稠密
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稠密(ちゅうみつ)とは、密集しているさま・ぎっしり詰まっているということをあらわす。
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[編集] 数学用語としての稠密
数学用語としての稠密(ちゅうみつ、dense)は主に次の二つの文脈で用いられる。どちらも、密集しているさま・ぎっしり詰まっているということをあらわしている。
二つの集合の関係が稠密かどうかを論じるためには、その集合に位相構造が定められている必要がある。また、順序集合には標準的な位相構造(順序位相)が付加できるので、上記の二つの文脈はまったく連関がないというわけではない。
[編集] 位相構造における稠密
位相構造を持つ集合(すなわち位相空間)Sとその部分集合T があり、 T の閉包が S となるとき、T は S において稠密であるという。これは S が距離空間の場合は、S の任意の元 x に対し、T の元の列で x に収束するものが取れることと同値である。
位相空間は稠密で高々可算な部分集合をもつとき、可分 (separable) であるといわれる。
例えば、有理数全体の成す集合 Q は実数全体の成す集合 R において稠密である。対して、整数全体の成す集合 Z は R において稠密ではない(稠密でないことを疎であるという)。(ただし、Rには通常の位相構造を考えるものとした場合)。さらに、Q は可算集合であるので、R は可分である。
距離空間は対応する自然な位相構造を持つので、距離空間上でも稠密性を論じることができる。 稠密な部分集合上で定義された一様連続関数は空間全体で定義された連続関数に一意的に延長される。また、距離空間上の連続関数は、その稠密な部分集合における値によって決まる。(cf: 有理数べきと指数関数)。一様連続でない連続関数を拡張することは一般にはできないことに注意が必要である。例えば
は Q 上で連続だが、R 上の連続関数に拡張することはできない。
[編集] 順序構造の特徴としての稠密
稠密な集合、あるいは稠密集合とは、順序集合 (S, ≤) であって、x < y を満たす任意の x, y ∈ S に対して、x < m < y となる m ∈ S が存在するものをいう。
また、S の部分集合 T が、(S における順序 ≤ に関して)S の稠密な部分集合である、あるいは T が S において稠密であるとは、x < y を満たす任意の x, y ∈ S に対して、x < m < y となる m ∈ T が存在するものをいう。
[編集] 稠密な順序集合の例
有理数全体の成す集合 Q、実数全体の成す集合 R は(通常の大小関係を順序として)ともに稠密である。これは、二つの数 x, y (x ≠ y) が与えられたとき、m = (x + y)/2 を考えれば、x < y であるか x > y であるかに関わらず、m は x と y の間にあり x, y がともに有理数なら m も有理数となることから言える。
これらに対して、整数全体の成す集合 Z は稠密ではない。
[編集] 関連項目
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