航空交通管制
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
航空無線機を操作して、航空機の運航を支援する業務を航空交通業務という。航空交通業務には、管制業務、飛行情報業務、及び 警急業務の3種類に分類される。各業務は以下のように定義される。
管制業務(Air traffic control service):航空機相互間及び走行地域における航空機と障害物との間の衝突予防並びに航空交通の秩序ある流れを維持促進するための業務をいう。
飛行情報業務(Flight information service):航空機の安全、かつ、円滑な運航に必要な情報を提供する業務をいう。
警急業務(Alerting service):捜索救難を必要とする航空機に関する情報を関係機関に通報し、当該機関を援助する業務をいう。
このうち、管制業務を行う資格を有し、かつ当該業務に従事している者を航空管制官(Air traffic controller)という。
このように、航空交通管制(こうくうこうつうかんせい、以下「管制業務」と略、Air traffic control. 略 ATC)は、航行中及び走行地域における航空機に管制指示や管制承認を与えて航空機の衝突を予防し、以って衝突事故を避け、効率的に交通が流れるように管理するシステムである。航空交通管制官も参照。
管制業務を行う機関を管制所といい、管制所で行う管制業務には現在6つの業務がある(カッコ内は各管制所の無線呼出符号)。各管制所は管制業務の他に上記に掲げた飛行情報業務と警急業務も行う。
(1) 航空交通流管理管制業務(呼出符号はない)
(2) 航空路管制業務(CONTROL)
(3) 進入管制業務(APPROACH)
(4) ターミナルレーダー管制業務(RADAR)
(5) 飛行場管制業務(TOWER)
(6) 着陸誘導管制業務(GCA)
このうち、航空交通管理センターは(1) 、管制区管制所は(2)と(3)、ターミナル管制所は(3)と(4)、飛行場管制所は(5)、及び着陸誘導管制所は(6)の業務を所掌している。
飛行場管制所は、空港内管制塔のVFRルームで、ターミナル管制所はたいてい管制塔内VFRルーム階下にあるIFRルーム(レーダールーム)で業務を行っている。航空路管制は日本の上空を4つに分割し、札幌、東京、福岡、那覇の各航空交通管制部で業務を行っている。
たとえば、東京国際空港(羽田空港)から大阪空港までのIFRの場合、出発から到着までの管制業務の流れは概ね次のようになる:
- 原則として移動開始の約5分前に航空機から目的地、要求巡航高度を東京飛行場管制所管制承認伝達席(TOKYO DELIVERY)と通信設定を行い管制承認を要求する。
- TOKYO DELIVERYの管制官は副管制席の管制官に航空機から管制承認の要求があった旨を告げる。
- 副管制席の管制官は当該飛行を管轄する管制区管制所(TOKYO CONTROL)の地区管制席の管制官に電話で管制承認の要求をする。
- 地区管制席の管制官は自管轄空域の交通流を検討しながら羽田からの要求に対して管制承認を発出する。たとえば、羽田から要求があった巡航高度が24,000フィートであったが、ちょうど同じ経路で成田空港から大阪便を24,000フィートで既に承認していたとする。この場合、同高度で管制承認を発出した場合羽田からの航空機と成田からの航空機が同高度で競合する危険がある。そこで、地区管制席は必要に応じて (a)同高度で発出する場合には時間制限を付す、(b)時間制限を付さなければ競合しない他の高度を承認する、ということになる(場合によって飛行経路を変更することもある)。
- TOKYO DELIVERYは地区管制席から受領した管制承認を航空機に伝達する。
- 航空機は飛行場管制所地上管制席(TOKYO GROUND)と通信設定を行い、滑走路手前までの走行を指示される。
- 飛行場管制席(TOKYO TOWER)は離陸許可を発出する。
- 離陸後航空機はターミナル管制所出域管制席(TOKYO DEPARTURE)と通信設定を行う。TOKYO DEPARTUREはレーダー画面上で航空機のターゲットを離陸滑走路の末端から1海里以内で捕捉しなければならない。捕捉後当該機に対するレーダー管制業務が実施される。
- TOKYO DEPARTUREは横田進入管制所(YOKOTA APPROACH)に業務を移管し、航空機はYOKOTA APPROACHと通信設定を行う。
- YOKOTA APPROACHから東京管制区管制所(TOKYO CONTROL)に業務が移管される。
- TOKYO CONTOROL内ではいくつかの管轄空域(セクター)を飛行し、航空路管制業務が行われ、必要に応じてレーダー誘導並びに高度変更等や降下の指示が発出される。
- TOKYO CONTOROLから関西ターミナル管制所(KANSAI APPROACH)に業務が移管され、航空機はKANSAI APPROACHと通信設定を行う。
- KANSAI APPROACHは他の大阪到着便を鑑みながら到着順位の決定を行い、必要なレーダー誘導や降下の指示並びの速度調整を行い、大阪空港への進入許可を発出し、大阪飛行場管制所(OSAKA TOWER)に業務を移管する。
- OSAKA TOWERの管制官は滑走路上に航空機がいないことを確認することによって滑走路上に目視間隔が設定された後に着陸許可を発出する。着陸後大阪飛行場管制所地上管制席(OSAKA GROUND)と通信設定を行う。
- OSAKA GROUNDは駐機場(スポット)までの走行を指示する。
- スポット到着後降機
目次 |
[編集] 飛行場管制
- 詳しくは飛行場管制を参照
即座に空港もしくは飛行場の環境をコントロールする第一の方法は管制塔(コントロール・タワー、TWR, 飛行場管制席)からの目視による監視である。このタワーは飛行場敷地内に建てられており、飛行場面や周辺を飛行する航空機が見渡せるように高く、風に強い構造である。タワーにいる管制官は、飛行場周辺の上空(管制圏内)を飛ぶ航空機 、飛行場内の誘導路と滑走路上で移動する航空機や業務車両などの交通整理の責任を負っている。空港によっては、地上の航空機などを表示するレーダーを備えるところもある。
[編集] グランド・コントロール(地上管制)
グランド・コントロール(GND, 管制)は航空機が地上を走行し、移動する許可を与える管制部門。比較的トラフィック(交通量)の多い空港に設置されている。
- 出発の場合は、クリアランス・デリバリー(管制承認伝達)で管制承認を受けたのち、このグランドコントロールと交信して、滑走路までの移動許可を得る。その後、タワーへの切り替えが指示され、離陸の許可を待つ。
- 到着の場合は、滑走路への着陸後、タワーからグランド・コントロールに切り替え、最終的な空港内のスポット(鉄道駅でいうプラットフォーム)への誘導管制を受ける。
グランドコントロールは、滑走路以外の空港内での航空機や業務用車両(牽引車、荷物の積み込み車など)すべてに承認を与え管理するので、出発機や到着機はもちろん、夜間のスポットチェンジなど牽引車が航空機を移動させる場合にも、許可を与える。
一般的に航空無線の公用語は英語であるが、航空機以外の業務用車両と交信する場合は、現地の言葉で行われる事もある。
日本では航空交通管制官が管制する空港にはほぼすべて設置されているが、トラフィックの少ない地方空港などでは、タワーの代わりに航空管制運航情報官が交通情報、気象情報を提供するレディオ空港 (RDO) や航空管制運航情報官が遠隔地より情報を提供するリモート空港がある。
[編集] 航空管制官配置空港
- 国土交通省航空局管制官
- 帯広空港:OBO/RJCB, 釧路空港:KUH/RJCK, 女満別空港:MMB/RJCM, 旭川空港:AKJ/RJEC, 函館空港:HKD/RJCH, 青森空港:AOJ/RJSA, 秋田空港:AXT/RJSK, 仙台空港:SDJ/RJSS, 成田国際空港:NRT/RJAA, 東京国際空港:HND/RJTT, 新潟空港:KIJ/RJSN, 富山空港:TOY/RJNT, 中部国際空港:NGO/RJGG, 大阪国際空港:ITM/RJOO, 関西国際空港:KIX/RJBB, 神戸空港:UKB/RJBE, 八尾空港:RJOY, 岡山空港:OKJ/RJOB, 広島空港:HIJ/RJOA, 高松空港:TAK/RJOT, 松山空港:MYJ/RJOM, 高知空港:KCZ/RJOK, 福岡空港:FUK/RJFF, 大分空港:OIT/RJFO, 長崎空港:NGS/RJFU, 宮崎空港:KMI/RJFM, 熊本空港:KMJ/RJFT, 鹿児島空港:KOJ/RJFK, 那覇空港:OKA/ROAH, 宮古空港:MMY/ROMY, 石垣空港:ISG/ROIG, 下地島空港:SHI/RORS
- 自衛隊管制官
- 新千歳空港:CTS/RJCC, 三沢空港:MSJ/RJSM, 丘珠空港:OKD/RJCO, 十勝飛行場:RJCT, 大湊飛行場:RJSO, 松島飛行場:RJST, 霞の目飛行場:RJSU, 百里飛行場:RJAH, 立川飛行場:RJTC, 下総飛行場:RJTL, 館山飛行場:RJTE, 木更津飛行場:RJTK, 厚木飛行場:RJTA, 硫黄島飛行場:RJAW, 南鳥島飛行場:RJAM, 霞ヶ浦飛行場:RJAK, 滝が原飛行場:RJAT, 入間飛行場:RJTJ, 宇都宮飛行場:RJTU, 浜松飛行場:RJNH, 静浜飛行場:RJNY, 小松空港:KMQ/RJNK, 岐阜飛行場:RJNG, 名古屋飛行場:NKM/RJNA, 明野飛行場:RJOE, 徳島空港:TKS/RJOS, 小松島飛行場:RJOP, 米子空港:YGJ/RJOH, 防府飛行場:RJOF, 小月飛行場:RJOZ, 築城飛行場:RJFZ, 芦屋飛行場:RJFA, 新田原飛行場:RJFN, 鹿屋飛行場:RJFY
- 米軍管制官
交信例:
JA111A Push back approved. Runway 34. Face to the east.
- (JA111A、プッシュバックを許可します。滑走路は34。機首は東に向けてください)
JA111A taxi to Runway 34 via B-1 A-1.
- (JA111A、滑走路34へ B-1・A-1を経由して向かってください)
[編集] ローカル・コントロール
基本的には滑走路への離着陸の許可を発する部署である。コールサインでは「タワー」と呼ばれることが多い。規模が小さな空港では、グランド・コントロールやクリアランス・デリバリーの役割も担当する。
- 出発の場合は、#グランド・コントロール(地上管制)から管制を引き継ぎ、離陸の許可を出し、#ディパーチャー(出域管制)へ管制を引き渡す。
- 到着の場合は、#アプローチ(入域管制)から管制を引き継ぎ、着陸の許可を出し、グランド・コントロールへ管制を引き渡す。
交信例:
JA111A, hold short of runway 34. Number 3. We have 2 landings before you.
- (JA111A、滑走路34の手前で待機せよ。貴局は3番目、貴局の前に着陸機が2機いる)
JA111A, runway 34. Line up and wait . Traffic taxing off the runway.
- (JA111A、滑走路34に進入し待機せよ。先行機は滑走路を離脱中)
JA111A, wind 010 degrees at 5 knots. Runway 34. Cleared for take off. Landing traffic inbound 4 miles on final.
- (JA111A、風向010度で5ノット。滑走路34からの離陸を許可。後続機は最終進入コースの4マイルの地点を通過)
[編集] クリアランス・デリバリー(管制承認伝達)
航空機の飛行方式には、大別して計器飛行方式 (IFR) と有視界飛行方式 (VFR) の2種類がある。クリアランス・デリバリー(または単にデリバリー。CLR, 管制承認伝達席)は、そのうちIFRで飛行する航空機に無線で管制承認を与える機関である。
一般航空会社の大型旅客機は、ほとんどすべてがこのIFRで飛行するので、最初にクリアランス・デリバリーと交信し目的空港までの承認を得る。
あらかじめ提出されているフライト・プラン(飛行計画)に沿って管制官によって確認され、目的空港・出発経路 (SID)・最終飛行高度・離陸後飛行高度・トランスポンダー識別コードの相互読み上げ確認が行われる。確認が済むと管制承認は完了し、#グランド・コントロール(地上管制)と交信するよう伝えられる。
クリアランス・デリバリーは、第一種空港をはじめとするトラフィックの多い空港に設置されている。地方空港などでは、グランド・コントロールやタワーが役割を代替しているケースが見られる。
交信例:
JA111A, cleared to Naha Airport via BAY2 departure KUSHIMOTO transition then flight planned route, maintain 12,000, expect flight level 380. Sqwauk 2146.Read back please.
(JA111A 那覇空港への飛行を承認します。BAY2出発方式に従いKUSHIMOTOで航空路に合流、その後は飛行計画通りに飛行をして下さい。12000フィートを維持してください。最終指示高度は38000フィートの予定です。トランスポンダーのコードは2146です。復唱をお願いします。)
JA111A read back is correct. Contact Ground 121.8. report when ready.
(JA111A 復唱は合っています。(出発の)準備ができましたらグランドコントロールと121.8MHzで交信して下さい。)
[編集] 進入・ターミナルレーダー管制
- 詳しくは進入・ターミナルレーダー管制を参照
大きな空港には管制塔に関連したレーダー管制設備を備えており、これらはアメリカ合衆国ではTRACON(Terminal Radar Approach CONtrol, ターミナルレーダー進入管制)と呼ばれている。おのおのの空港で違いがあるが、TRACONは普通空港から30 - 50 海里及び地上から10,000フィートの範囲で交通の管制を行っている。
[編集] ディパーチャー(出域管制)
ディパーチャー(出域管制、DEP)は、離陸したIFR機をレーダーを使って航空路まで誘導、監視を行う部門あるいは管制席。
タワーで離陸許可を得て離陸後、上昇飛行を続ける航空機は、飛行場管制席から出域管制席にHAND OFF(管制移管)される。原則として各飛行場には SID(Standard Instrument Departure, 標準計器出発方式)というものが設定されていて、航空機はそのルートや高度制限に従って飛行をして、航空路に合流することになる。また、このSID終了点から航空路まで移転経路 (Transition Route) が設定されている場合もある。
出域管制席の管制官は、離陸した航空機がSIDに従って飛行や上昇しているかを監視し、場合によってはレーダー誘導を行う。
交信例:
JA111A, radar contact. Climb via Nagoya 1 Departure.
- (JA111A、レーダーで捕捉しました。名古屋第1出発方式に従って上昇してください)
JA111A, radar contact. Fly heading 020 for vector to Krobe. Climb and maintain 8,000 until further advice. Traffic, 11 o'clock, 20 miles, south bound, YS-11,11,000 descending to 9,000.
- (JA111A、レーダーで捕捉しました。KROBEまでレーダー誘導する為、飛行針路020度で飛行してください。高度8000フィートに上昇し、追って指示があるまで8,000フィートを維持してください。11時方向20マイルにYS-11。南進中で高度11,000フィートから9,000フィートに降下中です)
JA111A, resume own navigation direct ESPAN.
- (JA111A、ESPANまで直行してください、その後は自立飛行をしてください)
[編集] アプローチ(入域管制)
アプローチ(入域管制、APP)は航空路を飛行中の航空機を、滑走路、もしくは場周経路(トラフィックパターン)まで誘導、監視を行う管制部門。
航空機は目的地飛行場に近づくと、航空路を離れ降下しながら滑走路に向かう。通常、航空路は滑走路まで設定されることはなく、航空路から飛行場(正しくは着陸する滑走路に進入降下する地点)まで、STAR(Standard Terminal Arrival Route, 標準到着経路)というものが設定されている。航空路を飛行中の航空機は、STARに従って滑走路に着陸することになる。ただし管制圏の設定のない飛行場によってはSTARが設定されていない場合もある。入域管制(席)の管制官は、航空機がSTARに従って飛行や降下しているかを監視、もしくはレーダー誘導によって到着機同士の管制間隔を設定したりする。
交通量の多い飛行場の場合、到着の航空機はあらゆる方向から飛んでくるため複数のSTARが設定されている。着陸に使える滑走路がひとつだとするとSTARを飛行中の航空機が順序良く着陸できるように航空機同士の間隔を設定する必要がある。入域管制を担当する管制官はレーダーを用いて速度調整や誘導(レーダーベクター)を行い、着陸する滑走路まで一列になるようにする。
STAR上に悪天候が存在し航空機から回避の要求があればそれに応じて到着経路を変更したり、何らかの事情で滑走路が閉鎖になった場合は上空で待機の指示を出したりする。離陸後四方八方に分かれる出発と違い、複数地点から来る航空機を要求された間隔で最終的にひとつの地点に誘導しなくてはならないので、管制官にも即時の判断や誘導技術が問われるセクションである。
着陸する滑走路が近づいてくると、タワーとの交信が指示され、着陸許可を得て着陸。その後グランド・コントロールと交信し、誘導路を到着スポットまで向かう流れとなる。
交信例:
JA111A, fly heading 200 for vector to final approach course. Descend and maintain 10,000.
- (JA111A、最終進入コースまでレーダー誘導する為、針路200度で飛行して下さい。高度10,000フィートまで降下し、その高度を維持して下さい)
JA232B, turn right heading 330 for spacing.
- (JA232B、管制間隔の為、針路330度へ右旋回してください)
JA4121, turn left heading 340 to Intercept localizer. 12 miles from outer marker. Cleared for ILS runway 34 approach.
- (JA4121、針路340度へ左旋回後ローカライザーを捕捉して下さい。貴機はアウターマーカーから12マイル地点。計器着陸方式による滑走路34への進入を許可します)
- ※ 着陸の為の進入の許可であって、着陸許可は出ていない。
[編集] GCA(着陸誘導管制)
管制官が音声により航空機を滑走路まで誘導する管制席。管制官はPAR(精測レーダー)を用いて、航空機に対して、一方的かつ連続的に機首方位などを指示し、航空機を誘導限界点まで誘導する。おもにILSを持っていない航空機、戦闘機などに対して行われる。肉声で誘導するが精度としてはILSのカテゴリー1に相当する。
交信例:
JA2323 This is Nagoya final controler redio check,How do you read?
- (JA2323 こちら名古屋ファイナルコントローラーです。無線の感度はいかがでしょうか?)
This will be a PAR approach to runway 34.guidance limit 60 feet from runway.your missed approach procedure is following ILS Runway 34 missed approach. Do not acknowledge further transmission.If no transmission are received for five seconds on final approach, attempt contact Tower on 118.7 .
- (滑走路34への精測レーダー進入を行います。誘導限界は滑走路から60フィートの地点です。貴局の進入復行方式はILS34アプローチ方式に従ってください。これ以降の貴局からの送信はしないでください。もし最終進入において5秒間こちらから送信がなかった場合は118.7で飛行場管制と交信を試みてください。)
Peform landing check.
- (着陸の確認を実施してください。)
Gear shoud be down.
- (車輪を下げてください。)
Approaching glide path.
- (グライドパスに近づいています。)
Begin descent.
- (降下を開始してください)
Turn right heading 346,slightly left of course and going to left of course quickly,on glide path
- (針路346度に右旋回してください。現在位置は進入コースの若干左側、また急速に左にずれていっています。適正進入角上にいます。)
Turn left heading 338,come back to course slowly,on glide path.
- (針路338度に左旋回してください。ゆっくり進入コースに戻っています。適正進入角上にいます。)
4miles from touch down,on course,slightly above of glide path. Adjust rate of descent.
- (貴局は着地点から4海里の地点です。現在位置は進入コース上です。若干適正進入角上より上にいます。進入角を調整してください。)
On course,on glide path,heading and rate of descent are good.
- (現在地は進入コース上かつ適正進入角上です。針路、降下率は良好です。)
Guidance limit,take over visualy,if not runway in sight excute missd approach.
- (誘導限界です。目視により着陸をしてください。滑走路が見えない場合は進入復行を行ってください。)
Contact Tower 118.7 after landing.
- (着陸後118.7で飛行場管制と交信してください。)
[編集] ATIS
- 詳しくはATISを参照
ATIS(エイティス、アティス。Automatic Terminal Information Service, 飛行場情報放送業務)は滑走路への着陸方式・使用滑走路・空港の気象情報・航空保安施設の運用状況等を地上から航空機へ無線を使ってエンドレスで放送するサービス。航空機の飛来が多い空港で行われている業務である。
通常は毎時0分、30分の更新で、気象状況が変わりやすいときは随時更新される。情報はA(アルファ)からZ(ズールー)までのアルファベットを順に使って改訂される。放送内容は英語。航空管制運航情報官(旧:航空管制通信官)の録音によるもの、または合成音声(録音された単語データを必要に応じて組み合わせる 電話の時報と同じ手法)によるものがある。出発や到着前には、最新の情報を受信し、自分が持っている情報(情報番号AなのかBなのか)を管制官に報告する義務がある。
放送例:
Tokyo International Airport information November, 1530. ILS number one runway 34 left approach and ILS number two runway 34 right approach. Landing runway 34 left and 34 right, departure runway 34 right. Departure frequency 126.0. Parallel ILS approaches to runway 34 left and right are in progress. Wind 320 degrees 10 knots. Visibility 20 kilometers, sky clear. Temperature 25, dewpoint 20. QNH 30.00 inches. Advise you have information November.
- (東京国際空港、情報N(ノヴェンバー)。15時30分現在、滑走路34左がILS1を、滑走路34右がILS2を実施中です。着陸用滑走路は34左と34右、出発用滑走路は34右です。出域管制周波数は126.0 MHzです。滑走路34右及び左への平行ILS進入を実施しています。風は320度方向より10ノット。視界は20キロ、快晴。気温25度(摂氏)、露点20度。QNHは30.00インチです。情報Nを受信した事を報告して下さい)
日本のATIS設置空港は、上記の放送例と同じ形式で放送される。
[編集] ATISの実際の活用例
- 0730 (Z) 時点のATIS
- CHUBU CENTRAIR International Airport information Alpha, 0730. ILS runway 36 approach, using runway 36. Departure frequency 126.0. Wind 080 degrees 10 knots. Visibility 20 kilometers, sky clear. Tempreture 25, dewpoint 20. QNH 30.00 inches. Advise you have information Alpha.
- 0800 (Z) 時点のATIS
- CHUBU CENTRAIR International Airport information "Bravo", 0800. "ILS runway 18 approach", "using runway 18". Departure frequency 126.0. "Wind 160 degrees 10 knots". Visibility 20 kilometers, sky clear. Tempreture 25, dewpoint 20. QNH "29.90" inches. Advise you have information "Bravo".
30分の間に" "の部分が更新されたことになる。着陸方式がILS36からILS18に、風向きは80度から160度に、QNHが30.00インチから29.90インチに変わっている。
パイロットによって持っている情報が違うときがある。例えば、最初の交信でパイロットが "We have Alpha" と管制官に報告した場合、最新の情報番号は Bravo なので、管制官はパイロットに対して、"Now informartion Bravo. Using runway 18, QNH 29.90." などとAlphaとBravoで情報が変わっている部分を訂正する必要がある。
[編集] 航空路管制
- 詳しくは航空路管制を参照
航空機が飛行場を離陸して航空路に合流すると、出域管制から航空路管制に切り替わる。目的地の飛行場への着陸進入(アプローチ)体制に入るまで、飛行中は航空路管制のお世話になる。航空路管制(エンルート)のことをセンターとも呼ぶ。
センターの管制官はアメリカなどの場合エアルート交通管制センター (ARTCC)、日本などの場合エリア管制センター (ACC) と呼ばれる機関で業務を行っている。各センターは何千平方マイルといった膨大な空域を航行中の航空機の動向をレーダーを用いて監視している。
[編集] VOLMET放送
- 詳しくはVOLMET放送を参照
洋上を航行している航空機に対し、主要空港の気象情報を短波 (SSB) を使って放送している。日本は太平洋ボルメット地域に属しており、2,863・6,679・8,828・13,282の各kHzで、毎時10分と40分に気象庁本庁から放送している。聴き続けていると管轄各地の天気が分かる。
放送時間 | コールサイン | 放送地点 |
---|---|---|
毎時0分・30分 | ホノルル | ホノルル,カフルイ,ヒロ,グアム |
毎時5分・35分 | ホノルル | サンフランシスコ,ロサンゼルス,シアトル,ポートランド,サクラメント,オンタリオ,ラスベガス |
毎時10分・40分 | 東京 | 成田,羽田,新千歳,中部,大阪 (関西),福岡,ソウル (仁川) |
毎時15分・45分 | ホンコン | 香港、広州、那覇、台北、高雄、マニラ、マクタン |
毎時20分 | オークランド | ナンディ、ヌーメア、ウェリントン,パゴパゴ、タヒチ |
毎時25分・55分 | ホノルル | アンカレジ、フェアバンクス、キングサーモン、エルメンドルフ、イールソン、バンクーバー |
毎時50分 | オークランド | ナンディ、クライストチャーチ、ウェリントン、パゴパゴ、タヒチ |
[編集] 日本の場合
日本では国土交通省航空局の管轄下において、4つの航空交通管制部を設置している(嘉手納ラプコンと横田ラプコンはアメリカ軍の管轄)。[1] 日本国内に発着しない飛行機も、管制空域内では日本の管制下におかれる。
- 札幌航空交通管制部 (北海道札幌市)
- 東京航空交通管制部 (埼玉県所沢市航空記念公園内)
- 隣接する公園内には航空博物館が設置されている。
- 福岡航空交通管制部 (福岡県福岡市雁ノ巣)
- 那覇航空交通管制部 (沖縄県那覇市)
2005年と2006年に種子島宇宙センターから打ち上げられた運輸多目的衛星(MTSAT)「ひまわり6号」および「ひまわり7号」を使って、洋上やVHF通信のブラインドエリアを飛行している航空機との間で、各種データ通信を行う事ができるようになる。[2] そのため、レーダーでの監視ができない洋上において、運航本数を増やす事ができるようになる。
[編集] 航空保安施設
[編集] 航法援助施設
- NDB (Non-Directional Beacon)
- 無指向性無線標識。200 kHzから415 kHzの周波数を使用し、AM電波を発射して位置を知らせる航空保安施設。モールス信号で送られる2文字の識別符号を電波に乗せて送信することで、どこのNDBの電波かを容易に識別できるようにしている。
- VOR (VHF Omni-directional (radio) Range)
- 超短波全方向式無線標識を参照
- DME (Distance Measuring Equipment)
- 距離測定装置を参照
- TACAN (Tactical Air Navigation System)
- 戦術航法システム
- VOR/DME(V/D)
- ヴォルデメ(ボルデメ)と読む。VORとDMEを同時に設置したもの。3文字で表される識別符号のアルファベット末尾は原則としてEである(阿見VOR/DMEがTLE、浜松VOR/DMEがLHEなど)。コンパスロケータとして使用される蔵王山田VORZMOを除き、日本国内においてVOR単独で設置されるものはなく、VOR/DMEかVORTACのどちらかとして設置されている。
- VORTAC(V/T)
- ヴォルタック(ボルタック)と読む。VORとTACANを隣接して設置したもの。3文字で表される識別符号のアルファベット末尾は原則としてCである(大島VORTACがXAC,新潟VORTACがGTCなど)。DMEとTACANの距離測定信号は互換性があるため、VORTACからの信号はVOR/DMEにより測位を行う民間機とTACANにより測位を行う軍用機の両方が利用できる。
- ILS (Instrumental Landing System)
- 計器着陸装置を参照
[編集] レーダーサイト
レーダーは主に飛行中の航空機の位置と高度を把握するために用いられる。レーダーサイトには空港監視レーダー (ASR)・二次監視レーダー (SSR)・空港面探知レーダー (ASDE)・精測進入レーダー (PAR)・航空路監視レーダー (ARSR) ・洋上監視レーダー(ORSR)などがある。
- 空港監視レーダー (ASR, Airport Surveillance Radar)
- 空港から60マイル以内の空域にある航空機の位置を探知し、出発機や進入機の誘導、航空機の管制間隔の設定など、ターミナルレーダー管制に使用される一次レーダー(航空機の機体に直接当てた電波が反射して戻ってくる間の時間差と、レーダーの回転角度で航空機の位置を割り出すレーダー)
- 二次監視レーダー (SSR, Secondary Surveillnace Rader)
- 航空機に搭載したATCトランスポンダと交信して、便名(モードA)と高度(モードC)を得る二次レーダー
- また、モノパルス測角方式により、モードA/Cの情報以外に距離と方位も同時に知ることが出来る。
- 空港面探知レーダー (ASDE, Airport Surface Detection Equipment)
- 空港地表面の航空機や車両等の動きを監視する。非常に短い波長の電波を利用した高分解能レーダーで、レーダースクリーン上には航空機の形がはっきりと現れる。低視界のときや夜間の管制業務に使用する。
- 精測進入レーダー (PAR, Precision Approach Radar)
- 航空路監視レーダー (ARSR, Air Route Surveillance Rader)
レーダースクリーン上には航空機の速度も表示されるが、これは二次レーダーによるものではなく、一次レーダーの情報から解析した対地速度である。
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
- ディスカバリーチャンネル
- 「航空管制 (Understanding Air Traffic Control)」 (DVD)、角川書店
- 「航空管制システムの検証」(1)(2)
[編集] 外部リンク
[編集] 公式
- National Air Traffic Controllers Association(英語)
- Federal Aviation Administration(英語)
- 国土交通省(日本語)
- 国土交通省航空局管制保安部
- 計器飛行方式の飛行例(羽田〜福岡)
[編集] ネットサービス
- Listen to Air Traffic Control radio with live audio(英語版)
- Live audio Air Traffic Control from over 100 airports worldwide(英語版)
- Live Air Traffic Control & Live Airport Webcams(英語版)
- Map of airborne flights controlled by US ATC(英語版)
[編集] その他
- クルーズ&航空&趣味のページ(航空交通管制の流れや無線交信例がある)