酢豚
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酢豚(すぶた)とは、豚肉を使った中華料理(広東料理)である。酢豚という名称は日本で付けられたものであり、中国では咕老肉(北京語 クーラオロウ gǔlǎoròu、広東語 クーロウヨッ gulouyuk)または糖醋肉(北京語 タンツーロウ tángcùròu)と呼ばれている。「咕老」はもぐもぐ食べるという擬態語、「糖醋」は味付けの砂糖と酢である。原型は豚肉の酢漬けといわれ、これを油で炒めるか揚げたものが酢豚の起源と言われる。広東料理店が多い欧米でも人気が高い料理である。博多や長崎などではスーパイコと呼ばれることがある。
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[編集] 調理法
調理法は、豚肉の唐揚げと素揚げした野菜を、片栗粉をスープで溶いたものに酢、砂糖、醤油を入れて加熱することで作った甘酢あんの中に入れて絡める。野菜は、筍、玉ねぎ、ピーマン、ニンジンなど、これに加えて椎茸、パイナップルなどを使っても可。パイナップルを入れると甘みが増すとともに豚肉が柔らかくなるが、その時点で好みがハッキリ別れてくるので、家庭で作る場合は、予め入れるかどうかを実際食べる人と相談するなどの配慮が必要である。本来の酢豚は肉の香ばしさと甘味酸味の調和を楽しむ料理であり、そのため野菜は必ずしも必要ではなく肉と果物のみを用いた酢豚の方がむしろ原型に近いという説もある。
中国料理店によっては、さらにリンゴ、サクランボ、ケチャップ等を入れて甘酸っぱさを強める場合もあるが、好き嫌いが分かれるところである。中国においてはサンザシという植物の実を砂糖と共にジャムにして乾燥させた「山査子餅」と呼ばれる一種の駄菓子を調味料として入れて甘酸っぱさを出す事がある。サンザシは日本においては観葉植物もしくは薬用植物に供されているが、中国においてはこのサンザシ餅の他、羊羹状の菓子やジャムにする事がある。サンザシは華北に多い植物のため、パイナップルなどの華南の果物の代替とも考えられる。ただし、こうした果物やケチャップ、サンザシ等の使用を行わない酢豚もあり、店によってまちまちである。
[編集] 変種
[編集] 黒酢豚
最近では黒酢を使用した酢豚も出現している。これは野菜と共に加熱すると苦味が出るという黒酢の特性から豚肉のみを使用する。味付けは中国江蘇省の無錫排骨(北京語 ウーシーパイグー)という、黒酢と砂糖でスペアリブを煮た地方料理に近い。
酢豚としての厳密な定義では「豚肉に下味を付けて揚げた物に糖醋(タンツウ)を絡ませたもの」なので、野菜が入っていなくても酢豚と呼ぶ。
[編集] 酢鶏
豚肉の唐揚げの変わりに鶏の唐揚げを用いた「酢鶏」(すどり)という料理も日本各地の食堂などで作られている。
[編集] 関連項目
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