第五列
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第五列(スペイン語:quinta columna、英語:fifth column)とは、本来忠実であるべき大きな集団の中で、そのような集団を密かに害する行動をする人々の集団である。この単語はスペイン内戦(1936-1939年)の最中のフランコ側の将軍であったエミリオ・モラの1936年のラジオ演説に源を発する。モラの4つの縦隊がマドリードに移動する際、マドリード市内で人民戦線政府撹乱の為にモラを支援した民間ゲリラをモラが「第五列」(Quinta columna)と呼んだ。
この単語はまた、自らが居住している国家とは別の国家に忠誠を尽くすことを求められた人々や、自らが居住している国家に対して戦争のときに他の国家を支援するような人々を指す場合にも使用される。
第二次世界大戦では少数民族としてポーランドやチェコスロヴァキアに住んでいたドイツ系住民が自衛団(Selbstschutz)を組織し、ドイツ第三帝国の侵略行為を活発に支援し、ポーランド人、チェコ人、スロヴァキア人への数々の残虐行為をはたらいた。
太平洋戦争の間のアメリカにおける日系人の強制収容は、西海岸地方に住む日系人は「第五列」として活動する可能性があるとしてアメリカ国内で正当化された。イギリスにおけるアイルランド系カトリック教徒はいわゆる北アイルランド問題を理由として連合論者から「第五列」と看做されることがある。
現在ではこの「第五列」という単語は非難や軽蔑の意を含んでいるのに対し、「パルチザン」という単語は肯定的にも否定的にも認識される。「レジスタンス運動」は「第五列」よりはより好意的に捉えられているが、この2つの単語の意味は部分的には一致するとも考えられる。