空想科学大戦!
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『空想科学大戦!』(くうそうかがくたいせん)とは、柳田理科雄の著した「空想科学読本」の世界観を元に、「科学に忠実な空想科学の世界」を描いた漫画。原作:柳田理科雄、漫画:筆吉純一郎。全5巻。3巻までが文庫化している。番外編に「Dr.猫柳田の科学的青春」シリーズがある。
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[編集] 特徴
「空想科学読本」の世界観を元にしただけあって、登場するキャラクターやストーリー展開は有名なアニメや漫画、特撮のパロディとなっている事が多い。(例えば、1巻の冒頭は巨大怪獣の出現から始まる。しかし、出現早々自重でつぶれてしまう)。
なお、一度取り上げた科学的な事象は以降では無視できるものとして扱われる。例えば、「巨大怪獣は自重でつぶれてしまう」という事象をいつまでも守り続けていては話を先に進めることができないため、以降は「巨大怪獣は自重でつぶれない」という条件で話が進められる。
[編集] 掲載雑誌について
2,3,4巻に収録されているマンガはもともとマンガ雑誌に連載していたものである。それぞれ、 2巻:コミックアルファ(メディアファクトリー) 3巻:コミックフラッパー(メディアファクトリー) 4巻:コミックバーズ(ソニー・マガジンズ) に連載されていた。
1、5巻は描き下しである。
[編集] 作品中の検証ミスとその対処
柳田は空想作品の検証において誤認が意外に多い。(柳田の誤認について詳しく知りたい方は柳田理科雄の項目参照)「空想科学読本」などでは次の版でミスを直してきた。しかし、このシリーズではページの大半が漫画という体裁をとっているため修正が困難であり、一冊の中での各ストーリーごとに挟まれる文章中にて作品中の科学的ミスを自ら公表している。
単行本第1巻の最後のページにて、作品中のミスを手紙で教えてほしい旨を読者に伝えたところ、山のように手紙が届いたという。柳田は次の単行本2巻の巻末でこれらの指摘に対する返答を述べた(文庫版では1巻に収録)。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] ストーリー
200X年、宇宙からやってきた帝王モドキングは地球を侵略することを宣言、巨大怪獣ジラゴを地球上に送り込む。そこへ、いかにもな風貌の巨大人型ヒーローが高速で飛んできた。しかし、巨大怪獣は地上に着陸した直後に自重でつぶれ、ヒーローは音速を超えた後に自ら出した衝撃波で首を吹き飛ばしてしまった。事情が飲み込めないサモン隊員たちに、猫柳田博士は「科学の壁」の存在を教え始める…。
各巻ごとにテーマがあり、第1巻は「巨大ヒーロー対巨大怪獣」、第2巻は「改造人間達の戦い」、第3巻は「巨大ロボットの戦い」、第4巻は「3大ヒーロー対大自然の脅威」、第5巻は「宇宙での戦い」となっている。ちなみにそれぞれのヒーローの元ネタとなっているものは1巻から順にウルトラマン、仮面ライダー、マジンガーZである
[編集] 登場人物
[編集] 全作品共通の登場人物
- 猫柳田愛吉
- 主役ではないが、シリーズ中すべての巻に登場する。さまざま職を転々としており、1巻ではサモン技術開発顧問、2巻では「喫茶ブラボー」店長、3巻ではフリーから万能科学研究所主任研究員に着任、4巻では独居科学者をやっている。5巻では、再びサモンに戻り科学班最高顧問、ヒーロー課顧問になっている。右目のアイパッチと長い銀髪、ベレー帽がトレードマーク(ベレー帽はサモンにいないときのみ着用)。
- モドキング
- 自称宇宙の帝王。地球を侵略すべくさまざまな作戦を企てるが、ヒーロー達の活躍か「科学の壁」に阻まれすべて失敗。本作の番外編「Dr.猫柳田の科学的青春」では幼少時代のモドキングが描かれている。容姿は地球の犬によく似ており、本物だと示すために撮影したレントゲン写真も犬そのものだった。元キャラは『怪獣VOW』(宝島社)掲載の筆吉作のミニ漫画「タカラジマン」に登場した「宇宙犬人コリー」。悪役でありながら「カワイイ」という声もあり、それらの声を意識したのか、番外編の幼少時代のモドキングは可愛らしい姿になっている。
- パッチー
- モドキングの忠実な部下。知能はモドキングと同じくらい。ゴリラに似ている。ドM。コリーの手下「パー」が元キャラ(更に遡れば、『スペクトルマン』の宇宙猿人ゴリとラーが元ネタ)。忠実ではあるが、(一言多いせいか)モドキングにはあまり可愛がられていない様子。
- ズキン
- 下働きにモドキングに雇われている女の子。モドキング達より科学的知識に詳しい。よくモトキングやパッチーに縛られていたり いろんな器具で責められたりと散々な目にあってる。毎回主人公に惚れてしまう。第4巻の最終話で行方不明になっていたが、5巻にて宇宙のかなたに連れ去られてしまったことが判明した。
[編集] 第1巻の主な登場人物
[編集] サモン攻撃班
サモンとは、科学の粋を集めた特別国家防衛基地。所属する人の大半は名前の通りあの漫画のキャラクターの顔である。正式名称:サイエンス・アタック・メンバーズ・オブ・ニッポン(Science Attack Members Of Nipoon の頭文字)。
- アサハカ・ボケツ
- サモン攻撃班隊長。非科学的な戦闘機や武器ばかりを考案し、その度に班員もしくは自分に迷惑をかけるか、猫柳田に注意を受ける。実用より見てくれを重視するため、浅はかで墓穴を掘るの名は伊達ではない。
- ウルワシ・キレイ
- サモン攻撃班隊員。紅一点。新入隊員となったヒカガク・アソブの教育係をまかされる。
- ウワノ・ソラキチ
- サモン攻撃班隊員。アサハカ隊長と行動を共にするシーンが多い。休日は一緒に釣りに行く仲。
- ササヤキ・シンリ
- サモン攻撃班隊員。ひ弱で影が薄い。ウルワシ隊員に片想いするが、全く報われない。
- ヒカガク・アソブ
- サモン攻撃班の新入隊員。さわやかな好青年という外見からアサハカ隊長に(入隊試験も無しに)スカウトされた。その正体はウーターマン。4巻にて両親が登場した。
[編集] 大宇宙警備隊ウーター一族
- ソフィー先輩
- 300年前から地球を守るため日本にやってきた。巨大な体のまま地球に来たが、この世界では容易に人間の姿に変わるわけにいかず、300年間穴蔵で人目を忍び暮らしてきた。初出動時に超音速で飛行したため、首を衝撃波で損傷し、死亡。東京から地面をバウンドしながら熱海まで吹き飛び、温泉を掘り出した。名前のモデルはゾフィー。
- ウーターマン
- 地球を守るために日本にやってきた。人間の姿になってこの世界に来たため、巨大化するのに時間と大量のエネルギーが必要となってしまった。そのため、海に潜って魚をむさぼり食う等の方法(初変身時は巨大化実験中の猫柳田を気絶させて高濃度アミノ酸溶液を入手)で、9時間28分かけて巨大化する。しかし3分後には細胞がいっせいに壊死し、大量の垢を撒き散らして元に戻ってしまう。名前のモデルはウルトラマン。
[編集] 第2巻の主な登場人物
[編集] 喫茶ブラボー関係者
- リフジン・トオル
- 「地球全生物ぶん殴り計画」の最中であったモドキング一味を、崩れかけた都庁を倒壊させ下敷きにしようとするが失敗。怪人ギャラクティカ男(元ネタ:北斗の拳のケンシロウ)に殴られ、モドキングのUFO(搭乗者はズキンのみ)まで殴り飛ばされる。その後、「一時間後生存確率0.0001%」だったところをズキンが強化手術を施し蘇生させる。都庁崩壊事件により指名手配されてしまったので、強化スーツと超緩衝ヘルメットを装着し「仮名ライダー」(元ネタ:仮面ライダー)を名乗りつつ、強化手術によって得た超人的パワー(推定で全国男子平均の10倍の力)を利用してモドキング一味の野望を阻止しようとする。超人的パワーを得るために大量の食事を必要とする。25才。しかし改造手術の副作用で老化が異常に早くなってしまい、2巻終盤以降は老人となってしまう。ただし、自分が老いたことを殆ど気にしておらず、超人的パワーも健在である(また、4巻の描写を見る限り食べる量もある程度減っている模様)。
- サラワレ・ヒメイ
- 喫茶ブラボーのアルバイト娘。トオルの異常な食欲のため、料理の手を休める暇がない。
- 4巻では独居科学者の猫柳田の助手をしていた。喫茶店時代の感覚が抜けず、しばらくは猫柳田を「マスター」と呼んでいた。
[編集] モドキング側の改造人間
- エリート脳味噌男
- モドキングの「全エリート悩殺計画」の被害者となったホリノ・タツローの改造後の姿。改造された頭脳によりさまざまな地球征服計画を立案・実行する。前述の計画で被害にあったことを相当根に持っていたらしく、最終的にモドキングを裏切り、ズキンと共に世界を支配しようとした。が、そのズキンにかけられたテロメラーゼ(の溶液)により赤ん坊にまで若返ってしまった(テロメラーゼによって若返るのは個々の細胞であって人そのものが若返るわけではなく、漫画的要素を優先したとすぐ隣の欄で謝罪している(文庫版))。
[編集] 第3巻の主な登場人物
この巻に登場するメンバーは、「Dr.猫柳田の科学的青春」に密接な関係がある人物が多い。
[編集] 万能科学研究所の関係者
- ミヤビ・シズカ
- 万能科学研究所ミヤビ所長の一人娘。巨大ロボットの製作を猫柳田に依頼する。
- ネッケツ・モユル
- 万能科学研究所アルバイト職員。車と名のつくものならなんでも操縦できる。巨大ロボ・カガクゴーの操縦者となる。天才科学者であったネッケツ博士の息子。
- このシリーズの3ヒーローの中では唯一生身の人間である。したがって、4巻第3話冒頭で他の2人に缶蹴りで負け続けたのは仕方のないことである。が、同じ4巻の第8話では壁を突き破るという常人ではなしえない技を行っている。マンガ的演出の可能性もあるが、モユルが超人的な怪力を発揮したのは後にも先にもこの時だけである。
- ネッケツ博士
- 万能科学研究所研究員。本名ネッケツ・サワグ。世界最強の超合金・STM(スーパー・チタン・モリブデン)鋼を発明。巨大ロボ・カガクゴーを開発中に亡くなる。猫柳田とは学生時代からの友人だった。
- カガクゴー
- 巨大ロボ。人間ではなく意思も持たないが、あえてここで解説する。ネッケツ博士がある計画の下開発を進めていたが、完成する前に博士は死んでしまう。1年後、万能科学研究所に攻めてきたモドキングのロボットに対抗するため、猫柳田たちは格納庫に向かったが、そこにあったカガクゴーはただのがらんどうだった。猫柳田はシズカの要求で、さまざまな機能を内部メカとともに与えていく。内部ががらんどうだった理由は、終盤で判明する。
[編集] トラディショナル重工業の関係者
- アヤノコウジ・ミツル
- トラディショナル重工業社長。モドキングに洗脳され、「巨大ロボット進行大作戦」のロボット開発を手伝うことに。極度の親馬鹿で、自社の開発したものには必ず娘の肖像を入れている。
- アヤノコウジ・スグル
- トラディショナル重工業副社長。
- アヤノコウジ・スミレ
- トラディショナル重工業社長アヤノコウジ・ミツルの一人娘。性格はかなり悪い。
[編集] 第4巻の主な登場人物
- つぎつぎと新しい人物が登場する1~3巻と違い、4巻はオールキャストの名目で3巻までの登場人物が再び登場する(全く出ない訳ではないが)ため、ここでは割愛する。
[編集] 第5巻の主な登場人物
- ワルサー総統
- 4巻の巻頭巻末に登場した影の正体。いやがるズキンと結婚するため、地球を侵略しようとする。