現代用語の基礎体力
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現代用語の基礎体力(げんだいようごのきそたいりょく)は、1989年4月から1990年3月まで、讀賣テレビ放送により制作され関西ローカルで放送された深夜番組である。升毅、牧野エミ、立原啓裕の当時の売名行為メンバを軸に、劇団☆新感線から羽野晶紀、古田新太、「劇団そとばこまち」から槍魔栗三助(現・生瀬勝久)、みやなおこらが参加していた。
出演者らによる様々なコントを詰め込んだ内容で、立原と牧野の「専門家に聞く」、古田新太の「ものローグ」、および後半の升、槍魔栗、羽野の「名探偵鼻血小五郎」といったコントがメインで、その合間にも各出演者によるコントを盛り込んだ。なお、各コントにはそれぞれ小題がつく。「専門家に聞く」「ものローグ」はわかりやすくするために便宜的に付けた名称であり、これらも各回毎に異なる小題がつく。
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[編集] 主なコーナー
[編集] 専門家に聞く
毎回何らかのキーワード(現代用語)が牧野エミ扮する司会者により示され、それに沿って立原啓裕がまずありえない架空の仕事、学界、業界、その筋の専門家たるゲストとして番組に招待され、牧野および視聴者に対してその仕事、学会、業界、その筋における専門用語や現象、症状などを、もっぱらフリップを用いて(ニュースステーションのパロディ)解説する、というよりむしろ煙に巻く内容のコントで、槍魔栗三助が週刊テレビ広辞苑で演じていた現代の匠シリーズの出演者を交代させ、演出も若干変えて再登場させたもの。
立原啓裕がすさまじい格好とど派手なメイクで「その道」の専門家を熱演していたが、解説のオチは大概ダジャレだった。その内容は事前に司会者(牧野)には知らされていなかったようで、ウケた場合は素に戻って笑い、反面ボケが足りない場合は鋭くツッコみ、それを受けたゲスト(立原)がまたアドリブでこれに応えた(もっとも窮したときは「では次行きましょう」で誤魔化した)。その時点で楽屋レベルの話題(新野新に対する立原の評価など)が飛び出すことがしばしばあった。
一度の放送中に3、4編に分割されて流されるのも特徴で、このコーナーが主軸となり合間に「ものローグ」やら「鼻血小五郎」、その他コントが入る構成になっている。なお、立原と牧野はこのコントにのみ出演し、他のコントには顔を出さない。他のメンバもこのコーナーだけには出演せず、牧野と立原のみで進行される。
上述したように「専門家に聞く」は便宜上付けた名称で、冒頭牧野により示されたキーワードが実際のタイトルとなっている(したがって毎回変わる)。
このコントのスタイルは、さらに後年山口放送制作・NTV系全国ネットで放送された「三宅裕司のワークパラダイス」で生瀬が架空の職業を演じるトークコーナーや、NHKの「謎のホームページ サラリーマンNEO」中の1コーナー、「会社の王国」などへと発展して行く[1]。
[編集] 古田新太のものローグ
古田新太が被り物などで「もの」になりすまし、その「もの」の胸中を独白する。なりすました「もの」は、谷町筋、中津駅、階段の踊り場、アダルトビデオのモザイク、やかん、横山ホットブラザーズのエレキギター(レスポール)などで、これらの「もの」がそのままこのコントの小題となる。「やかん」では「ケトルちゃん」に対する妬みをくどくどと、エレキギターでは、
- 「俺かてロックやりたいねん」
- 「ノコギリを出してくるな!ノコギリを!お~ま~え~はあ~ほ~かぁ~?おのれじゃ!」
などとぼやいていた。
[編集] 名探偵鼻血小五郎
怪人に誘拐された薄幸の美少女あきを、名探偵鼻血小五郎が救出するコントで、連続劇の形を取っている。小五郎やあきと怪人のやりとりや、あきのボケぶり、怪人の異様なまでに高ぶったテンションが見もの。
話の筋はほぼ毎回、
- あきが替え歌を歌いながら登場⇒怪人出現⇒あき誘拐さる⇒全く無関係の映像⇒オープニング⇒怪人のアジト⇒怪人があきを拷問?にかける⇒小五郎登場⇒小五郎が怪人を退治⇒エンディング及び解放されたあきと惨めな怪人の対比
のワンパターンであるが、各話にはそれぞれタイトルが付き、そのタイトルと怪人があきを陥れる罠や、その後に行う拷問(?)の内容がリンクしている。
オープニングには川下大洋による、
- 「名探偵、鼻血小五郎。彼の回りでは、取り憑かれたように猟奇的な事件が次々と発生する。そのなぞに満ちた犯罪を究明し解決すること。すなわちそれが、神が彼に与え給うた宿命なのである」
というナレーションが入る。脚本は当時まだ駆け出しだった放送作家の倉本美津留。
- 鼻血小五郎:升毅
- 怪人に囚われ、拷問にかけられたあきの「鼻血のをじさん、たすけて~」の呼び声で怪人のアジトにかけつけ、登場当初には必ず「名探偵、鼻血小五郎参上」の名乗りをあげる。あきのことをお嬢さんと呼ぶ。いつも三つ揃えのスーツ姿で、懐には常に短銃を隠し持っている。
- ありがちだが、主人公でありながら、登場人物三人の中では一番影が薄い。
- 薄幸の美少女あき:羽野晶紀
- 怪人:槍魔栗三助(現・生瀬勝久)
- 毎回決まって「ウヒョヒョヒョヒョヒョ」の笑い声とともに登場。黒いシルクハットに黒マントの装束で、サルバドール・ダリのような口ひげを蓄えており、自らをおいちゃんと名乗り、あきを小娘、わらべなどと呼ぶ。
- なぜか執拗にあきを付けねらい(その理由は最終回にて明らかにされる)、毎回しょぼい罠を仕掛けるも、不思議なことに毎回誘拐には成功する。その後決まってアジト(毎回同じ地下室、おそらくは予算の関係から)に連れ込み、あきを笑わせたり、好物を目前におきわざとじらす、といった拷問にかけるが、けっきょく小五郎のしょーもない戦術に引っかかってあきを救出された上に、最後は必ず小五郎の短銃で撃たれる。
[編集] ミッドナイト尋ね人
槍魔栗と羽野の二人で、当番組のスポンサーである情報センターが発行していたアルバイト情報誌ジェイワンのパロディCMを、CMとして当番組のCM枠で流していた。当時実際に放送されていたCMをパロディにしながら、その一方でちゃんと広告もするという珍しいものであった。内容は羽野晶紀が行方不明になったジェイワン・レッド(ジェイワンは発行された曜日により色が異なり、レッドは月曜日版であった)に対して戻って来いと呼びかけるもの。
[編集] 主な出演者
[編集] スタッフ
- ディレクター:竹内伸治、落合秀昭(東通企画)
- 構成:東野博昭、倉本美津留、増山実、伊東桂子、藤田昌幸、川下大洋、杉本剛
- 技術:田中茂高、北条吉彦、中尾統一、西井信夫、岸田功、宮内良一、黒田昌男
- 美術:綿谷登
- 照明:吉田勝、浜野眞治
- 音声:松尾昌之、高添優
- 音効:久保秀夫、中村康治
- 技術協力:タクビデオ
- 編集:メディアプラザ
- 衣装協力:サンロワール、Takeo
- 協力:リコモーション
- 制作協力:東通企画
- プロデューサー:竹内伸治、岡島英次
- 制作著作:よみうりテレビ
[編集] 関連項目
- 番組タイトルは現代用語の基礎知識をもじったもの。ほぼ同一の出演者による前の番組が週刊テレビ広辞苑でありその流れから。当番組の後を受けたのがムイミダスである。
- 番組冒頭に流れるテーマソングは、Kiss feat. Tom Jones / Art of Noise で、元々は映画「花嫁はエイリアン(原題:My stepmother is an alien)」で使用された。
- ロケは全て讀賣テレビ放送本社周辺で行われ、一例を挙げれば鼻血小五郎であきが怪人に誘拐されるシーンはいつも大阪城公園であった。また随所に大阪環状線や、当時まだ建設中だった大阪ビジネスパークが顔を出すなど、低予算ぶりが目立った。
- 予算回収案としてか関東圏のU局に売り込みを行い、1990年にはテレビ埼玉などで放送された。これが成功し、後のムイミダスや未確認飛行ぶっといの関東圏放送のきっかけとなった。