角閃石
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角閃石(かくせんせき、amphibole)は、珪酸塩鉱物の一種である鉱物。角閃石は角閃石族の名称であり、化学組成によりさらに細かく分類され、現在では約60種の鉱物種が知られる(「~閃石」という名前がついている)。カクセン石とも呼ばれている。
色は、無色・緑色・褐色・青色などで、ガラス光沢を持つ。単斜晶系ないしは斜方晶系で、自形結晶は長柱状である。結晶形は輝石によく似るが、約120°で交わる2方向のへき開で区別される(輝石は約90°)。比重3.0~3.5。モース硬度5~6。
一般的な造岩鉱物で、安山岩や斑れい岩などの中性~塩基性岩に多く含まれる。また、変成鉱物として、緑色片岩や角閃岩などの変成岩中にも多く含まれる。
含水鉱物としても有名。
[編集] 角閃石の分類
角閃石の中でもっとも多く産出するのは普通角閃石(ふつうかくせんせき、hornblende)であり、化学式はCa2(Mg,Fe)4Al(AlSi7O22)(OH)2で表される。角閃石黒雲母花崗岩や角閃石安山岩などの「角閃石」は、普通角閃石を指す場合がほどんど。
角閃石族の日本産新鉱物として、神津閃石(kozulite、1969年)、カリ苦土定永閃石(potassic-magnesiosadanagaite、1984年)、カリ定永閃石(potassic-sadanagaite、1985年)、プロト鉄直閃石(protoferro-anthophyllite、1998)、プロトマンガノ鉄直閃石(protomangano-ferro-anthophyllite、1998)、カリリーク閃石(potassic-leakeite、2003)、プロト直閃石(protoanthophyllite、2003)、苦土定永閃石(magnesiosadanagaite、2004)の8種がある。