連接台車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
連接台車(れんせつだいしゃ)とは、鉄道車両の台車において2車体の間に1つの台車を設けたものを指す。連接台車を採用している車両を連接車両・連接車・連節車とも呼ぶ。最近のライトレール車両では、台車を持たない「浮き車体」と呼ばれる物を持つ構造のもの、1台車のみ持つ車体をつなげたものなどもあり、これらの車両も連接車と呼ぶ場合が多い。
目次 |
[編集] 特徴
[編集] 長所
- 2車体が連結器を介してでなく台車によって直接つながった構造のため、振動が少ない。
- 台車の総数が減らせるので、軽量化に貢献する(6両編成の場合、ボギー台車なら12個の台車になるのに対して、連接台車なら7個で済む)。
- 車体に対する台車の動く角度が小さくなるため、曲線通過が容易になる。
- 曲線通過時に、車体のはみ出す量が小さくなるため、占有幅が小さくなる。同じ建築限界ならば、より広い幅の車体を用いることができる。
- 車室と台車が離れるため、室内の走行騒音を軽減できる。
- 台車の心皿(台車の回転軸)が2車体間に位置するため、車体高が下げられ、重心も下がるので安定性が増す。
[編集] 短所
- 編成を個々の車両ごとに切り離せないため、編成の自由度が下がり、保守にも手間がかかる。
- 台車間隔は車両限界を考慮して長くできないため、その分車体長はボギー台車編成に比べて短くしなければならない。
- 車軸が少ないため軸重が増え、軌道負担が大きくなる。
[編集] 採用例
その構造から高速鉄道では有利とされ、海外ではTGVなど多くに採用されたが、日本では多層建て列車のように途中で編成を併結・分割させることや、輸送力に応じて適時車両を増結する事が多かったため、編成の自由度が下がることを理由にして採用例は少ない。 一方で、車両の分割をほとんど行わず急曲線区間が多い路面電車では、輸送単位が大きくなることを利点として、幹線や朝のラッシュ時の輸送に使われている。
日本における最初の採用例は、1934年の京阪電気鉄道60形電車とされている。 その後、西日本鉄道の500形などで採用されたが、高速鉄道での長期にわたる採用では、小田急電鉄があげられる。
小田急電鉄では、ロマンスカーと称する特急形車両において1957年の3000形以降、連接台車を多く採用した。これは、当時の小田急電鉄の関係者に連接構造へ強い関心を持っている者がいたからだとされている。3000形電車「SE」では、その他に車体の軽量化に取り組んだこともあるが、従来の車両に比べて重量を25%削ることができたという。だが、その小田急でも後に分割・併結を行う必要性などから、30000形電車「EXE」のように普通のボギー台車を採用した特急形車両を登場させている。
国鉄では振り子式車両の試験車として製作された591系試験電車が連接構造を採用している(後に通常のボギー車に改造された)。 以降、国鉄、JRでは本格採用の例はなかったが、2002年に東日本旅客鉄道(JR東日本)が開発した試作通勤形電車のE993系(ACトレイン)はDDM方式(車輪に電動機を直結した構造)とあわせ、連接構造を採用した。京葉線でその成果を受けたE331系が営業用に製造投入される予定で2006年には先行試作車が登場した。営業運転をかねた試験の結果によっては今後大量に増備される可能性もある。