遠近法
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遠近法(えんきんほう)あるいは透視図法(とうしずほう)は、絵画や作図などにおいて、目に映る像を平面に正確に写すための技法である。英語では perspective(パースペクティブ)であり、日本ではパースと略す事が多い。遠近法の2大特徴として
- 同じ大きさの物でも、視点から遠いほど小さく描く
- ある角度からの視線では物が歪んで見える (foreshortening)
ことが挙げられる(ただし、foreshorteningは平行図法などの他の図法でも起こる)。
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[編集] 基本的な概念
図法として一点透視図法、二点透視図法、三点透視図法などがある。 これらは美術にとどまらず、建築、映画、アニメ、コンピュータグラフィックスなど、視覚表現の分野で広く使用される。
[編集] 関連する概念
遠くのものほどかすんで見えるというのが空気遠近法である(例:レオナルド・ダ・ヴィンチ作『モナ・リザ』の背景)。
[編集] 歴史
[編集] 初期の発展
透視図法の基本は、近くのものほど大きく見え、遠くのものほど小さく見えるということである。ただし、これだけのことならばルネサンス以前の絵画でも当然と考えられてきた。ルネサンスの時代に、これに「消失点」という考え方が取り入れられた。たとえば、まっすぐ進む道路の真ん中に立ってその先を見据えたとしよう。そうすると、道路の両側のガードレールも、並ぶ家も、電線も、遠くですべて小さくなり1点に交わって消えるというのだ。
透視法は建築家ブルネレスキが発見したといわれる。人文主義者アルベルティの『絵画論』(1435年)によって理論化された。実作としては、ギベルティの彫刻レリーフ(1425年-)やマザッチョの描いた絵画(1426年-)が最も早いものである。透視法によって三次元の世界を二次元の世界に移しながら、奥行きのある表現が可能になった。
[編集] ルネサンスの前後での遠近法の変化
東京芸術大学名誉教授である辻茂は自著「遠近法の発見」のなかで、ルネサンス以前の距離点がない透視図法を「天使の遠近法」、 ルネサンス以降の距離点がある透視図法を「地上の遠近法」と名付けている[1]。
[編集] 参考文献
- ^ 辻茂 著 『遠近法の発見』 現代企画室 1996年 ISBN 9784773896152
[編集] 関連項目
- 遠近感
- 空気遠近法
- 逆遠近法
- 図学
- 作図