脳科学
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脳科学(のうかがく)は、ヒトを含む動物の脳について研究する学問分野である。神経科学(しんけいかがく)とも呼ばれる。
対象とする脳機能としては視覚認知、聴覚認知など感覚入力の処理に関するもの、記憶、学習、予測、思考、言語、問題解決など高次認知機能と呼ばれるもの、情動に関するものなどである。
[編集] 主な方法・下位分野
- 電気生理学:動物においてパッチクランプ法、細胞内および細胞外電位記録法、ヒト・動物において、脳波、脳磁図、経頭蓋磁気刺激(TMS)などを用いて神経細胞の興奮に関係する電気活動を、ミクロ・マクロのレベルで調べる。
- 神経解剖学:神経細胞の内部構造、神経細胞間のつながり、細胞構造の動的変化などを光学顕微鏡、電子顕微鏡、凍結割断法、免疫染色その他を用いて調べる。
- 分子生物学:遺伝子レベル、蛋白レベルで神経細胞の特性などを調べる。
- 脳機能イメージング:脳活動をさまざまな装置を用いて可視化する方法。
- 脳機能マッピング:脳の各部位がどういう働きをしているかを、まるで脳を地図に見立てたように“マッピング”していく方法。脳機能イメージングや損傷脳研究などの手法がある。
- 動物の行動実験:サル、マウスなどの動物に、薬剤を投与したり遺伝子を操作するなどし、その行動を観察する。
- 心理学研究、精神物理学的研究:被験者となるヒトに様々な課題を行わせ行動を観察することで脳機能を類推する(例:視覚の干渉刺激実験)。
- 理論的神経科学:神経の機能をコンピュータで再現したり、認知・学習などの理論的なモデルを作成することで研究を行うもの。計算論的神経科学など。
以上のように様々な方法あるいは分野が存在し、それぞれに長所・短所がある。
また、2つ以上の分野を組み合わせて行うこともある。例えば、Schultzら(1993年)の有名な実験では、サルに遅延反応課題をさせているときのドパミン神経細胞の発火を細胞外電極で測定しているが、これは「計算論的神経科学+電気生理学」の組み合わせである。
[編集] 関連項目
脳 - 神経細胞(ニューロン) - シナプス - 神経伝達物質 - 生物学 - 神経生理学 - 理論的神経科学 - 神経解剖学 - 神経心理学 - 認知科学 - 心の理論 - 心の哲学 - クオリア - 意識のハード・プロブレム