第10回有馬記念
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
第10回有馬記念（だい10かいありまきねん、芝コース、外回り、2600m）は、1965年12月26日に中山競馬場で施行された競馬のGI競走。
※年齢は全て旧表記（数え年）にて表記
目次 |
[編集] レース施行時の状況
1965年の第10回、前年に戦後初の牡馬クラシック3冠を制し、春の宝塚記念、前々走の秋の天皇賞を制した4冠馬シンザンは堂々のファン投票1位で有馬記念に駒を進めてきた。前走のオープン競走でクリデイの2着に敗れての連闘である。そもそも有馬記念の前に使うことで武田文吾調教師と揉めていたシンザンの主戦騎手・栗田勝は自棄酒によって体調を崩してしまうなど結局シンザンからは降ろされてしまう。陣営は中山競馬場と言う事もあり、3年連続リーティングジョッキーになっていた関東の闘将加賀武見に依頼するが加賀は「シンザンに乗るよりもシンザンを倒したい」という考えから依頼を断りミハルカスに騎乗した。結局、他の関東の有力騎手とも折り合いがつかず自厩舎の松本善登がシンザンに騎乗することになった。その事から「無敵シンザンに死角あり」とマスコミから騒がれたが、当日は単勝1.1倍の圧倒的1番人気だった。
対する馬たちは、前走の天皇賞（秋）でシンザンの2着に敗れるまで7連勝を果たしていた関東の雄ハクズイコウ。同じく前走天皇賞（秋）で大逃げをうって3着に粘っているミハルカス。前年の天皇賞（春）と宝塚記念を制し、今年はやや衰えをみせたものの前走の京都記念を勝っているヒカルポーラ。今年は精彩を欠く走りが目立っていたが、前年の有馬記念を優勝馬であり、連覇がかかるヤマトキヨウダイ。と少頭数ではあったが、見ごたえの有るメンバーが揃っていた。
[編集] 出走馬と枠順
- 天候：曇、芝：稍重
| 枠番 | 馬番 | 競走馬名 | 性齢 | 斤量 | 騎手 | オッズ | 調教師 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 1 | ヒカルポーラ | 牡7 | 55 | 高橋成忠 | 4番人気 | 佐藤勇 |
| 2 | 2 | クリデイ | 牡4 | 54 | 森安重勝 | 7番人気 | 尾形藤吉 |
| 3 | 3 | ブルタカチホ | 牡5 | 56 | 大崎昭一 | 6番人気 | 柴田寬 |
| 4 | 4 | シンザン | 牡5 | 56 | 松本善登 | 1.1（1番人気） | 武田文吾 |
| 5 | 5 | ハクズイコウ | 牡5 | 56 | 保田隆芳 | 2番人気 | 尾形藤吉 |
| 6 | 6 | ミハルカス | 牡6 | 55 | 加賀武見 | 3番人気 | 小西喜藏 |
| 7 | 7 | ウメノチカラ | 牡5 | 56 | 森安弘明 | 8番人気 | 古賀嘉藏 |
| 8 | 8 | ヤマトキヨウダイ | 牡6 | 55 | 野平祐二 | 5番人気 | 稻葉幸夫 |
[編集] レース展開
レースはシンザンがいつもの様に後方中団から進めてきたが、最後の4コーナーでミハルカスが逸走気味に大外へ膨れた。これはシンザンを負かすために加賀が考えた秘策で、末脚の切れ味が武器のシンザンに馬場の荒れている内側を通らせてその切れを鈍らせようと取った作戦だった。しかし、そんな加賀の思惑とは裏腹に松本はシンザンをミハルカスの更に外、馬場の外ラチ沿いへと導いた。その為TV中継のカメラの視界から消え、実況をしていたアナウンサーも「シンザンが消えた!」と言うほどだった。しかし次にTVカメラがシンザンの姿を捉えた時、シンザンは外ラチ沿いから中山の坂を力強く駆け上がり、先頭でゴール板を駆け抜けていた。
[編集] レース結果
| 着順 | 枠番 | 馬番 | 競走馬名 | タイム | 着差 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 4 | 4 | シンザン | 2.47.2 | |
| 2 | 6 | 6 | ミハルカス | -.--.- | 1 3/4馬身 |
| 3 | 3 | 3 | ブルタカチホ | -.--.- | 1/2馬身 |
| 4 | 5 | 5 | ハクズイコウ | -.--.- | 1 3/4馬身 |
| 5 | 8 | 8 | ヤマトキョウダイ | -.--.- | 1/2馬身 |
| 6 | 1 | 1 | ヒカルポーラ | -.--.- | 4馬身 |
| 7 | 2 | 2 | クリデイ | -.--.- | 2馬身 |
| 8 | 7 | 7 | ウメノチカラ | -.--.- | アタマ |
[編集] データ
[編集] 達成された記録
[編集] レースにまつわるエピソード
- 近年の競馬では考えられないことだが、シンザンは有馬記念の一週間前にもオープン戦に出走して2着に敗れている。これには調教師の武田文吾がレースを調教代わりに使うという考えがあってのことだったが、主戦騎手であった栗田勝がこれに反発し、このオープン戦への騎乗をボイコット。その結果有馬記念では松本善登へ乗り換わることになった。
カテゴリ: 1965年のスポーツ | 有馬記念 | 競馬の競走回顧
