航空交通管制官
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航空管制官(こうくうかんせいかん、英:Air Traffic Controller)は、航空交通管制業務を行う者のことである。世界的には、民間企業の場合と公的機関に所属している場合とがあるが、民間企業であっても公的な性格は強い。
[編集] 日本
日本では国土交通省航空局か陸上自衛隊・海上自衛隊・航空自衛隊のいずれかに所属する国家公務員である。
国土交通省に所属する航空管制官は航空管制官採用試験(大卒程度・研修期間6ヶ月)または航空保安大学校学生採用試験(高卒程度・研修期間2年)により一般職の国家公務員として任用され、航空保安大学校での研修の後、全国各地の空港や航空交通管制部(札幌・東京・福岡・那覇)、航空交通管理センター(福岡)で勤務、現場での訓練を経て技能証明を取得し、航空機に管制指示等を与えることにより航空機の衝突を防ぎ空域の航空交通管理をするとともに安全で円滑な航空機の運航を支えるのが主な業務である。搭乗している乗客・乗員の人命を預かる重責を担う上、国家公務員であることから全国転勤があり、転勤の度に現場での訓練と技能証明の取得が求められる非常に厳しい世界である。また、現場で一定の経験を積んだ後、幹部候補として国土交通省本省や東京・大阪の各航空局に勤務し管理部門としてデスクワークを行う管制官、航空保安大学校(本校・岩沼研修センター)で教官業務に従事する管制官、あるいはICAOへの出向やJICAによる派遣で海外機関で勤務する管制官もいるが、これらはいずれも少数精鋭であり、大多数の管制官は現場勤務である。またあまり知られてはいないが、全体としては空港勤務の管制官より航空交通管制部や航空交通管理センター等空港以外で勤務する管制官の方が多い。
自衛隊に所属する航空管制官は自衛官であり、特別職の国家公務員として任用されている。養成教育は航空自衛隊(第5術科学校)が一括して実施、技能証明取得の際の技能試験は国土交通省航空局の試験官が実施している。なお自衛隊所属の航空管制官はそれぞれについて採用試験が異なり、海・空自衛隊においては入隊後の教育(研修)期間中に航空管制部門への配属が決定し、陸上自衛隊においては、希望する隊員に対して適性試験を実施して選抜を実施している。
計器飛行方式(IFR)で飛ぶ航空機は、必ず航空管制官の指示を受けて飛行することが義務付けられている。
航空交通管制は、飛行場管制、進入・ターミナルレーダー管制、着陸誘導管制、航空路管制の5種類に分類されることが航空法施行規則で定められている。