窃盗症
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窃盗症(せっとうしょう)とは、クレプトマニア(kleptomania)の訳語であり、経済的利得を得るなど一見して他人に理解できる理由ではなく、窃盗自体の衝動により、反復的に実行してしまう症状で、精神疾患の一種である。病的窃盗とも言う。衝動が性的なものに起因する場合、窃盗愛好者(クレプトフィリアkleptophilia)といわれることもある。
この症例は、その衝動により窃盗行為を行い、実行時に緊張感を味わい、成功時に開放感・満足感を得る。窃盗の対象物や窃盗の結果に対しては関心がなく、一般にはほとんど価値がないものである場合も多く、盗品は、廃棄・未使用のまま隠匿・他人への譲渡の他、まれには、現場に返却される場合もある。いわゆる「利益のための窃盗」ではなく「窃盗のための窃盗」といわれ、「衝動制御の障害」に含まれ同様の症例として「放火のための放火」を繰り返す放火症がある。
その原因はうつ病や性的虐待・性的葛藤との関連づけが試みられており、摂食障害や月経等との関係が注目されている。
一般的用語として窃盗癖・盗癖とも言うが、一般に「盗癖がある」窃盗常習犯は、意思欠如型の精神病質は見いだされるものの、その動機は経済的なものであることがほとんどであり、必ずしも窃盗症と領域を一致させない。
窃盗の原因が純粋に窃盗症によるものと認定された場合、責任能力がないとされ、刑事的責任は問えないこととなる。