紀要
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紀要(きよう、英: bulletin, memoirs)とは、大学(短期大学を含む)などの教育施設や各種の研究所・博物館などが定期的に発行する学術雑誌のことである。
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[編集] 概要
大学(短期大学を除く)の場合、各学部・研究科ごとに紀要を発行することがあり、毎年数多くの紀要が発行されている。
紀要の学術的水準に関しては、簡素な査読水準に留まる場合や、査読を行わない場合などさまざまであり、手続き上、掲載される文章の学術水準はまちまちである。そのため、紀要での研究発表を研究上の業績として認めない組織や紀要を発行しない組織もある。
[編集] 紀要の入手
紀要の多くは一般向けのものとは考えられていないため、通常は市販されておらず、発行元と関係のある図書館・研究者へ配布されたり、国立国会図書館などへ納本されたりする。その一部は、国立情報学研究所が運営するNII電子図書館などでも一般に公開されている。また、発行元に申し出れば、購入や無料配布を受けることが可能な場合もある。ただし研究者間では、論文の著者が同分野の研究者らに個人的に別刷りを配布することも多いため、紀要そのものの入手が不要なことも多い。
大規模な総合大学では、東京大学出版会や東海大学出版会などの各大学の大学出版会が紀要集を製本して市販している大学もある。
また、大阪市史編纂所のように自治体が定期的に発行している場合もある。
[編集] 紀要の意義
一つには、学会論文発表が難しい分野において、特に若手の研究者の研究発表の場を確保することにある。学際的分野の論文が評価されにくく、大学院生や若手研究者の学会発表の場に乏しい法学分野をはじめ、他の人文・社会系分野において紀要の果たす役割は大きい。 また、若手の大学院生において、処女論文という形でデビューをする場として紀要が利用されることが多い。これは、大学院生の所属大学で発行する紀要に論文を書くことを通して、大学院生が専攻内で知られるとともに、その後のステップである学会論文等へ慣らすという意味合いがある。