメリカ合衆国において、独立市(Independent city) とは、いかなる郡 (Country) にも属さず、州の下位行政区分として郡と同等に扱われる市である。アメリカ合衆国の郡は、歴史的に地方自治における強い権限を持った機関であるため、独立市に対しても郡と同等の特別な権限が付与されている。独立市はアメリカ合衆国において例外的な存在であるため、各州の憲法においても特例として扱われている(バージニア州を除く)。アメリカ合衆国統計局では統計情報の基本単位に郡を使用しているため、独立市を郡と同等の地方行政区画として扱っている。
ニューイングランド地方の市と町には伝統的に強い権限を持った行政機関が存在しており、郡の権限は比較的弱い。今日のニューイングランド地方の大部分の郡は行政機関ないし行政機能を有しておらず、市や町は州政府の直下の行政区分として直接的な関係を持っている(司法機関も同様である)。しかしながらニューイングランド地方の郡はイングランドの州と同様に、概念として存在している。そしてニューイングランド地方の市や町は歴史的存在としての郡から完全に分離しているわけではない。事実、アメリカ合衆国統計局ではニューイングランド地方の国勢調査を行う際に、郡を統計情報の基本単位として使用している。
独立市は、アメリカ合衆国における一般的な市と郡の関係を持たない。独立市の行政機関は各州の法律により、市の行政機関と郡の行政機関を合わせた機関として規定されている(一方がもう一方の行政機関を包含した機関として規定されている場合もある)。ニューヨーク市は独立市ではなく、特別な管轄区域として扱われている。ニューヨーク市には5つの行政区があり、各行政区が郡と同等の権限を有している。
バージニア州ではすべての市が独立市であり、アメリカ合衆国の独立市の8割以上がバージニア州に存在している。
[編集] バージニア州以外の独立市
アメリカ合衆国において、バージニア州外に存在する独立市は、以下の通りである。
- アンカレッジ(アラスカ州)
- ボルチモア(メリーランド州) - ボルチモア郡とは別の行政区分である。
- カーソンシティ(ネバダ州) - 1969年にオームズビー郡全域が独立市として置換された。
- セントルイス(ミズーリ州) - セントルイス郡とは別の行政区分である。
[編集] バージニア州の独立市
バージニア州では、市に指定されている地方自治体はすべて独立市とする法律が1871年に定められた。町および村については郡の所属となる。アメリカ合衆国内の存在する43独立市のうち、39独立市がバージニア州内に存在している。定義上は独立市は郡に含まれないが、バージニア州の独立市は隣接する郡の郡庁所在地となる場合もある。39の独立市は、以下の通り。
- アレクサンドリア
- ベッドフォード - ベドフォード郡の郡庁所在地
- ブリストル
- ブエナ・ビスタ
- シャーロッツビル - アルベマールの郡庁所在地
- チェサピーク
- コロニアル・ハイツ
- コビントン - アレガニー郡の郡庁所在地
- ダンビル
- エンポリア - グリーンスビル郡の郡庁所在地
- フェアファックス - フェアファックス郡の郡庁所在地
- フォールズ・チャーチ
- フランクリン
- フレデリックスバーグ
- ガラックス
- ハンプトン
- ハリソンバーグ - ロッキンガム郡の郡庁所在地
- ホープウェル
- レキシントン - ロックブリッジ郡の郡庁所在地
- リンチバーグ
- マナッサス
- マナッサスパーク
- マーチンズビル
- ニューポートニューズ
- ノーフォーク
- ノートン
- ピーターズバーグ
- ポコソン
- ポーツマス
- ラドフォード
- リッチモンド - エンリコ郡の郡庁所在地
- ロアノーク
- サーレム - ロアノーク郡の郡庁所在地
- ストーントン - オーガスタ郡の郡庁所在地
- サフォーク
- バージニアビーチ
- ウェーンズバロ
- ウィリアムズバーグ - ジェームズシティ郡の郡庁所在地
- ウィンチェスター - フレデリック郡の郡庁所在地