直角カルダン駆動方式
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直角カルダン駆動方式(ちょっかくカルダンくどうほうしき)は、電車のモーター駆動方式のうち、カルダン駆動方式の一種。
台車枠の中に、車軸と直角にモーターを固定する。ここから自動車同様のカルダン・ジョイント付プロペラシャフトと、スパイラル・ベベルギア(ねじり傘歯車)を介して車軸を駆動する。
メリットは比較的構造が簡単なこと、狭軌であっても主電動機の容積が比較的大きく取れること、ギア比選定に自由度が高いこと、等。それに対して、デメリットはスパイラル・ベベルギアの噛み合わせ整備に手間が掛かる、台車の全長が他のカルダン駆動方式に比べて長くなってしまう、プロペラシャフトの分並行カルダンよりも重量が大きい、などがある。
同種の発想は古くから存在していたが、アメリカの路面電車会社各社が共同開発した高性能路面電車PCCカー(1935年)の駆動システムに用いられて以来、広まった。
[編集] 日本での事例
日本では、1951年2月に東芝製の試作直角カルダン駆動台車を小田急電鉄の在来型電車に改造装備して走行テストしたのが最初である(この試験運転は一般に「相武台実験」と呼ばれ、日本で初めてカルダン駆動方式のテストが行われた例と言われている)。
一般営業用車両では、1952年に国鉄の試作電気式気動車キハ44000形に45kW形が初採用され、1953年には東武鉄道の特急電車5700系5720番台に搭載された(故障が相次いだため、後に吊り掛け駆動方式に改造)。本格的な採用は1954年以降で、東急5000系電車がその代表例である。
1950年代、初期のカルダン駆動電車に広く用いられたものの、1950年代末期以降、コンパクトで整備性の良い平行カルダン駆動方式への移行が進んで廃れた。 相模鉄道だけは1990年代末期まで直角カルダン駆動の車両を製作し続けたが、JR東日本E231系の亜流車である10000系電車の導入にあたってついに中空軸平行カルダン駆動方式に移行した。
尚、日本製の超低床電車である広島電鉄5100形電車はWN継手式直角カルダンである。
なお鉄道研究者や鉄道ファンの中には、車体装架カルダン駆動方式を広義の「直角カルダン」の一種と捉える考え方もある。
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