砂漠
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
砂漠(さばく、沙漠とも)とは、雨があまり降らず降雨量よりも蒸発量の方が多い土地。植物がほとんど生息せず、水分も少ないため、気温の日較差が激しい。よって農業には適さず、人間の居住が難しい地域(アネクメネ)である。砂漠地は岩石(メサ、ビュート)礫(れき)、砂、ワジ(涸れ川)、塩湖、一部人などが生息できるオアシスなどで形成されている。
「砂漠」という表記からの連想もあり、一般的には見渡す限り砂地が広がって風紋を織りなしている情景がよくイメージされるが、実際には岩原など、地形にはバリエーションがある。世界では岩石砂漠、礫砂漠、砂砂漠の順に多い。
目次 |
[編集] 成因による分類
砂漠を形成する要因は、以下のように分類される。それぞれについて、分布する緯度に差異が見られる。
- 熱帯砂漠(海岸砂漠)
- 亜熱帯砂漠(中緯度砂漠)
- 温帯砂漠
日本には伊豆大島などに砂漠と呼ばれる場所はあるものの、砂漠に分類される地域はない。広大な砂礫地である鳥取砂丘は砂漠でみられる地形とよく似ているが、あくまで温帯湿潤気候下であり降水量が豊富である。
[編集] 砂漠化
地球上の砂漠は、毎年600万ヘクタールの規模で拡大を続けている。これは、上記のような気候による影響だけではなく人間の活動に伴う要素が大きい。砂漠化によって、
などという深刻な影響がある。こうした砂漠化を進行させる原因は、
などが指摘されている。
[編集] 砂漠一覧
[編集] アジア
- カヴィール砂漠(イラン)
- カラクム砂漠(トルクメニスタン)
- キジルクム砂漠(ウズベキスタン、カザフスタン)
- グルバンテュンギュト(古爾班通古特)砂漠(中国・新疆維吾爾自治区)
- ゴビ砂漠(モンゴル、中国・内蒙古自治区)
- サルイイシコトラウ砂漠(カザフスタン)
- シリア砂漠(シリア、ヨルダン、イラク)
- タール砂漠(インド、パキスタン)
- タクラマカン(塔克拉瑪干)砂漠(中国・新疆維吾爾自治区)
- ダフナー砂漠(サウジアラビア)
- ネゲヴ砂漠(イスラエル、パレスチナ)
- ネフド砂漠(サウジアラビア)
- ハジャラ砂漠(イラク)
- バダインジャラン(巴丹吉林)砂漠(中国・内蒙古自治区)
- ホルチン砂漠(中国・内蒙古自治区):日本から1500kmと最も近くにある砂漠。
- ムウス(毛烏素)砂漠(中国)
- モインクム砂漠(カザフスタン)
- ルート砂漠(イラン)
- ルブアルハリ砂漠(サウジアラビア、アラブ首長国連邦)
- レギスタン砂漠(アフガニスタン)
[編集] アメリカ
- アタカマ砂漠(チリ)
- グレートサンディ砂漠(アメリカ合衆国)
- グレートソルトレーク砂漠(アメリカ合衆国ユタ州)
- コロラド砂漠(アメリカ合衆国、メキシコ)
- ソノラ砂漠(アメリカ合衆国、メキシコ)
- ブラックロック砂漠(アメリカ合衆国ネバダ州)
- ペインテッド砂漠(アメリカ合衆国)
- モハーヴェ砂漠(アメリカ合衆国カリフォルニア州)
[編集] アフリカ
- カラハリ砂漠(ボツワナ、ナミビア、南アフリカ共和国)
- サハラ砂漠(エジプト、リビア、チュニジア、アルジェリア、モロッコ、西サハラ、モーリタニア、マリ、ニジェール、チャド、スーダン)
- ナミブ砂漠(ナミビア)
- ニーリ砂漠(ケニア)
- ヌビア砂漠(スーダン)
- リビア砂漠(リビア、エジプト)
[編集] オセアニア
- カウ砂漠(アメリカ合衆国ハワイ州)
- ギブソン砂漠(オーストラリア・ウェスタンオーストラリア州)
- グレートサンディ砂漠(オーストラリア・ウェスタンオーストラリア州)
- グレートビクトリア砂漠(オーストラリア・ウェスタンオーストラリア州、サウスオーストラリア州)
- シンプソン砂漠(オーストラリア・北部準州、サウスオーストラリア州、クイーンズランド州)
- タナミ砂漠(オーストラリア)
[編集] 表記
当用漢字制定前は「沙漠」という表記が使用されていたが、「沙」が当用漢字から外れたために「砂」を用いた「砂漠」という表記が使用されるようになった。なお、「沙」も「砂」も「すな」という意味を持つ漢字であり、「水が少いから『沙漠』と書く」というのは俗説。