猪八戒
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猪八戒(ちょ・はっかい、Zhu Bajie)は、中国の小説「西遊記」の主人公の一人である。
中国語では家猪はブタ、野猪がイノシシを意味し、単に「猪」といえば通常はブタのことをさす。元代の「西遊記」の原型となる物語では、「猪」と近似した発音の「朱」を名字としていたが、明代に皇帝の姓が「朱」であったため、避諱によりもとの意の通り「猪」を用い、猪八戒となった。
元々は、摩利支天の配下・御車将軍を経て、天界で天の川の水軍を指揮する天蓬元帥だった。女癖の悪さで知られ、酔った勢いで広寒宮の嫦娥[1]に強引に言い寄った為、天界を追われて地上に落とされた。人間に生まれ変わるはずが、誤って雌豚の胎内に入り、黒豚の妖怪となった。
その後、福陵山雲桟洞の卯二姐(妖怪)に婿入りするも死別し、人を喰らうようになった。ある日、天竺に経典を取りに行く人物を探していた観音菩薩と出会い、慈悲を乞うと、「猪悟能」という名と八斎戒を与えられた。
その後、烏斯蔵国で商業を営む高翠蘭に婿入りし、好き放題やっていた所、観音菩薩の約束通り訪れた玄奘三蔵に弟子入りし、孫悟空、沙悟浄らと共に天竺まで経典を求めて旅をした。
[編集] 一般的なイメージ
その自由奔放で人間くさい性格から、中国では孫悟空以上の人気を誇る(2006年1月7日放送のSmaSTATION-5でその旨を放送)。また、中国では「猪八戒吃人参果(猪八戒が人参果(架空の不老長寿の果実)を食べる)」(猪八戒は人参果の味が分からないので、物の価値や有難みを理解しないこと、日本の「猫に小判」「豚に真珠」と同義)など、猪八戒を題材とする諺も生まれた。
イスラム諸国で西遊記があまり読まれない理由は諸説あるが、猪八戒(イスラム教では豚が忌み嫌われている)の存在があるためであるとの説が有力視されている。
[編集] 名前の遍歴
- 天蓬元帥(天帝の任命職名)
- 猪悟能(観音菩薩が名づけた法名)
- 猪剛鬣(婿養子の際の自称)
- 猪八戒(玄奘三蔵による通称)
- 浄壇使者(釈迦如来の任命 仏に捧げられたお供え物の始末を一手に引き受ける-自分で食べてしまってもよい)
註